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最高裁【節税目的の養子縁組は無効ではない】とはどういう意味か?相続専門税理士が解説

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2017年02月06日 公開
最高裁【節税目的の養子縁組は無効ではない】とはどういう意味か?相続専門税理士が解説のアイキャッチ

平成29年1月31日に最高裁より「相続税の節税目的の養子はただちに無効ではない」という判決が下りました。

養子縁組の論点は、民法と税法でズレているので注意が必要です。

今回の判決は、「民法上、節税目的であっても養子縁組を認める」という内容であり、「税法上、養子縁組をして相続税を節税することを認める」とは、一言も言っていないので、注意してください。

そもそもどんな裁判だったの?

ざっくり次のような感じです。

最高裁より「相続税の節税目的の養子はただちに無効ではない」相関図

ある方が、税理士から孫を養子にすると相続税が少なくなるという説明を受けて、孫を養子にしました。

その方が亡くなった後、相続人である長女と次女が、「相続税の節税目的だけなので、本当の意味での養子縁組をする意思はない」として、養子縁組の無効を訴えたのです。

これは推測ですが、養子縁組をすると相続人が増えるので、本来自分がもらえる分が目減りしてしまいます。それが嫌だったのでしょう。

判決は?

結論から申し上げると、
「相続税の節税目的でも、それは養子縁組をする動機になるので、養子として認めますよ」という感じです。

判決文をそのまま引用します。
(出典:http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=86480)

養子縁組は,嫡出親子関係を創設するものであり,養子は養親の相続人となるところ,養子縁組をすることによる相続税の節税効果は,相続人の数が増加することに伴い,遺産に係る基礎控除額を相続人の数に応じて算出するものとするなどの相続税法の規定によって発生し得るものである。
相続税の節税のために養子縁組をすることは,このような節税効果を発生させることを動機として養子縁組をするもの
にほかならず,相続税の節税の動機と縁組をする意思とは,併存し得るものである。
したがって,専ら相続税の節税のために養子縁組をする場合であっても,直ちに当該養子縁組について民法802条1号にいう「当事者間に縁組をする意思がないとき」に当たるとすることはできない。

このことから、民法上は、相続税の節税目的であっても養子縁組は認められるということになりました。

ただし、税務上は認められません!

民法上は認められても、税務上は認められません。

民法上は、養子縁組は何人でもとれますが、相続税の計算する上では、相続人をたくさん増やすと基礎控除の金額が増えて、相続税を簡単に0円にできてしまいます。

そのことから、相続税法上、相続人にカウントできる養子の人数は制限されています。

実子がいる場合には1人、実子がいない場合には2人までです。

ただ、注意しなければいけないのはここから先です。

実子がいる場合にも、実子がいない場合でも、相続税を減少させることが目的と認定された場合には、養子は一人も認めてもらえません。

国税庁のホームページにもばっちり書いてあります。ご覧ください。

養子縁組の相続税対策

養子縁組をすると相続税が増えることもあります

養子縁組をすると相続税が減ると思っている方が多いですが、逆の場合もあります。

相続税が減るのは、既に子供がいる人が養子をとる場合です。

相続税が増える可能性があるのは、子供がいない人が養子をとる場合です。

子供がいる人が養子をとる場合には、相続人の人数は絶対に増えます。
子供の人数が増えるので当り前の話ですが。

しかし、子供がいない人が養子をとると、相続人の人数はどのように変化するでしょうか?

子供がおらず、そして両親も既に他界している人の相続人は、配偶者と兄弟姉妹です。
その兄弟姉妹が既に亡くなっている場合には、その甥や姪が相続人になります。

このようなケースでは、相続人の人数が多くなる傾向があります。

この状態から養子をとったとします。

養子縁組をした後の相続人は、配偶者とその養子だけです。つまり相続人は2人になります。

結果として、養子縁組をする前とした後では、相続人の人数がガクッと少なくなる恐れがあるのです。

そのため、相続税が跳ね上がることもあるので、この論点は本当に注意してください。

まとめ

今回の判決では、民法上は節税目的でもOKという意味であり、税務上は節税目的の養子はNGです。

節税目的か否かは、税務調査の際、調査官からの質問にどのように回答するかで判断されるでしょう。

おそらく、今回の判決をうけて、国税庁として今回の相続税申告の養子は否認してくると思います。納税者自ら「もっぱら節税目的の養子縁組」と言い切っているのですから、これを見逃すはずはないと考えます。

また、未成年者を養子にして相続が発生すると、特別代理人をつけて遺産分割協議をしなくちゃいけなかったり色々大変なので、養子縁組の検討は慎重に行っていただくことをお勧めします。

この記事の著者

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橘慶太 (税理士)表参道相続専門税理士事務所

【業界初】税務調査で追徴課税となった場合、相続税の過払金を出した場合、税理士報酬全額返金! 通算申告件数150件、年間130回のセミナー講師、延べ3000人以上の相談実績があるからできる品質保証付き 相続税申告は表参道相続専門税理士事務所

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