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生前贈与:節税対策と争族対策

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2016年10月06日 公開

生前に対策できる内容をまとめており、贈与、生命保険の活用方法をまとめております。

生前に対策をすることで節税・争相続など対策が可能です。

うまく使えばスムーズな継承に役に立てることが出来ます、相続開始前の3年以内の贈与は相続税の課税対象となります、ただし贈与税の配偶者による居住用不動産の贈与については、贈与税の対象とすることが出来る。

そちらも踏まえて贈与・生命保険の活用のメリットを理解しておきましょう。

また生前で対策可能なのは遺言もあり、争相続を回避する事も可能です、以下リンクより別のページを用意しておりますので別途ご覧ください。

⇒遺言書について

生前贈与で相続税対策をするメリット

生前贈与とは、被相続人が自身の存命中に財産を譲ることを指します。贈与できる相手は親族、第3者のほか法人に対しても可能で、2015年の相続税増税からは、節税の一手段していっそう注目されるようになりました。相続税対策としての生前贈与には、どのようなメリットがあるでしょうか。

大きくまとめると、メリットとして以下の3点が挙げられます。

・贈与税の控除により節税できる
・贈与する時期が選べるため、不動産や有価証券などの価格変動を見込める
・被相続人自身が贈与の相手を選ぶことで相続トラブルを防げる

つまり、生前贈与は節税と争族防止の対策になるといえるわけです。それでは、生前贈与のメリットを最大限に生かすためにも、まずは生前贈与の特徴を押さえておきましょう。

贈与は譲り渡す人と受け取る人の契約で成立する

贈与とは、簡単に言えばAさんがBさんへ金銭や物品などを譲り渡すことです。その際、与える側は無償で行い、見返りを期待しません。

しかし、いくらAさんが無償で譲るとしても、Bさんが受け取らない場合には贈与関係が成立しないことになります。贈与は、譲り渡す人と受け取る人の両方が了承することで成り立つのです。

なお、贈与はお互い、譲る・受け取るという意思表示をすれば成立することになっています。日常生活での単なる口約束でも効力は変わりません。

贈与には生前贈与と死因贈与がある

財産を贈与する人を「贈与者」、贈与を受けた人を「受贈者」と言い、贈与にかかる贈与税は受贈者に対して課せられます。そして、贈与税がかかる財産は、相続税がかかる財産とほぼ同等に扱われます。
ただし、相続と贈与で大きく異なる点があります。相続は、遺産を譲る側の人(被相続人)が亡くなった時点で始まるのに対して、贈与が発生するのは、贈与者・受贈者がともに存命中のときです。

贈与のうち、「生前贈与」は自身が生きている間に贈与することで、「死因贈与」はあらかじめ取り決められていた約束が、贈与者が亡くなった時点で実行されるものです。どちらも贈与が成立するのは贈与者・受贈者の双方が承諾した時点、つまり存命中であり、一方的な形で遺言書として意思を残しておく「遺贈」とは異なります。

また、第三者などに対して債務(借金)を払うことを条件に財産を贈与する「負担付贈与」もあります。

贈与税は負担が重い

相続税には基礎控除額があり、「3000円+600万円×法定相続人数」で算出できます。

つまり、相続人1人につき課税最低額(基礎控除額)は3600万円であるのに対し、贈与税の課税最低額は1人に対して年間110万円です。

また、1000万円の財産に対する相続税率は10%ですが、贈与税は40%。相続税と比較して、贈与税の負担はかなり大きいといえます。ただし、相続時精算課税を利用した場合は、2500万円を超えたとき、その超えた部分の金額に一律20%課税されることになっています。

保険を相続に使うケースがよくありますが、死亡した方が自身を被保険者として保険料を負担していた場合は、贈与税ではなく相続税となります。

贈与とみなされる(みなし贈与財産)場合

項目 詳細
生命保険金 受取人以外の人が保険料を負担していた保険金を取得した場合
定期金 掛け金を払っていた人以外の方が、年金などの定期金受給権を取得した時
信託受益権 委託者以外の者が信託の受益者となった時など
定額譲渡 著しく低い価額で財産を譲り受けた時

