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相続財産の評価のしかた、課税価格の求め方

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2016年10月06日 公開

相続財産の評価のしかた

相続税の計算をする際に、取得した相続財産がいくらなのかを算出する必要があります。

相続財産は原則、時価で評価しますが、一方で相続財産の具体的な評価方法として国税庁の「相続税財産評価基本通達」があります、つまり一般の取引価格や市場価格などとは異なる税務上の評価額があります。

仮に預金でも利息を加算するかどうかによりその評価額は変化し、上場株式は毎日株価が変動し、不動産の場合は場所や形状、権利関係用途などにより、一つひとつ価額が異なります、このように相続財産は財産の種類によって、一般の取引価格や市場価格等とは異なる税務上の評価額があります。財産の種類によっては評価額を軽減する特例が設けられているケースもあります。

相続財産の評価は被相続人(亡くなった方)亡くなった日の、自由な取引によって成立した価額によって評価される事を基にしております。

これを元に個々の財産の種類により様々な特例措置が設けられております。

相続財産の具体的な評価方法は、国税庁の(相続税財産評価基本通達)ホームページで公表しております。

ここでは、財産の評価方法・資産の把握・課税対象額の求め方・相続税の求め方をまとめておりますので参考ください。

相続財産ごとに評価方法がある

現在、評価方法の表を準備しております。

資産を把握しよう(財産目録)➀・➁

資産を把握しよう(財産目録)

課税対象額を求めよう➂

課税対象額を求めよう

上記➀+➁+➂で相続税を求めよう

相続税を求めよう

宅地の評価方法

宅地には住宅地・商業地・工場地などの用途に関わらず、建物の敷地となる土地の事を指します。

相続時の宅地の評価方法に関しては(路線価方式)と(倍率方式)2つの評価方法があり、評価しようとする宅地が、どちらの方式を採用するのかについては、所轄の税務署にある財産基準書で確認する事が出来ます。

路線価方式=評価額×宅地面積㎡ ※市街地など

倍率方式=宅地の固定資産税評価額×倍率 ※路線価の無い宅地

路線価方式

市街地にある宅地は路線価方式で評価します、路線価とは、道路に接する標準的な土地1㎡当たりのの価額の事です。

通常は公示価格の8割程度で、毎年7月に国税庁から公表されます。

全国の路線価が掲載された路線価図は、国税庁のホームページや各国税局・税務署で閲覧する事が可能です。

路線価方式では、対象となる敷地が接する路線価に土地の面積をかけて評価額を求めます。

路線価は土地の形状などで各地調整されます。

一言で宅地といっても実際には、間口が広く使いやすい宅地、間口が狭く奥行きのある宅地、角地にある宅地など、形状や立地条件は個別に異なります。

そこで個々の宅地の形状や条件などを考慮して、評価額の調整が行われ(画地調整)と指します。

画地調整がある場合は、路線価にそれぞれの調整率をかけて1㎡あたりの評価額を調整します、画地調整には、主に次のようなものが有ります。

➀一方のみ道路に面している場合

道路からの奥行きの距離が長い、または短い宅地の場合は、標準的なものに比べ評価が低くなります、奥行きの長短により補正率が異なります。

評価額=路線価×奥行価格補正率×面積

➁正面と側面で道路に面している場合

正面と側面の2面で道路に接している角地の場合はm一方のみ道路に接している宅地に比べ利用価値が高いと評価され、評価額が加算されます。

(a)正面路線価に奥行補正率をかけて、奥行価格補正後の正面路線価格を求める

(b)側方路線価格に奥行価格補正率と側方路線影響加算率をかける。

(c)(a)と(b)を加算し、面積をかけ評価額を算出

評価額={(正面路線価×正面の奥行価格補正率)+(側面路線価×側方の奥行価格補正率×側方路線影響加算率)}×面積

➂正面と裏面で道路に面している場合

正面と裏面の二方で道路に面している場合も、評価額が加算されます。

評価額={(正面路線価×正面の奥行価格補正率)+(裏面路線価×裏面の奥行価格補正率×二方路線影響加算率)}×面積

➁や➂における正面道路とは、奥行価格補正率後の路線価の高い方の道路を指します。

このほか、間口が狭い場合、奥行が極端に長い場合、がけ地にある場合、形がいびつな場合などは、補正率をかけ評価額を減額します。

倍率方式

路線価の無い宅地は倍率方式で評価します。

倍率方式では、「評価額=固定資産税評価額×倍率」のように、固定資産税評価額に国税局長が一定の地域ごとに定めた倍率をかけて評価額を求めます。

倍率は、その宅地の売買実例価額、公示価格、不動産鑑定士による鑑定評価額などを元に定められており、国税庁のホームページや各地の税務署にある評価倍率表で閲覧する事が可能です。

