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遺産分割:遺産の分け方には4つの手続き、5つの分割方法がある

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2016年10月06日 公開

遺産の分け方にはいろいろな方法があります。

遺言書がない場合、遺産をどのよう分けるかは、基本的に相続人同士の話し合いで自由に決められます。これは、民法第907条「遺産の分割の協議又は審判等」 で定められています。

相続人が1人しかいなければ、被相続人の財産を受け継ぐのはその1人なので、問題は少ないでしょう。けれども、現実的には複数人いることが多く、その場合、誰がどの財産をどのような割合で相続するかを話し合い、遺産の分割方法を決めることになります。

この遺産の分配を「遺産分割」と呼びます。遺産分割は、相続人が1人でも欠けると無効になってしまうため、必ず、分割の話し合いの前に誰が相続人で何が相続財産なのかを把握することが重要です。そのためには、まず財産と債務を記載した財産目録を作成します。遺言書が あれば、遺言書の記載内容が優先されます。ただし、相続人全員が遺言書の内容に異論があれば、相続人同士の協議のうえで遺産分割することも可能です。また、相続人全員が納得すれば、どのように分けてもかまいません。

遺産分割に期限はありませんが、税法には、被相続人の死亡を知り相続が発生した日の翌日~10カ月以内に相続税を申告しなければならないという規定があります(相続税法27条1項)。その期日までに遺産分割がまとまらなければ、「配偶者の税制軽減」「小規模住宅地の課税価格の特例」など税法上の特例が受けられなくなるため、分割は期限通りに済ませたほうがよいでしょう。

遺産相続のスケジュール⇒

遺産分割には複数の方法があり、いくつかを組み合わせることも可能です。それぞれの特徴を考慮し、自身の家族構成・財産状況からベストな方法を選択しましょう。

下記にも記載していますが、「代物分割」や「換価分割」では、その資産を譲渡した場合の譲渡益は譲渡所得となり、譲渡した方も所得税の対象となるため、注意が必要です。

遺産分割のポイント

遺産分割のポイント

特別受益とは?⇒

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遺留分:相続人なのに遺産がもらえない?

遺産分割を進めるための5つの方法

遺産分割の5つの方法

➀現物分割

相続でもっとも一般的に行われている方法で、相続する財産の1つ1つについて取得者を決定していく方法です。

ただし、相続人それぞれに思惑があったり、強引に一方的な意思を通そうとする相続人がいたりすると分割協議はスムーズに進みません。意見調整に時間・労力が想定外にかかってしまうことも事があります。

また、たとえ遺言者などで相続財産が指定されていたとしても、すべての財産が盛り込まれているとは限りません。財産を残す側(被相続人)があらかじめ調整用の現金を用意するなどしておくことで、協議が円滑に進むというケースは少なくなりません。

②代償分割

仮に、亡くなった方が事業を営んでいたとし、その会社の株式を後継者である長男が自身の相続分を超えて相続することになったとします。このようなケースでは、その超過分を長男の財産から他の相続人に対して金銭で支払い調整をする方法を採ることができます。

ただし、調整できるだけの現金を長男が保有しているかがポイントになります。

➂代物分割

相続分を超えていったん相続財産を受けたものを変える際に、現金ではなく自身が持っている株式・不動産・債券などの現物を他の相続人に譲渡することで、帳尻を合わせる方法です。

➃換価分割

相続財産をすべて売却などして、いったんすべて現金に換えてから分割する方法です。

この方法であれば、法定相続通りに分割することができますが、不動産などをそのまま次の世代に承継させたい場合など、現金化が困難な財産や、不適当な財産(自社株等)があるときには使えません。

➄共有分割

分割しにくい不動産等が相続財産であるケースでは、複数の相続人がそれを共有するかたちで相続する方法です。

手間のかからない遺産分割方法ですが、後々処分しにくいといった問題もあり、先送りの分割方法という捉え方もできます。

遺産分割手続きには4種類ある

以下に説明する遺産分割手続きのうち、➂の「調停分割」はあくまで話し合いによる合意ですが、➃の「審判分割」は非公開の裁判です。審決には法的効力があり、相続人はそれに従わなければなりません。また、調停分割には確定した審判と同一の効力があります。