※債務者が債務を弁済する事が困難な場合を除く
債務免除益 債務の免除や肩代わりをしてもらったとき

※債務者が債務を弁済することが困難な場合を除きます。
親族間の金銭貸与 夫婦や親子など親族間において土地・家屋・金銭などの貸与が無償または無利子で行われたとき

※利益が少額で課税上問題とならない場合は除きます。
名義変更

※その他、離婚の際における過大な財産分与や、夫婦財産契約で得た利益は「みなし財産」として贈与税の対象になる場合があります。
※上記の財産は本来の贈与財産ではないが、贈与があったものとして課税される。

贈与税がかからない場合

項目 詳細
法人からの贈与 法人からの贈与により取得した財産(所得税として課税)
生活費・教育費 夫婦・親子・兄弟姉妹等の扶養義務者から、生活費や教育費に充てるため取得した財産
公益事業用財産 宗教、慈善、学術その他公益を目的とする事業を行う者が取得した財産で、その公益を目的とする事業に使われることが確実なもの
奨学金 奨学金の支給を目的とする特定公益信託や財務大臣のしていした特定公益信託から取得した場合で、一定の要件に当てはまるもの
心身障害者扶養共済制度に基づく給付金 地方公共団体の条例によって、精神や身体に障害のある人、またはその人を扶養する人が心身障害者扶養共済制度に基づいて支給される給付金を受ける権利を取得した場合
公職選挙費用 公職選挙法の適用を受ける選挙の候補者が、選挙運動のために金品を取得した場合
香典、見舞金 個人から受ける香典、花輪代年末年始の贈答、祝物、または見舞いなどの為の金品で、社会通念上相当と認められるもの
相続開始年の贈与 相続(遺贈)により財産を取得した人が、相続があった年に亡くなった方から贈与された財産、(ただしその財産は相続税の課税財産となります。)
離婚による財産分与 離婚の際に支払われる慰謝料(損害賠償金)や、夫婦の財産を分け合う財産分与は非課税
※常識的な範囲を超えて多過ぎるとみなされた場合は贈与税対象となる場合があります。

※財産の性質や贈与の目的によって、贈与税がかからない財産が定められています。

年間110万円以下であれば贈与税はかからない

贈与税には年間110万円の基礎控除額があります。従って、1年間にもらった財産の合計額が110万円以下であれば贈与税はかからず、贈与税の申告も不要です。

基礎控除額は、贈与をした人ではなく贈与を受けた人1人につき年間110万円と決められています。仮に、2人から各110万円ずつ合計220万円の贈与を受けたとしても、控訴控除金額は110万円と計算します。

贈与税の計算方法

贈与税額は、以下の手順で算出でき、申告は翌年の確定申告時に行います。

➀その年1年間(1月1日~12月31日)に贈与として取得した財産の価額を合計する。
    ↓
➁その合計額から110万円を差し引く
    ↓
➂残りの金額(②)に税率をかけて、速算表控除額を差し引く

例)1年間で贈与を受けた財産が700万円だった場合

700万円-110万円(基礎控除)=590万円
590万円×30%(税率)-65万円(速算表控除額)=112万円

従って、この例で贈与税は112万円となります。

贈与税の速算表

基礎控除の価額に対する税額をかけ、控除額を差し引くことで計算できます。

一般的な贈与の場合

贈与税から110万円を引いた額 税率 控除額
200万円以下 10% なし
300万円以下 15% 10万円
400万円以下 20% 25万円
600万円以下 30% 65万円
1,000万円以下 40% 125万円
1,500万円以下 45% 175万円
3,000万円以下 50% 250万円
3,000万円超 55% 400万円

親または祖父から20歳以上の子へ贈与する場合

贈与税から110万円を引いた額 税率 控除額
200万円以下 10% なし
400万円以下 15% 10万円
600万円以下 20% 30万円
1,000万円以下 30% 90万円
1,500万円以下 40% 190万円
3,000万円以下 45% 265万円
4,500万円以下 50% 415万円
4,500万円超 55% 615万円

