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【弁護士監修】遺言書で指定していた人が亡くなった場合、代襲相続が可能なのか?

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弁護士 古閑 孝 アドニス法律事務所

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2016年12月28日 公開
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この度、父方の伯父が亡くなりました。
伯父は結婚しておりましたが、子がいなく、妻にも先立たれていました。
父方の祖父母も既に亡くなっています。
父は4人兄弟の末っ子で、この度亡くなった伯父は長兄でした。
父は既に5年ほど前に他界しており、子はわたし1人です。父には他に、2番目と3番目の兄が2人おり、彼らはまだ健在です。
父は、伯父と年が離れていたこともあってか、伯父と仲がよく、伯父からも非常にかわいがられていました。
伯父の遺産は、預貯金5000万円と自宅不動産があります。
伯父が他界した後、自宅を整理していたところ、7年ほど前に作成された公正証書遺言があることが判明しました。その遺言では、全てをわたしの父に相続させるような内容になっています。
既に父が亡くなっているため、わたしが父を代襲して相続することは可能でしょうか。

遺言書で指定された受遺者が先に亡くなってしまった場合

原則としては、遺言書で指定された受遺者が先に亡くなってしまった場合には、代襲相続は適用されません。

したがって、本件の相談事例では、伯父さんの遺産については、相談者が亡くなったお父様を代襲して遺産全てを相続することはありません。相談者は、亡きお父様の相続人としての地位を代襲するのみで、その限りで遺産分割協議に参加することになるのです。つまり、ご相談者と、お父様の2番目と3番目のお兄様(伯父様)たちと遺産分割協議を行い、改めて分割方法を決めることになるのです。

たとえば、父A(遺言者)が遺産を、子BCDのうちのBにのみ相続させる旨の遺言書を遺していたものの、そのBが先に亡くなってしまった場合は、Aの法定相続人が共同で相続し、分割方法については遺産分割協議で決めることになります。
なぜならば、Bの子(遺言者の孫)がEFGと3人もいたりす'ると、その3人に平等に相続させたいのか、Eだけに相続させたいのか、それともまったく別の者に相続させたいのか、遺言者の意思がはっきりわからないからです。そこで、このような場合には、その遺言は無効として扱われることとなったのです。この場合、相続開始時に健在であったCD及び、Bの代襲相続人EFGで遺産分割協議を行うこととなります。
また、AがBCDのうち、Bに預貯金を、Cに不動産を、Dには有価証券を相続させるような遺言書を遺したが、Bが先に亡くなってしまった場合には、その遺言書すべてが無効となるわけではなく、そのBの部分だけが無効となり、その他の部分は有効となります。したがって、Bに相続させるとしていた預貯金についてのみ、上記同様、相続開始時に健在であったCD及び、Bの代襲相続人EFGで遺産分割協議を行うこととなるのです。
ただし、例外的に、遺言書のその他の記載内容や、遺言作成当時の事情、遺言者の置かれていた状況などを総合的に勘案し、遺言者が代襲者に相続させる意思があったとみられるような特段の事情があると認められる場合には、代襲相続できるとする余地があるとされています。

遺贈の場合も同じ

遺贈の場合にも、受遺者が遺言者より先になくなってしまった場合には、その部分は無効として扱われます。
「遺贈」とは、遺言で、財産の全部または一部を、相続人又は相続人以外の人に無償で贈与(譲渡)することをいいます。遺言で法定相続人以外の者に財産を取得させるには、遺言書を作成して、遺贈する方法しかありません。

遺贈も遺言のひとつの様式であることから、遺贈の効力は、遺言者が死亡した時から発生します。
遺贈という行為は、遺贈者と受遺者との間に強い関係があるからこそなされる法律行為であるため、遺贈者よりも前に受遺者の方が亡くなってしまった場合には、その遺贈については無効として扱われることとなります。なお、受遺者の相続人は、その地位は承継しないものとされています(民法994条1項)。つまり、遺贈の場合には、代襲相続にあたる制度が存在しないのです。

このように遺贈が無効として扱われた場合には、遺贈するはずだった遺産については、遺贈者の相続人に帰属するものとされ、共同相続人が複数存在する場合には、遺産分割協議で分割方法を決めることとなります。

ただし、その遺言書の中で、あらかじめ、遺言者が亡くなる以前に受遺者が死亡した場合には、受遺者の相続人に遺贈すると定めたり、まったく別の第三者へ遺贈すると定めたりした場合には、その定めは有効なものとして扱われます。したがって、遺贈が無効として扱われないようにするためには、あらかじめ上記のような定めを設けておいたり、受遺者が先に亡くなってしまったことが判明した時点で、遺言書を作成し直したりすることが必要です。

以上のとおり、せっかく遺言書を作成しても、場合によっては遺言者の思ったとおりにならないこともあり得るのです。しかしながら、遺言書の作成時点で注意をすれば、そのような事態を回避できることもあるのです。

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古閑 孝 (弁護士)アドニス法律事務所

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