➀遺言による分割

亡くなった方が遺言で相続分を定めていた場合は、指定相続分に従い遺産を分割します。

これを「指定分割」と言い、遺言書の中で遺言執行者が指定されている場合、その遺言執行者が遺言執行におけるすべての権限を持ち、遺言を執行します。

➁協議による分割

相続人全員による話し合いで遺産分割を行う方法です。これを「協議分割」と言い、遺言がない場合や、遺言に全財産についての指定がない場合、相続人全員が遺言内容に承服できない場合などに行われます。また、相続人全員の合意があれば、法定相続分に縛られず自由に相続分を決めることができます。

➂調停による分割

協議がまとまらない場合などには、裁判所に調停を申し立てることができます、これを「調停分割」と言います。調停分割では、調停委員などが当事者の希望や意見を聞き、遺産調査の結果など踏まえながら、合意に向けて話し合いを進めていきます。

➃審判による分割

調停でもまとまらない場合は、裁判所による審判に移行します、これを「審判分割」と言います。
審判分割では、裁判官が調査や証拠に基づき分割の審判をします。

相続人の中に行方不明者がいる場合

遺産分割を行う際に不在者がいると、話を進めることができなくなります。

この「不在者」とは、従来の住所を去り、容易に戻ることのない者であり、長年連絡が取れず生死も所在も分からない者などを指します。

では、相続人に不在者がいる場合、どうすればよいのでしょう。状況により、次の3つの方法が考えられます。

➀不在者の財産管理人が協議に参加

もし、不在者自身が親族などに財産管理人として財産管理を依頼している場合は、裁判所から財産管理人が遺産分割協議に参加する許可をもらい、その者が遺産分割協議に参加します。

➁不在者財産管理人を選任する

財産管理人がいない場合は、家庭裁判所に不在者財産管理人の選任を申し立てます。
申し立てが可能なのは、不在者の配偶者や相続人にあたる者、債権者などです。

さらに、選任された不在者財産管理人は裁判所から許可をもらい、不在者に代わって遺産分割協議に参加します。

➂失踪宣言をする

失踪者宣告制度を利用します。これは、生死不明である不在者を死亡したものとして扱い、不在者の法定相続人が遺産協議に参加する方法です。

ただし、失踪宣言は通常、生死不明となってから7年を経過している必要があり、失踪の状態によってはその期間も変わってきます(民法第30条1項)。また、失踪宣告の申立後、公示催告期間として普通失踪なら6カ月以上が必要とされています(家事審判規則40条2項)。

実際には、失踪宣告の申立から公告期間満了まで8カ月程度が設定されますので、手続きに1年程度かかると見ておいたほうがいいでしょう。

不在者財産申立て手続き必要書類

利害関係者(不在者の配偶者、相続となる者、債権者)、または検察官が申立人となり、不在者従来の住所地の裁判所で手続きが可能です。

  • 不在者財産管理人選任の申立書
  • 不在者の戸籍謄本および戸籍附票
  • 不在の事実を証明する資料
  • 不在者の財産に関する資料(不動産登記簿事項証明、通帳写し等)
  • 財産管理人候補者の住所票または戸籍附票
  • 申立人の利害関係を証する資料(戸籍謄本、賃貸借契約書等)

不在者財産管理人選任申立書の書き方・雛形・サンプル集

各種類の分割方法

預金などの債権の遺産分割の方法は?