贈与税の課税方法2種類:「暦年課税」と「相続時精算課税」

暦年課税は、時間をかけ計画的に行うことで、相続税対策に大きな効果がある

贈与税の課税方法の一つに「暦年課税」があります。1年間の贈与にまとめて課税する方法で、先にも説明した通り、110万円までは非課税です。言い換えれば、贈与税がかかるのは110万円を超えた分のみであるため、計画的に生前贈与をしていくことで、相続税対策に大きな効果が生まれるのです。

暦年贈与のメリットは、相続税の節税効果が高く、生前贈与によって将来的に相続財産から外せることでしょう。

逆に、暦年贈与のデメリットは、大きな財産を一度に動かすことができないことです。資産価値の高い財産を動かせば贈与税の負担が大きくなり、相続税対策の効果は小さくなります。

相続時精算課税制度は、相続財産を前渡しする制度で2,500万円まで非課税が可能

一方、「相続時精算課税」は、相続財産を前渡しする制度で、2500万円までが非課税対象です。生前贈与として2500万円を超えた分に対して、20%の税率で贈与税が課税されます。
2500万円以内であれば、資産価値の大きな財産を一度に動かしても贈与税がかからないわけです。この点は、「相続時精算課税」のメリットといえるでしょう。

デメリットは、将来的には、生前贈与の財産も相続財産に含まれるため、相続税の課税対象になる点です。相続税の節税効果としては、単純に考えたときあまり期待できないということですね。

注意点として、「相続時精算課税」には贈与者・受贈者ともに制限がありますが、2015年の税制改正によって制限内容が変わり、適用範囲が広がりました。財産を与える人(贈与者)が65歳以上であったところ60歳以上に引き下げられ、父母に加え祖父母も贈与者として認められることになりました。また、財産をもらう人(受贈者)も20歳以上の子のみであったところ、孫も可能としました。

相続時精算課税制度における相続税の算出方法

実際に贈与が行われ、後に相続が発生したとき、相続税はどのように算出されるのか見てみましょう。

まず、この贈与によって得た財産について、贈与時の価格による累計額を相続財産に足して、相続税額を出します。仮に、被相続人の子が相続時精算課税制度によって贈与財産を取得していた場合、算出した相続税額からすでに支払った贈与税額を控除した金額を、相続税額として納付することになります。

つまり「相続時精算課税制度」は、相続時にそれまでの贈与税額を精算して、相続税額を納税するものですから、いわば相続税の仮払いであって、相続税が軽減するわけではありません。さらに、一度この制度を選択すると、従来の贈与税制度に戻すことはできません。

ただし、いずれ値上がりが見込まれる財産であれば、相続時に加算する贈与税額は贈与時の価格で算出されるため、その値上がり分に対する相続税は節税したことになります。値上がり見込みがある財産の贈与であれば、そのメリットは大きなものになるといえますね。

「相続時精算課税制度」の利用は贈与ごとに選択可能で、贈与を受ける人は贈与ごとに制度の適応を受けるかどうかを選ぶことができます。

例えば、父からの贈与のみ相続時精算課税を選択する、また、父からの贈与について長男は相続時精算課税制度を、次男は暦年課税を選択するといったことも可能です。

相続時精算課税制度と通常の贈与税と比較

  相続時精算課税制度 通常の贈与制度(暦年課税)
贈与税額の計算 (課税価格2500万)×20%
※課税価格は贈与者ごとに合計する
(課税価格-110万)×累進税率
※課税価格はその年に贈与を受けた金額の合計額
受贈者の条件 20歳以上の子および孫 なし
贈与者の条件 60歳以上
(住宅取得等資金の贈与は条件なし)
なし
贈与税の納付 贈与時に納付し、相続時に精算 贈与時に納付し、完了
相続税計算との関係 贈与時の課税価格が相続財産に加算される 相続財産から切り離される

(相続開始3年以内の贈与は加算)
贈与税の債務控除 控除できる 控除できない
相続税を減少させる効果 なし
※時価の上昇が見込める場合は効果あり
あり
その他 一度選択したら、従来の贈与制度は適応不可 いつでも相続時精算課税制度に移行可能