路線価方式の画地調整

一方のみ道路に面している場合 評価額=路線価×奥行価格補正率×面積
正面と側面で道路に面している場合 (a)正面路線価×正面の奥行価格補正率

(b)側方路線価×側方の奥行価格補正率×側方路線影響加算率

(c)評価額={(a)+(b)}×面積
正面と裏面で道路に面している場合 (a)正面路線価×正面の奥行価格補正率

(b)裏面路線価×裏面の奥行価格補正率×二方路線影響加算率

(c)評価額={(a)+(b)}×面積
間口が狭い場合 評価額=路線価×奥行価格補正率×間口狭小補正率×面積
奥行が極端に長い場合 評価額=路線価×奥行価格補正率×奥行長大補正率×面積
がけ地にある補正 評価額=路線価×奥行価格補正率×がけ地補正率×面積
形がいびつな場合 評価額は不整形の程度などにより補正

路線価図の見方で押さえるべき3つのポイント

路線価図_1

ポイント1

路線価図_2

路線価図の年分及びページを表示しています。

××が年を指しておりこの場合は(××年の12345ページ)という事になります。

ポイント2

路線価図_3

地区および地区と借地権割合の適用範囲を示す記号です。

ポイント3

路線価図_4

路線価格の右上に表示ししてあるA~Gの記号に対応する借地割合を示します。

路線価図_5

地図に記載されている、英数字付きのものは1平方メートルあたりの価額を千円単位で表示したものです。

画像のものは1平方メートルあたりの路線価格が330,000円で借地権割合が70%であるという事になります。

路線価図から土地の評価額を実際に計算の方法

路線価図_6

※300Cは路線価格30万円、借地権割合は70%

●自用地の価額

路線価×奥行距離35mに応ずる奥行価格補正率=1㎡当たりの価額

300,000円×0.98=294,000円

1㎡当たりの価額×地積=自用地の価額

294,000円×700㎡=205,800,000円

●借地権の価額

自用地の価額×借地権割合=借地権の価額

205,800,000円×70%=144,060,000円

●二路線に面する地区地計算例

路線価図_7

路線価30万円、側方路線価20万円、借地権割合70%で、35m×20mの合計700㎡の面積がある土地(普通商業・併用住宅地区)」の場合の計算方法は以下の通りです。

自用地の価額

正面路線価額×奥行距離3.5mに応ずる奥行価格補正率=(A)

300,000円×0.98=294,000円

(A)+側方路線価格×奥行距離20mに応ずる奥行価格補正率×側方路線影響加算率=1㎡あたりの価格

294,000円+(200,000円×1.00×0.08)=310,000円

1㎡あたりの価額×地積=自用地の価額

310,000円×700㎡=217,000,000円

自用地の価格×借地権割合=借地権の価額

217,000,000円×70%=151,900,000円

※平成19円分以降用の奥行価格補正率等により計算しております。

正面路線価という言葉は、2つの路線に面している宅地価額を評価する際、奥行価格補正率を乗じて計算した金額が高い方の路線を正面路線として扱います。

正面路線ではないもうひとつの路線は「側方路線」と呼ばれます。

また、側方路線影響加算率についても国税庁のホームページから確認できます。

家屋の評価方法

評価額の求め方

・家屋と一体の設備:設備の評価額は家屋の評価額に含める(ガス設備・給排水設備・衛生設備等)