銀行などの金融機関に預けてある普通預金、定期預金などを「預金債権」と言います。また、ゆうちょ銀行に預けてるお金は通常貯金債権、定期貯金債権と言います。

預金債権はこれまで、相続分が決定していれば分割協議手続きは原則不要でした。これは、預金債権は遺産分割の対象とならず、法定相続分に基づき、銀行などの金融機関から各々払い戻せるものだったということです。ちなみに「預金債権」とある通り、ここに貯金債権は含まれません。

しかし、2016年12月19日に最高裁がこれまでの判例をくつがえし、「普通預金、通常貯金、定期貯金、いずれの預貯金債権も遺産分割の対象になる」という決定をしました。また、2017年4月6日には、信用金庫における定期預金、定期積金でも同等の決定が最高裁判決で示されました。つまり、亡くなった方(被相続人)の名義の銀行・信用金庫などの預金口座、ゆうちょ銀行口座に預けてあるお金は、普通・定期・積立いずれも遺産分割の対象となるため、遺産相続開始後、法定相続分に応じた払い戻しはなされないということです。

この決定により、遺産分割の対象が広がったことは確かですが、一方で、遺産分割の協議がスムーズに進まなければ、迅速な現金化が難しくなる可能性も高まります。

よって、より早い現金化を望むなら、これまで以上に遺言書の作成が重要視されると考えられています。もしくは「遺言代用信託」や生命保険契約のように、早い段階で相続人が現金を受け取ることのできる事前措置を取ることも考えておく必要があるでしょう。

生命保険の相続・分割方法は?

生命保険は契約によって受取人が異なります。保険会社との契約なので、被保険者が亡くなった場合、契約により保険金の支払いが行われます。

契約をした者を「保険契約者」と言い、保険金を受け取る権利者を「保険金受取人」と言います。

特に指定しなければ、生命保険契約者が保険金受取人となりますが、保険契約者は契約上、保険金受取人として指定できるのは原則、配偶者もしくは2親等以内の親族です。。

これらの親族がいない場合はそのほか、事実婚のパートナーや婚約者も指定できる場合もありますが、保険会社の規定によります。また、
保険契約は、自分以外を被保険者(保険金受取人)とした場合、受取人当人の承諾を必要とするのが原則です。
生命保険の請求権が遺産分割にかかわってくるのは、被相続人が保険契約者でかつ保険受取人であった場合です。保険契約上の権利は亡くなった方の財産となり、保険金請求権が債権として遺産分割の対象になるのです。

言い換えれば、受取人として契約者本人以外が指定されていれば、保険金は遺産にはなりません。保険金は受取人固有の財産であり、それは受取人が単独であっても複数であっても変わりません。

また、保険契約者当人が受取人となっている保険の保険金請求権は、遺産分割の対象にはなりますが、遺産分割協議の対象にはなりません。保険金は金銭債権で、法定相続分に応じて当然に分割されるとして分割協議の対象から外れます。

別のケースでは、受取人の指定として、単に相続人として記載されていることがあります。

この場合、保険金は相続人全体に対する遺産となりますが、保険金請求権は相続財産ではなく、相続人でもある個人が保険契約上、直接権利を取得するものです。たとえ、
財産に対する債権者がいても、債権者は保険金に対して請求することはできません。

生命保険の利益は原則的に遺産分割の対象にはならず、「特別受益」にもあたりません。しかし、相続人の間で「到底是認できないほどの著しい」不公平が生じた場合は、例外として保険金が「特別受益」として相続財産と見なされることがあります。

これまで、生命保険金が特別受益として持ち戻しとなった事例では、次のようなものがありました。

・総額約1億円の生命保険金を子の1人が受け取ったが、介護や不要の事実が認められないとして(東京高裁決定 2005年10月27日)。
・遺産総額の約60%にあたる価格の生命保険金を受け取った後妻に対して、婚姻期間が短いなどとして(名古屋高裁決定 2006年3月27日)。

このように、必ずしも保険金が相続財産にならないというわけではなく、状況によっては、遺留分権利者から減殺となる可能性もあります。

特別受益とは?⇒

不動産の遺産分割の方法は?