※相続時精算課税制度は、相続財産を前渡しするための制度といえます。

相続時精算課税の適応例

相続時精算課税の適応例

賃借権は課税あり、使用賃借は課税なし

土地の貸し借りが行われた場合、借り手は地主に対して地代(土地を利用する金額)を払います。

権利金の支払いが一般的となっている地域においては、地代のほか権利金などの一時金を借地権設定(土地の所有者に対する借主権利)の対価として支払います。

では、親の土地に子が家を建てた場合、子が親から借地権相当額の贈与を受けたことになるのでしょうか? この場合、使用賃借による土地使用権利の価値はゼロとして取り扱われます。従って、子への贈与とはみなされず、借地権相当の贈与税が課税されることはありません。

使用賃借の土地の評価

しかし、この使用賃借されている土地は、将来、親から子へと相続されるときに相続税の課税対象となります。相続税は、この土地の価額は他人に賃貸している土地ではなく、自分が使っている土地としての評価額で計算します。

なお、親の土地に子が家を建てる際に借地権利金を払わないまま地代を払うと「賃貸借」となり、借地権は子への贈与とみなされるため、贈与税が課税されます。

贈与税の申告と納税

贈与税の申告・納税は、いずれも財産をもらった人(受贈者)が、期限内に受贈者の住所を管轄する税務署に提出しなければなりません。申告と納税の期限は、財産を取得した翌年の2月1日から3月15日で、納税は原則一括納付とされています。

この期限を過ぎてからの申告や、実際より少ない額での申告には、加算税が課せられます。また、期限を越えた納税には、延滞した税額に対して延滞税がかかります。

実際のところ、申告・納税期間は意外と短く、管轄税務署で行わねばならないなど手間もかかります。手元に現金がなければ、一括納付が難しい場合もあるでしょう。けれども、2012年以降は、贈与税の申告にe-Taxが利用できるようになりました。また、一定の要件を満たしたうえで延納申請の手続きをすれば、最大5年の「延納」も可能です。

【延納を受けるための要件】

【延納を受けるための要件】
・税額が10万円を超える
・一括納付が困難な理由がある
・担保を提供が可能(※延納税額100万円、延納期間3年を超える場合)
・申告期限までに延納申請書を提出する

加算税、延滞税はどちらもいわゆるペナルティーであり、悪質とみなされた場合も含めると贈与額の最大40%にと、決して少なくありません。ペナルティーを受けることのないよう、申告・納税期限には十分注意するようにしてください。

相続税の申告・延滞についてはこちら⇒
相続税の延納についてはこちら⇒

2000万円まで非課税となる「夫婦間贈与の特例」とは

夫婦間での財産贈与では、110万円を超える財産であっても贈与税がかからないことがあります。これを「贈与税の配偶者控除」と言い、最大2000万円まで控除される特例に加えて、基礎控除110万円と合わせると、最大2110万円まで控除可能となるのです。

配偶者控除は、同一配偶者間で一生に一度のみ適応が認められる特例です。すでに1600万円の控除額の適応を受けていたら、翌年以降に残りの400万円分の控除を受けることはできないというわけです。

【配偶者控除の特例適用に必要な添付書類】

①受贈者の戸籍謄本または抄本→本籍地の市区町村役場
②受贈者の戸籍附票の写し→本籍地の市区町村役場
③受贈者の住民票写し→住所地の市区町村役場
 (※②に記載の住所が③の不動産所在地と一致していれば不要)
④贈与された住居用不動産の登記事項証明書→法務局

①と②は婚姻期間の証明、③と④は贈与された不動産、または、贈与された金銭で取得した不動産が贈与以前かつ以降の居住用であることの証明となり、必要に応じて上記を添付して税務署に申告します。

【配偶者控除の適応要件】

➀夫婦の婚姻期間が20年以上となった後に贈与が行われること
 ※事実上の婚姻関係には適用されません
➁配偶者から贈与された財産が、自身の居住用不動産である、または、居住用不動産を取得するための金銭であること
➂贈与を受けた年の翌年3月15日までに、贈与によって取得した居住用不動産(国内)、または、贈与された金銭で取得した居住用不動産(国内)に、受贈者本人が実際に住んでおり、その後も引き続き住む見込みであること

教育資金なら1500万円まで非課税で贈与できる

生前に「教育資金」「結婚・子育て資金」として贈与すれば、1500万円まで非課税となる制度です。2013年度から導入され、現在期限は2019年3月末までに延長されています。

