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斜線が引かれた自筆の遺言書は「無効」最高裁判決、「故意に破棄」と認定

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更新日:2021年06月30日
斜線が引かれた自筆の遺言書は「無効」最高裁判決、「故意に破棄」と認定のアイキャッチ

「遺言者自ら斜線を引いた遺言が有効かどうか」争われた訴訟の上告審判決で、最高裁第2小法廷(千葉勝美裁判長)は2015/11/20、「故意に遺言を破棄したといえ無効」とする判断を示し、自筆で遺言を残す人が増える中、一定の条件下で遺言者の意思を尊重した判断といえそうだ。

司法統計によると、自筆の遺言を家庭裁判所で公文書にする検認手続きの受付件数は、2014年に1万6843件と直近5年間で2割増えている。

出典:http://www.nikkei.com/article/DGXLASDG20H88_Q5A121C1CR8000/

ここで、遺言書でのトラブルに詳しい弁護士さんに遺言書の注意点などを伺ってみました。

遺言書を勝手に開封してはいけない?遺言書の検認とは?

公正証書以外の遺言書は、家庭裁判所で検認の手続をしなければなりません。

検認は、「裁判所が遺言の方式に関する一切の事実を調査して遺言書の状態を確定してその現状を明確にするもの」とされています。

通常は、決められた期日に遺言書の保管者、その他の相続人などが集まり、その面前で裁判官が遺言書を開封し、内容を確認し、出席者に遺言者とされる方の自筆であるかについての意見を聞いた上で、遺言書を添付した検認調書を作ります。

この手続によって、遺言書の状態が裁判所にも記録として残り、後日改ざん等がされることを防ぐことができます。

逆に言うと、一部の相続人が勝手に遺言書を開封してよいとすると、本当に遺言書がその状態で封筒の中に入っていたのか、それとも何者かが加筆や改ざんなどをしたのか、後になってわからなくなってしまいます。そのような事態をさけるために、検認の手続が必要なのです。

検認を怠った場合には、5万円以下の過料に処せられることがあるので注意が必要です。

法的に有効な遺言書は大きく3種類

遺言書には、いくつかの種類があり、それぞれ遺言書として認められるための要件が異なります。

自筆証書遺言

遺言をする人が、全文、日付、氏名を自分で書かなければなりません。

公正証書遺言

公正証書で遺言を作成する方式です。

①証人2人以上の立会

②遺言をする人が口頭で公証人に遺言の趣旨を伝える

③公証人が、②の内容を文章にし、遺言をする人、証人に説明

④遺言をする人、証人が、③の内容を確認した上で、署名押印

⑤公証人が、①~④の方式に従い作成したことを記入して、署名押印することが要件とされています。

秘密証書遺言

内容を秘密にしたまま、公証人に遺言の存在を証明してもらう方式の遺言書です。

①遺言をする人が遺言書を作り、署名・押印する

②遺言をする人が①の証書に封をし、①で使用した印鑑で封印する

③公証人と2人以上の証人の前に②の封書を提出し、遺言書であることと氏名、住所を述べる

④公証人が、日付、③で提出者が述べたことを封紙に記入し、遺言をする人、証人が署名・押印することが要件とされています。

トラブルの少ないおすすめの遺言書の種類はある?

それぞれの遺言にはメリット・デメリットがありますが、もっともトラブルになりにくいのは公正証書遺言と言えます。

自筆証書遺言のメリット・デメリット

自筆証書遺言は、最も簡単な方法で費用もかからないのが大きなメリットですが、デメリットとしては、

  • 法律で定められた要件を充たさないおそれがある
  • 遺言者が書いたものかどうかが争いになる
  • 遺言者が書いたとしても、遺言者の遺言能力が争いになる(遺言書を作成した頃尾、認知証などで判断能力が低下していた場合など)
  • 公証人の関与がないため、偽造・変造のおそれがある

といったリスクがあります。

秘密証書遺言のメリット・デメリット

秘密証書遺言は、公証人が遺言者の提出した遺言書であることは証明してくれますが、公証人は遺言書の内容を確認しないため、遺言者のミスで遺言が法的に有効に成立していないおそれがあります。

公正証書遺言のメリット・デメリット

これに対し、公正証書遺言は、費用がもっともかかること、証人に遺言内容を知られてしまうというデメリットはあるものの、

  • 専門家である公証人が遺言の内容を確認した上で作成するので、形式面で無効になることはない
  • 遺言の趣旨を伝えれば、それに適した文章を公証人が考えてくれる
  • 原本は公証人役場で保管するので、後に改ざんされるおそれがない
  • 家庭裁判所の検認が不要
  • 公証人と証人の前で作成されるため、自筆証書遺言と比べると、遺言者の遺言能力などで争いになることが少ない

などがあげられます。

遺言書を作成するうえで、最も重要なことは遺言者が望んだ結果を実現することであるとすれば、遺言が無効とされる可能性がもっとも小さい公正証書遺言が望ましいと言えるでしょう。

デメリットとしてあげたもののうち、費用に関しては、公証人の手数料は政令で定められており、どの公証人に依頼しても同じです。遺産の額等によって、費用を描けるかどうかを決めればよいでしょう。

また、証人に内容を知られるという点についても、信頼できる親族・友人がいる場合にはデメリットというほどではありません。また、公正証書の文案を考えることを弁護士に依頼することもでき、その場合にはその弁護士や弁護士が雇用する事務職員が証人になってくれますので、親族・友人に知られることなく公正証書遺言を作成することも可能です。

自筆証書遺言での注意点

先ほど説明したとおり、自筆証書遺言は、全文、日付、氏名を自分で書かなければなりません。 ですからたとえば、パソコン・ワープロ等で文面を作成し、氏名のみ署名するというような形式では無効となります。

【知らないと損?】パソコンで書かれている遺言書は有効?

遺言書を遺すことで、被相続人(死亡した方)は、死後に自分の財産を「相続する人」「分配方法」を生前に自由に決めておくことが出来ます。遺言書...

高齢による手の震え等の理由で一人で書くのが難しいという方もいるでしょうが、作成にあたって他人の添え手による補助を受けた場合、遺言者が自書能力をもち、他人の支えを借りただけであり、かつ、他人の意思が介入した形跡がない場合には、自書の要件をみたすとされています。

また、いったん作成した後に、その一部に加筆、削除その他の変更を加えるときは、変更する箇所を示し、変更を加えたことを記入し、変更を加えた箇所に押印をすることが必要とされています(冒頭の判例は、全体を破棄する意図で会ったと認定したもので、ここでいう変更ではありません)。

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