不動産とは土地と建物で、相続が開始すると相続財産である不動産は、いったん相続人全員の共有物となります。

不動産が複数あっても、個々の不動産がそれぞれ相続人の共有物となり、この段階で各不動産について、相続を原因とする所有権移転の共有登記が可能です。しかし、共有登記をしていなくとも、共有物であることに変わりありません。

この共有登記手続きは、共有物の現状を維持するための「保存行為」として、相続人の1人が単独で申請できます。また、相続人の債権者がいる場合、債権者代位権により共有登記の申請できる他、譲渡や差し押さえも可能です。

遺産分割協議が成立したら、それに従って登記を行い、単独または新しい共有となります。
この分割は相続開始のときにさかのぼって効力を生じます。最初から分割してあったと同様に考えられるため、分割前の差し押さえや、共有持ち分の譲渡があった場合には、これを考慮した
遺産分割協議書を作成することになります。

分割協議で不動産を売却したり、1人の相続人がすべてを相続し、他の相続人に金銭を支払うという「代償分割」という方法もあります。

相続登記の申請

相続登記の申請は、対象となる不動産の住所地を管轄する法務局で行います。申請方法、提出書類などは、遺産の分割方法(指定・法定・協議分割など)により異なり、郵便書留やインターネット申請も可能です。

書類に不備や不足がなければ、1週間~2週間で相続登記が完了します。書類の不備・不足があれば、補正しない限り登録完了にはならず、法務局に何度も出向く必要がある場合もあります。

制度として、不動産の相続または遺贈を受けた当事者による自己申請は十分可能ですが、その場合は、最寄りの法務局で相談してから手続きを行うとよいでしょう。

登記が完了すると、登記識別情報が通知され、これが権利書となります。大切に保管しておきましょう。

必要書類

  • 遺産分割協議書、各相続人の印鑑証明書(協議分割の場合)
  • 相続人全員の戸籍謄本
  • 相続人全員の住民票
  • 登記申請書
  • 亡くなった方(被相続人)の出生から死亡までの全戸籍謄本
  • 亡くなった方(被相続人)の住民票の除票
  • 固定資産評価証明書

遺産分割での不動産の評価の方法は?

不動産は、遺産の中で比較的大きい割合を占めるため、もめる原因となやすい遺産です。

この不動産を評価するには、原価法、比較法、収益法の3つがあり、裁判所の鑑定では主に比較法を取ります。都市化計画図や価格地点図などで比較を加え、評価していることが多いようです。

知識のない者同士の分割協議では、話し合う他、や不動産鑑定士などに依頼して決定する手もありますが、鑑定士などは費用がかかるのが難点です。

現在は、税務署の路線価格・地方自治体による固定資産課税台帳の評価額が土地価格に近いとされているようですので、目安とするのもよいでしょう。

各種の不動産の評価

●宅地その他の土地の評価

税務方式によれば、地域の税務署で調べれば扱いが分かり、公表もされています。路線価方式、倍率方式などがあり、評価額についての資料はできます。
地方自治体の固定資産税のための評価も、当事者であれば評価証明書が取れますので、参考にすることをおすすめめします。

●借地・貸地の評価

地域によってさまざまですが、借地権を6~7割と見るのが一般的で、借地権分を差し引いた価格が貸地の評価額となります。

●借家・貸家

一定の割合を掛けますが、その割合は地域により異なり、古い家屋は評価が低くなります。

●農地・山林の評価

税務署でもそれぞれ特殊な評価方法があります。

●家屋の評価

通常、固定資産税の評価によります。

不動産がローン返済中だった場合の分割方法は?