教育資金贈与の非課税制度は、直系尊属である祖父母・父母から30歳未満の子や孫に対して贈与された財産を、教育目的の資金として使った場合は贈与税がかからないというものです。

贈与できる金額は、子や孫(受贈者)1人当たり1500万円まで。教育資金として認められるのは、保育園・幼稚園・大学・大学院・海外留学といった主に進学用途のほか、500万円を上限に、習い事やお稽古などの月謝・指導料なども適用対象です。受贈者が30歳になるまでに使う幅広い教育費用に充てられるため、使い勝手の良い制度といえるでしょう。

対象となる子や孫の人数によっては、将来の相続税の課税対象財産を一挙に減らせるというメリットがあるほか、子や孫の教育に貢献できる制度でもあります。

制度を利用する際には、金融機関に贈与を受ける子や孫の名義で専用口座を開設し、教育用との支払いを証明する領収書を金融機関に提出することで、支出した金額が支払われる仕組みです。

預金資金がゼロになった時点で終了ですが、仮に教育資金として使い切れなかった場合、残額は贈与対象となります。受贈者の子や孫が30歳になった時点で口座に金額が残っていれば、残りの金額に贈与税がかかってしまうため、制度の適用年数を考慮して金額を決め、計画的に使用していく必要があるでしょう。

教育資金として認められるのは以下のような通りです。

【学校等に直接支払われる金銭】

・入学金、授業料、入園・保育料、施設設備費または入学試験検定料など
・学用品費、修学旅行費、給食など学校等の教育に伴う費用

【学校等の範囲】

・幼稚園、保育所、認定こども園、保育所に類する施設
・小学校、中学校、高等学校、大学、大学院
・特別支援学校、中等教育学校、高等専門学校、専修学校、各種学校
・国内外にある外国の教育施設(日本人学校、インターナショナルスクール、外国大学日本校など)のうち一定のもの、
・海技大学校、国立看護大学、職業能力開発校、職業能力開発促進センター、障害者職業能力開発校など

【学校以外に対して支払われる金銭】

・教育関連サービス(学習塾、そろばん、家庭教師、英会話教室など)の提供対価、施設利用料
・スポーツ(水泳、野球、サッカーなど)や文化芸術(絵画・書道・ピアノ・バレエ教室など)の活動に関わる指導料など
・通学定期券代
・留学渡航費、学校入学・転校・編入時に必要となった転居時の交通費

注意!孫や子への「教育資金の一括贈与」で対象になるもの・ならないもの
注意!孫や子への「教育資金の一括贈与」で対象になるもの・ならないもの
「教育資金の一括贈与は平成31年まで期間が延長され、30歳未満の孫や子への教育資金の贈与が最大1500万円まで非課税になるという制度です。
可愛い孫へ1,500万円を無税で贈与できる!「教育資金贈与制度」のメリット・デメリットを解説
可愛い孫へ1,500万円を無税で贈与できる!「教育資金贈与制度」のメリット・デメリットを解説
孫が高校や大学に通うなどの目的のために「教育資金贈与制度」が2013年4月から開設されました。孫1人につき最大1,500万円まで贈与税が非課税になるという制度です。

生前贈与に生命保険を活用

財産を生前贈与したいと考えたとき、もっとも多いのが現金や預貯金の贈与です。しかし、子や孫に現金や預貯金をそのまま渡すことにためらいを感じるという声はよく聞かれます。子や孫の金銭感覚を麻痺させてしまうのではないか……と心配される方も多いのではないでしょうか。こういった懸念を防ぐ方法として、活用しやすくかつ効果的なのが、生命保険の生前贈与です。

現金・預貯金と違い、生命保険は現金を簡単に引き出すことができません。仮に、子が親から現金の贈与を受け、その現金を生命保険料の支払いに充てるとします。以下の契約内容で生命保険に加入したとして、見ていきましょう。

