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死後に認知の子「相続分は請求時から計算」最高裁初判断のアイキャッチ

死後に認知の子「相続分は請求時から計算」最高裁初判断

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2016年10月07日 公開
死後に認知の子「相続分は請求時から計算」最高裁初判断のアイキャッチ

2006年に亡くなった男性が18億円の相続財産を妻ら親族で相続した後、その人の子と認知された人が発覚。認知された子が2011年に改めて相続分を請求していた裁判で、死亡後に認知された子は、どの時点から相続分を計算するかについて、最高裁第二小法廷(小貫芳信裁判長)は2月26日の判決で「請求があった時から計算する」との初めての判断を示した。

この裁判で争点となったのは、18億あった遺産相続が2011年の時点で遺産の評価額は約10億円減った約8億円になっていたため、死亡後に認知された子である男性は「2007年の遺産分割時点の遺産額で計算するべき」と主張。しかし最高裁による判決は、「当事者間の公平の観点から、請求した時点を基準とするのが相当」として男性の上告を棄却しました。

一部引用:http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20160227-00000003-asahi-soci

この結果について、弁護士の方にご解説して頂きました。

認知された子の相続分はどうなるのか?

婚外子(戸籍上結婚していない男女の間に生まれた子)も、子であることに変わりはない以上、父が死亡すればその相続人となります。かつては婚外子(非嫡出子ともいいます)の相続分は、嫡出子(結婚している男女の間に生まれた子)の相続分の二分の一と民法で定められていましたが、この規定が憲法違反で無効であるとされたため、現在では婚外子と嫡出子で相続分の違いはありません。

ところで、認知は父の死後でも可能ですので(詳しい手続は後にご説明します)、死後の認知が認められる前に、その時点での全ての相続人が話し合いをして、遺産分割をすませてしまうというケースがありえます。

認知は出生のときにさかのぼって効力を生じるとされていますが、第三者が既に取得した権利を侵害することはできないとされています。もし新たに認知された子が関与できなかった遺産分割は無効であり、遺産分割協議のやり直しが必要とすると、新たに認知された子の存在すら知らず、すでに分割をすませたり分割で取得した財産を処分したりしてしまった他の相続人の権利が害されることになってしまいます。

他方で、先に分割が終わってしまうとその後に認知されても一切の相続が認められないとするのも、認知された子の利益の保護という観点からは問題と言えます。

そこで、民法910条は、他の相続人がすでに分割や処分を終えているときは、新たに認知された子は、価額の支払い(金銭の支払い)のみを求めることができると定め、他の相続人と認知された子の利害の調整を図ったのです。

一見するとわかりやすい趣旨のように思えるのですが、問題は「価額」をどのように決めるかということです。不動産や株式をはじめとして、財産は時間の経過によりその価値が大きく上下することがあるので、いつの時点の「価額」の支払いを求めることができるのかが問題となるのです。

この問題について最高裁が初めて判断を示したのが、冒頭で紹介した判決なのです。この点について最高裁は、「価額」の算定は、価額の支払いを請求した時を基準とするのが当事者間の公平の観点から相当であるとの判断を示しました。

こういったトラブルを防ぐ手立ては?

最高裁の事例からも明らかなとおり、死後にも訴訟による認知が認められており、遺産分割が終わっていても価額の支払いが認められる以上、認知されていない婚外子を完全に相続から除外することはできません。

ですから、死後に婚外子から認知の請求をされることが予測される場合には、相続人に争いの種を残さないためにも、生前に認知をしておくということも考えられます。

また、認知は遺言でも可能です。認知をするだけで特に相続について触れなければ婚外子は法定相続分を取得できますし、もしできる限り嫡出子に財産を残したいと考えた場合には、婚外子に遺留分に相当する財産だけ残しておけば、他の財産をすべて嫡出子に残すこともできます。

遺言が何もなければ最高裁の事例のように相続人間で長い間争いになる可能性があるので、認知していない婚外子がいる場合には遺言の作成を検討してもいいでしょう。

認知されていない場合の対処法

民法787条で、認知されていない子自身やその直系卑属(認知されていない婚外子の子、孫など)、それらの者の法定代理人(未成年の婚外子の母親など)は、認知の訴えを提起することができると定められています。

この訴えは死亡後であっても可能とされていますから、認知されていない婚外子が相続分を取得しようと考えた場合には、まず認知の訴えを提起することになります(ただし、この訴えは、死亡の日から3年を経過すると提起できなくなることに注意が必要です)。

婚外子の父が生きていれば、その父を相手に訴えを提起しますが、父がすでに亡くなっている場合(死後認知請求といいます)、検察官を相手方として訴えを提起することになります。

通常、認知の訴えではDNA鑑定により親子関係の有無が明らかにされますが、死後認知の場合、父はすでに亡くなっており、DNA鑑定に必要な検体が入手できない場合がほとんどです。

そのような場合、父側の近親者(他の子など)の協力を得ることができれば、父本人の場合と比較してやや精度は落ちますが、DNA鑑定を行い、その結果によって婚外子と父とされる男性との親子関係を判断することができます。

DNA鑑定が困難である場合には、DNA鑑定が普及する前にとられていた方法により親子関係を証明せざるを得ません。

具体的には、

(1)婚外子の母が妊娠可能な期間中、父とされる男性と継続的に関係があった事実があり、(2)父とされる男性以外と関係があった事実が認められず、(3)婚外子と父とされる男性との間に血液型の矛盾がない場合には、ほかに特別な事情のない限り父子関係が認められます。

なお、父が母に対し、金銭の支払い等をする代わりに子の認知を要求しないという約束をさせることがありますが、このような約束は無効と言われています。

認知請求権は子の固有の権利であり、母親であっても子に代わってその権利を放棄することは許されないと考えられているからです。

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