遺産には資産と債務、プラスとなる遺産とマイナスの遺産があります。相続すれば、相続分に応じて資産も債務も受け継ぐことになり。ローンが残っている場合も、亡くなった方の債務として引き継がれます。

その中で、不動産に付いている「抵当権」、上限額の範囲内で何度もお金を貸し借りできる「根抵当権(ねていとうけん)」の登記とローン債務は別ものです。

また「ローン返済中の不動産」は通常、不動産代金のローン債務に対して、その不動産に抵当権・根抵当権が設定され登記がされています。この抵当権付ローン債務も、債務に変わりなく、ローンの債務もマイナスの遺産として、相続人全員が相続分に応じて受け継ぎます。ただし、ローンとともに担保のために組まれている生命保険に入っていれば、債務はなくなります。

遺産分割では多くの場合、抵当権設定のある不動産の相続者が、ローン債務を分割して負担し、差額を相続分とすると考えられます。しかし、債務一般については、法定相続分と異なる遺産分割協議内容を債権者に対して主張できないことになっています(法律用語でこれを「対抗できない」と言います)。

仮に3人の相続人で、1人が財産の6割とローン債務をすべて相続し、残りの2人は財産の2割ずつのみを相続するという遺産分割を協議で取り決めたとします。相続人の間ではこの取り決めは有効ですが、債務者がこの協議や遺言の内容に従う義務はありません。

つまりこの例でいえば、財産の6割を得たうえでローン返済をしていくという取り決めをした人がローンの返済をしなかったため、債務者が残りの2人に返済を求めてきた場合、遺産分割協議の内容をもって返済を拒否することはできないということです。

債務を相続人の都合で分配しても、協議で債務ゼロとされた相続人が支払いを逃れるというわけにはいかないのです。

賃貸アパート・マンションなどの賃借権の分割方法は?

次に、建物などの賃借権は相続できるのかを見ていきましょう。

「建物賃借権」とは、賃借契約上の債権ですが、事実上は物権化しており、不動産に準じる権利です。建物賃借権も財産であり、遺産として相続の対象になります。仮に被相続人(夫)と同居していた妻と子が相続した場合、賃借権は問題なく相続人に承継されます。

相続は地位の承継であり、賃借権の譲渡はないため、家主の承諾は必要ありません。従って、承諾料や名義変更料、更新料の支払いも必要ないのです。

しかし、複数の相続人がいる場合は、先述したように賃借権も相続分に応じて共有となります。もちろん、このとき相続人の1人が取得しても問題ありません。

また仮に、被相続人が「内縁の妻」や「事実上の子」 とともに居住していた場合、相続権はありません。けれども、建物が居住用であり相続人がいない場合、賃借権の相続が認められ、内縁の妻や事実上の養子が家主に対する借家権を引き継ぐことは認められています(借地借家法第36条第1項)。

とはいえ、内縁の妻や事実上の養子の他に相続人がいる場合は、現在の法律では解決できない壁があります。賃借権を財産と見れば、相続人が権利を取得することになるため、内縁の妻や事実上の養子が該当の建物に長く住んでいたとしても、立ち退きを要求されるケースは少なくないのです。

また、相続人が家主と結託し、解約料を取って賃貸契約書を合意解除したため、居住していた者が住んでいられなくなるといった可能性も考えられますが、このような追い出しは認められていません。

一方、借地借家法では、内縁の妻の貸借権相続を認めるのは、内縁の夫に相続人がいない場合としていますが、 相続人の権利をもって、被相続人と内縁関係にあった居住人に退去を要求したとしても、それを拒否できるという判例があります。そうした場合、事実上、賃借権は遺産分割の対象にならないこともあります。

動産(物)遺留品などの分割方法は?

亡くなった方の状況がどうであれ、遺産には必ず動産がありますが、大抵は価値が低く、場合によっては廃棄処分することになるでしょう。その場合の費用も遺産持ちとなります。

●衣類、喪服・着物=役立つかもしれませんが、古着としての価値は低く、遺産分割協議などでも省かれることが多い品物です。ただし、形見分けとして扱われるものもあるため、相続人同士で相談するのが好ましいでしょう。

●貴金属・美術品・骨董品=遺産分割のもっとも対象となりやすい品物です。鑑定や専門業者のよる引き取りなどを検討し、むやみに人に譲ったり処分しないほうがよいでしょう。

●車・船=交換価値が高く、遺産分割の対象となります。

●機械・器具=交換価値が高いことが多く、遺産分割協議の対象となります。

●書籍・家具=「身辺の器具」として扱われるものです。骨董品やブランド品などの特殊な品物以外は、動産一式として処理されます。

●書類=法的・公的書類や、資料価値あるもの、保管義務が生じる書類がないとは限りません。そのため、処理については遺産分割協議で取り決めることが望ましいでしょう。

動産の評価は一概ではなく、実際のところ、なかなか難しいものです。しかし、比較的評価しやすい宝飾品・貴金属、美術品以外も、相続人の中で十分に議論することをおすすめします。

株式などの有価証券の遺産分割の方法は?