契約者(保険料負担者):長男
被保険者(保険対象者):父
保険金受取人:長男

この契約では、被保険者である父親が死亡したとき、死亡保険金を受け取るのは長男で、受け取った保険金を相続税の支払いに充てることが可能になります。

生前に生命保険を活用するメリット

現金を生命保険に置き換えるだけで、親の死亡時まで現金を引き出すことができなくなり、貯金という形で確実に保有しておくことが可能になります。

また、現金を保険料として生前贈与することで、親が死亡時に受け取った保険金は子の「一時所得*1」です。親の財産から子の財産への資産の移転となり、課税も一時所得として算出されます。

親の財産を子に生前贈与するのですから、親の財産が減り、従って相続税の節税になるというわけです。贈与する現金を年間110万円以下に抑えることができれば、贈与税もかかりません。

*1子が受け取った死亡保険金は子自身が保険料を負担しているため、親の遺産を相続したのではなく、子の一時所得として扱われます。従って、相続税ではなく所得税の対象となり、次の算式で算出します。

(死亡保険金-保険料総額-50万円)×1/2

支払った保険料の総額より、受け取った死亡保険金が多かった場合、保険金と保険料の差額から50万円を差し引いた金額の半額に対して所得税が課税されます。

所得税は、一時所得と給与所得などを合算した総合所得に基づいて算出されます。死亡保険金を生前贈与として活用した場合、課税されるのは、得られた死亡保険金の1/2部分のみであるため、所得税が最高税率の45%だったとしても、実質の税率は22.5%で済むのです。

仮に、遺産相続した際の相続税率が22.5%を超えると見込まれるときは、子の所得として所得税の課税を受けたほうが、トータルの納税額は抑えられるということです。生命保険を生前贈与で活用することにより、計画的な相続税対策が可能になるのです。

生前贈与に生命保険を活用するデメリット

それでは、デメリットはどうでしょうか。

生前相続において生命保険をうまく活用すると、贈与税・相続税の節税になりますが、注意しなければならないこともあります。

生前贈与に生命保険を活用した場合、受け取った生命保険金は子の所得税の対象になります。住民税・所得税は所得額に応じて税率が上がっていくため、子の所得が多い場合は、贈与・相続と所得のどちらにするのが有利か、どちらにどのような不利益があるか、比較・検討が必要になるのです。

つまり、贈与税・相続税と住民税・所得税、それぞれの税負担がどれくらいになるの、その比較・検討をすることで、保険料の年間支払額や死亡保険金額が決まります。そして、仮に子が複数いるのであれば、どの子に対して生前贈与するのが有利になるのか、よくよく検討して決める必要があります。

生前贈与に生命保険を活用するには?

生前贈与に生命保険を活用するには、必要事項として次の4点を確認しましょう。

➀相続税対策に効果的な生命保険に加入する
➁保険金の受取人を誰にすれば相続税対策の効果が高いか比較・検討する
➂親を被保険者、子が保険契約者(保険料支払い人)として契約できる生命保険に加入する。
➃生命保険料に見合う現金を親から子に渡すことで、親から子への生前贈与が成立するための準備をする

・贈与契約書を作成する
・子の名義で預金口座を用意し、その口座の通帳や印鑑は子が管理する
・子名義の預金口座へ親が現金を振り込み、生命保険料の引き落としが子の預金口座から行われるようにする
・親が所得税を計算する際に、支払った生命保険料については生命保険料控除を利用しない

生命保険の被保険者を父としたとき、契約形態により課税分類がどうなるのか、見てみましょう。

課税分類 保険料負担者 被保険者 受取人
贈与税
相続税
所得税

生命保険は契約の仕方により、贈与税・相続税・所得税のどれが課税されるかが変わります。けれども、課税分類が相続税であれば一定部分が非課税になる制度もあり、課税分類をどうしたらもっとも有利になるか、比較・検討が必要です。

相続税を計算する際、死亡保険金は「みなし相続財産」として相続財産へ合算し、計算します。しかし、死亡保険金の受取人が相続人であるとき、「保険金の非課税限度額」の制度が適用でき、この非課税限度額以下の部分には相続税が課税されません。

保険金の非課税限度枠は以下の算式で計算します。

死亡保険金の非課税枠=500万円×法定相続人数

※法定相続人数には、相続放棄。・相続欠格者は含まれません。
※法定相続人の中に養子がいる場合、相続人として数えられる養子は、実子がいれば2人まで、実子がいなければ1人までと制限があります。

