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【弁護士監修】「任意後見制度」の活用法と注意点

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弁護士 古閑 孝 アドニス法律事務所

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2016年11月16日 公開
「任意後見制度」の活用法と注意点のアイキャッチ

Q:「任意後見制度」の活用法と注意点は何ですか?

A: 現在は判断能力がある場合でも、将来、認知症などになる場合のリスクに備えることができます。ただし、後見契約書は公正証書にしなければなりません。

認知症になる前に自分で後見人を選ぶ

認知症になる高齢者が増えています。厚生労働省の推計によると、現在約460万人もの高齢者が認知症になっていると言われます。
認知症になった後の自分の生活や財産管理のことなどが気になる人は多いでしょう。

年金生活者のAさんもそうした一人です。夫に先立たれ子供もいないため、現在一人暮らしです。今のところ健康なのですが、心配なのは重い病気にかかったり、障害状態になったりする場合です。特に判断能力が低下する認知症になると、身の回りのことやお金の管理をどうするのか心配で仕方がありません。弟はいるものの高齢で病気がち。甥や姪もいますが、ほとんど付き合いはありません。

こうしたケースでは、「成年後見制度」のうち「任意後見制度(任意後見契約)を利用するのが良いと思います。

成年後見制度とは

成年後見制度は、認知症のほか精神障害、知的障害などで判断能力が低下した高齢者らの生活を支援したり財産を管理したりする仕組みで、「法定後見制度」と「任意後見制度」の2つがあります。

法定後見制度と任意後見制度の違い

「法定後見制度」は、認知症などで実際に判断能力の低下が認められないと利用できません、その点、「任意後見制度」ならば、現在は判断能力がある場合でも、将来、認知症などになる場合のリスクに備えることができます。

まず、判断能力が低下したときに本人に代わって介護契約、財産管理などをしてくれる人と「任意後見契約」を結びます。利用する本人を「委任者」、契約の相手方を「受任者」と言います。受任者は、本人が認知症などで判断能力が低下した場合に後見人(任意後見人)になってくれる人です。

受任者は信頼できる人であることが重要ですが、誰でもかまいません。家族や親戚に適任者がいない場合は、司法書士会、弁護士会、社会福祉会など成年後見制度で実績がある専門職団体に問い合わせれば受任者を紹介してくれることもあるでしょう。

本人の判断能力が失われた場合には、受任者が家庭裁判所へ任意後見監督人の選任を申立て、家裁が認めると受任者が後見人となります。
任意後見人は認知症や知的障害などで判断能力を欠く本人の代理として、家計管理、預貯金取引など「財産管理」のほか、生活状況の見守り、介護施設、病院への入所・入院の契約など「身上監護」を行ってくれます。

任意後見制度のメリット「元気なうちに支援内容を決められる」

このように、任意後見制度では、委任者が決めた人が原則、任意後見人になれます。
これに対して、判断能力が低下した後に家裁(家庭裁判所)が後見人を選任する法定後見制度の場合は、必ずしも本人が望む人が就任するとは限りません。
また、必ず家裁が任意後見監督人を選任し、この人が任意後見人の監督をしてくれますから、任意後見人が被後見人の財産を使いこむといった不正を防ぐ効果もあります。

任意後見契約の内容は自由です。自分の判断能力が低下した場合、生活や財産管理の面でしてほしいことを契約で自由に取り決めることができます。任意後見人への報酬も自由に決められます。
判断能力が低下してからだと希望を述べるのは難しいですが、元気なうちに支援してもらう内容を決めることができるのが任意後見制度のメリットと言えるでしょう。

ただ、任意後見契約を結ぶには、必ず公証人に公正証書にしてもらう必要があります。手数料や印紙代なども必要です。また、本人が結んだ不利な契約について、法定後見制度ならば後見人が取り消すことができますが、任意後見制度では任意後見人は取り消せません。

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