株券や株券の預託などの株式は大きな財産と見なすことができますが、株券は動産の扱いになります。

会社に対する株主の名義だけあっても、株券がすでに譲渡済みであれば、譲渡された相手(譲受人・ゆずりうけにん)の権利となり、財産ではなくなります。

株式は可分の権利であり、可分債権と同様に相続分に応じて分割されます。また、必ずしも遺産分割協議の対象にはなりません。

上場株は取引相場があり、税務上は、取り引きにおける時価として、相続日あるいは贈与日の終値、相続月の終値の平均額、相続の前々月終値の平均額のうち、いずれか低い金額で評価します。

また、上場株でなく、相続税法上で「気配相場の株」と呼ばれるものもあります。これは
「公開途上にある株式」を指し、売り出し価格(公開価格)で評価します。ちなみに、かつては「登録銘柄や店頭管理銘柄」と「国税局長の指定する株式」も気配相場株に含まれていましたが、2004年にどちらも廃止されました 。

未上場の株は原則、大会社では類似業種比準方式など、小会社では純資産評価方式、中会社ではそれらの方式を併用して評価します。また、ケースによっては配当還元方式や収益還元方式が採られるなど、評価の算出方法はさまざまです。

そのため、公認会計などの鑑定が勧められますが、家業・事業の株式会社にしてあるケースでは、資産や事業内容の評価が総株式の価格であることが多く、身内である相続人が資産・事業内容をある程度理解していることも少なくないでしょう。

ここで、もし争いが起こり裁判に発展しても、多くの場合、その評価を前提にした審判が下されます。まずは、株式を誰がどれくらい持っているのかを把握するために、株主名簿の記載を確認しておくとよいでしょう。

その他、評価しにくい資産としてはゴルフ会員権があります。ゴルフ会員権は税務上の扱いとして、取引相場の70%で評価します。また、分割協議にあたっては、相場から名義書換手数料を差し引いた額で分割することが多いようです。他には電話加入権などもありますが、実勢上価値は付かないのが現状です。

債務(借金)など、マイナスの財産の遺産分割の方法は?

金銭債務は相続分に応じて分けられます。亡くなった方の権利と義務の両方が引き継がれ、預金は欲しいが借金は拒否することはできません。

しかし、資産より債務が多いケースなどでは、相続したがゆえに膨大な債務を負うことになってしまったということもあり得ます。その場合、相続人は「相続放棄」や「限定承認」の制度を利用できます。

相続した遺産に債務があれば、個人であれ機関(債権者)であれ、借入先には弁済しなければなりません。

大抵の借金は金銭債務、つまり、数字で分けられる性質のもので、遺産のうち、借金やローンなどの金銭債務は遺産分割を待つまでもなく、相続分に応じて分けることが可能です。

金銭債務は相続開始と同時に相続分に応じて分割され、他の相続人に連帯責任はありません。仮に後日、法定相続分と異なる遺産分割が行われても、債務があれば、法定相続分とともに定められます。保証債務でも同様で、保障人と債権者契約による債務であるため、相続人は弁済の義務があります。

しかし、保証が一定の債務についてなされたのではなく、将来にわたる継続的取引による債務の連帯保証については、連帯保証人の死亡後に生じた分の保証債務を負う義務はないという判例がありますので、この判例をもって、承継しないという認識してもよいでしょう。これは、銀行保証・身元保証なども同様です。

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