死亡保険金は相続人が現金で受け取るため、相続税の支払いに充てる現金の確保が可能になります。さらに保険金の非課税枠もあるため、相続税の節税効果も見込めるのです。

相続税対策効果の高い生命保険に加入する

生命保険には大きく分けて3種類あります。それぞれの特性を踏まえ、どの生命保険に加入すれば相続税対策にもっとも効果的なのか、比較・検討しましょう。

➀定期保険=保険料「掛け捨てタイプ」です。高額な死亡保障が得られますが、保障期間は10年などと限定的で、満期になっても支払った保険料は戻ってきません。
➁終身保険=「貯金タイプ」の生命保険です。一生涯保障であるため満期がなく、解約すれば保険料が戻ってきます。
➂養老保険=保障期間が10年などと限定され、そのうえで満期もある、定期保険と終身保険の特徴を兼ね備えた保険です。満期になれば支払った保険料は戻ってくるため、「貯蓄タイプ」といえます。

死亡保険金には相続税の非課税枠(500万円×法定相続人数)があるため、この非課税枠を有効に使えるのは「終身保険」でしょう。

人が亡くなる時期は予想できませんが、満期のない終身保険であれば、確実に保険金を受け取ることができます。定期保険、養老保険には満期があり、多くの保険商品には、加入できる年齢や健康状態に制限があります。さらに、健康状態によっては更新で生命保険に加入できなくなったり、契約更新ごとに上がって行く保険料が支払えず、結果的に保険金額を減額していくことになる可能性も低くありません。

もっとも高い相続税対策効果が得られる保険金受取人を指定する

死亡保険金における相続税の非課税枠は、保険受取人が相続人であったときに、その保険金に適用されます。そのため、どの相続人を保険金受取人とすれば、相続背対策にもっとも有利となるのかは、よくよく比較・検討する必要があります。例を挙げて見ていきましょう。

例1)配偶者が保険金受取人

配偶者には「配偶者の税額軽減」の特例制度があり、多くの場合、配偶者に相続税がかかることはありません。この特例は配偶者の相続税負担を軽減する目的の制度で、「相続財産のうち、①法定相続分まで②取得財産1億6000万円まで――の①②いずれか多いほう」の金額以下には相続税がかからないのです。

もともと相続税がかからない配偶者を受取人にしても、相続税の非課税枠を活用することはできません。相続税の課税対象となる子を保険金受取人としたほうが、非課税枠を有効に使うことができるでしょう。

例2)子が2人いる場合
生命保険の非課税枠が1500万円(500万円×③<配偶者、子2人>)分あるたね、預金を生命保険という形に置き換えるだけで、死亡保険金1500万円まで相続税がかからなくなります。

生命保険金の非課税枠は、父母の両方の相続の際に利用したほうが有利になります。例えば、以下のようなパターンが考えられます。

・被保険者を母とした保険契約を父が結び、保険料は父が支払う・父の死亡で相続が開始されたとき、生命保険契約は相続財産となり、母がこの契約を相続する。
・母は自分で西面保険を契約し、自分で保険料を支払う

上記のパターンであれば、父の相続、母の相続いずれの際にも生命保険金の非課税枠を有効に使うことができます。
生命保険の加入条件として一番大きなものは「健康であること」です。生命保険を生前贈与に活用するのであれば、できるだけ早めに対策できるよう比較・検討しておきましょう。

生命保険で相続税対策をするメリット

2015年より相続税の改正で基礎控除が引き下げられました。これは、相続税の納税対象が拡大されたということであり、生前を含め、相続税対策を講じる人も非常に多くなっています。そのなかで、相続税対策として有効として注目されているのが生命保険です。

これまでの解説を踏まえ、相続税対策として生命保険を活用するメリットをまとめてみましょう。

➀死亡保険金受取人を指定することで、遺産分割協議のトラブルを回避する

法定相続人が複数いる場合、兄弟姉妹を含め親族で財産をめぐる争いが起きるケースは多数あります。特に、すぐに分割しにくい不動産が相続財産であった場合、遺産分割の争い原因となりがちです。

そこで活用できるのが、生命保険の死亡保険金です。保険金は受取人固有の財産であるため、遺産分割協議の対象外となります。特定の相続人に相応の財産を残したい場合、保険受取人として指定することで、争族を避けられる可能性があります。

また、生命保険であれば複数の受取人も指定できるため、相続財産の分割が難しいときにも有効な方法となります。この保険金の受取人指定には遺言と同じ効力があるため、被相続人の意思が尊重されやすいのです。

➁生命保険・死亡保険金で納税資金を準備する

相続財産の大半が土地・建物などの不動産であれば、現金の確保が難しい場合もあります。死亡保険金は現金で受け取るため、多額の相続税を納付しなければならなくなった場合にも、その納付金として活用できます。

相続財産は、遺産分割協議が終了するまで凍結されるため、相続財産を受け取るまでに時間がかかってしまう可能性もあります。しかし、死亡保険金であれば、受け取りに必要な書類を用意するだけでよく、3日~2週間程度で現金を受け取ることが可能になるのです。

➂「生命保険金の非課税限度額」制度により、財産評価を引き下げて相続財産を減らす

死亡保険金の非課税限度額は「500万円×法定相続人数」で算出できます。この価額を相続財産から控除し、相続財産の評価額を下げることが可能です。相続税が発生した場合、生命保険をうまく活用することで相続税自体を回避できる可能性もあります。

また、生命保険の死亡保険金は非課税枠の適用で控除を受けられますが、預貯金を相続した場合、預貯金額がそのまま相続税の対象になります。相続税の節税対策として、死亡保険金は活用しやすい形なのです。

生命保険加入の際の注意点

生命保険の加入時は、健康状態が重要な要素です。生命保険を生前の相続税対策としたとき、高齢になってから生命保険に加入しようとするケースは多くありますが、健康を損ねていては、そもそも加入できなかったり、通常より高額の保険料支払いが必要になる場合もあります。

相続税対策は早いに越したことはありません。生命保険にスムーズに加入できる時期に検討することをお勧めします。

また、相続税対策に生命保険を活用するためには、一般的に保障が一生涯続く「終身保険」が適しています。保険料に加えて支払い期間も考慮し、保険商品を選ぶことが重要です。

保険料を一括で支払う

生命保険を相続税対策として活用するのであれば、「一時払い終身保険」も検討してみましょう。一時払い終身保険とは、保険料を一括で支払うことで月々の保険料を安く抑えられるタイプの生命保険で、近年、相続税対策に利用しやすいとして注目されています。

●一時払い終身保険:男性60歳の場合

・保険期間:終身
・死亡保険金額:1500万円
・保険料:1303万円(一括)

保険料の1303万円を一括で支払い、万が一の際には、死亡保険金額として1500万円が支払われます。

仮に法定相続人が3人いる場合は、非課税枠が1500万円まであるため、課税されません、また、一時払い終身保険は貯蓄としても活用しやすい保険で、上記の契約の場合、3年が経過した4年目には解約時の返戻率が100%を越えることになります。10年後には104%、15年後の75歳の時には106.5%まで保険金が増えていきます。

驚くほどの増加率ではありませんが、預貯金の金利が限りなくゼロに等しいゼロ金利時代、超低金利時代と言われる現在、3年で100%を越え、その後は増えていくという仕組みは、貯蓄としても有効な方法といえるのではないでしょうか。相続税対策も兼ねられるわけですから、活用しない手はないでしょう。

終身保険で保険料を支払っていく

大きな現金を一括で手に入れることはできなくても、資産はあるので早めに相続税対策をしておきたいという方に向いているのが、年払い型の終身保険です。万が一の際にも、指定した受取人に死亡保険金が支払われ、かつ、控除も受けられます。

●終身保険:男性60歳の場合

保険期間:終身
保険料払込期間:70歳まで
死亡保険金額:1500万円
保険料(年払い):135万5040円 ※参考金額

※死亡保険金額が1500万円支払われるのに対し、保険料を70歳まで10年間かけて支払っていきます。保険料総額は約1355万円で、保険料総額よりも多い死亡保険金を受け取ることができるうえ、生命保険の控除枠も適用されます。

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