・家屋:固定資産税評価額×1.0

・建設中の家屋:費用現価の額×0.7

・庭園設備:調達価額×0.7

・門、塀等の設備:(再建築価額-経過年数に応じた減価額)×0.7

・賃貸評価額:固定資産税評価額-固定資産税評価額×借家権割合※×賃貸割合※

※借家権割合:国税局長の定める割合で通常30%

●賃貸割合計算式

賃貸割合計算式

自用家屋は固定資産税評価額で評価し、貸家は借家権割合を控除し、自用家屋の価額は、原則として1棟ごとに評価し、その評価方法は倍率方式で求めます。

固定資産税評価額に一定倍率をかけて求めますが、自用家屋の倍率は1.0倍のため、価額は固定資産課税評価額と同額となります。

マンションの場合も同様で、固定資産税評価額は、市町村の税務課にある固定資産課税台帳で確認が可能です。

建築中の家屋の場合は、固定資産税評価額がありません、よって価額はその家屋の費用原価の70%相当の額で評価されます、費用原価の70%相当の額で評価されます。

費用原価の額とは、課税時期(相続開始日)までに投下された建築費用の額を、課税時期の価額に計算し直した額の事を指します。

付属設備に関しては家屋と一体となっている設備(給排水設備、ガス設備、衛生設備など)は、家屋の価額に含めて評価します。

門、塀などの設備は、その設備の再建築価額から、建築時から課税時期までの償却額を控除した金額に対して70%をかけた金額を評価額とします。

庭園設備などは、その設備の調達価額(課税時期において、その設備を取得する場合の価額)に70%をかけた金額で評価します。

貸家は評価額から借家権を控する、人に賃貸している貸家の場合は、通常の家屋の評価額から国税局長の定める借家権割合に基づく借家権の評価減(通常30%)を控除します。

課税時期に賃借していない部分がある場合など賃借割合を掛け合わせ、評価額を算出します。

農地・山林の評価方法

農地は4つに区分され、評価の方法は倍率方法、宅地比準方式があります

農地は、農地法による宅地への転用の制限など諸条件を考慮し以下の区分になります。

・純農地:農地の固定資産税評価額×倍率 ※倍率方式

・中間農地:農地の固定資産税評価額×倍率 ※倍率方式

・市街地周辺農地:市街地農地とした場合の価額の80%の評価額

・市街地農地:農地の固定資産税評価額×倍率 ※倍率方式

(宅地とした場合の1㎡あたりの価額-1㎡あたりの造成費相当額)×地積 ※宅地比準方式

※宅地比準方式とは、その農地が宅地であるとした場合の1㎡あたりの価額から、その農地を宅地に転用する際にかかる、造成費相当額を差し引き、地積をかけて評価額を求めます。

市街地農地の評価は、国税庁の定める倍率のある地域に関しては倍率方式で、倍率の定めのない地域については、宅地比準方式で評価します。

山林は3つに区分され、評価の方法は倍率方法、宅地比準方式があります

・純山林:山林の固定資産税評価額×倍率 ※倍率方式

・中間山林:山林の固定資産税評価額×倍率 ※倍率方式

・市街地山林:山林の固定資産税評価額×倍率 ※倍率方式

(宅地とした場合の1㎡あたりの価額-1㎡あたりの造成費相当額)×地積 ※宅地比準方式

※市街地山林において宅地のへの転用が見込めない場合には、その山林の価額は、近隣の純山林価額に比準して評価します。

その他、貸し付けられている山林においては、通常の山林の評価額から、それぞれ賃借権や地上権を控除した金額により評価します。

借地権の評価方法

定期借地権等の評価額は、残存期間と共に減少していき、5種類の権利があります。

借地権の種類

借地権の種類 契約更新の可否 借地期間 利用目的 契約終了時の建物
借地権 更新可 30年以上 制限なし 地主に対して買い取り権が発生
定期借地権等 定期借地権 更新不可※ 50年以上 制限なし 取り壊し更地にして返還
事業用定期借地権 10年以上50年未満 事業用のみ 取り壊し更地にして返還
建物譲渡特約付借地権 30年以上 制限なし 建物は地主が買い取る

※定期借地権、および一部の事業用定期借地権では更新排除の特約を定めることが出来る。

●借地権の計算式

自用家屋の価額×借地権割合

●定期借地権等の計算式

定期借地権等の計算式

●逓減率の計算式

逓減率計算式

借地権割合は路線価図等で確認をし、借地権の価額は、自用家屋のとしての価額に借地権割合をかけて求めます。

借地権割合は、借地権割合は借地事情が似ている地域ごとに定められており、国税庁のホームページにある、路線価図や評価倍率表で確認する事が可能です。

定期借地権等の評価に関してのおもな特徴は、➀契約の更新が無い、➁建物を建て替えたとしても借地期間の延長が無い、➂契約終了時に地主に対する建物買い取り請求がない、などがあげられ、原則として契約満了時には、借地人が建物を壊し、更地にして返還する事になります。

定期借地権等の価額は、原則として課税時期の借地人に帰属する経済的利益および存続期間を元に評価されます。

ただし通常は、以下算式で評価額を算出します。

定期借地件等は期間満了時に契約の更新あできない為、残存期間が短くなるほど評価額も減少していきます。

一次使用目的の借地権の評価に関して、雑種地の賃借権の評価方法と同様に評価します。

一時使用目的の借地権が地上権に準ずる権利として認められるかどうかにより、評価方法が異なります。

貸宅地の評価方法

例)借地権:A氏所有 建物:A氏所有 宅地:A氏所有

●借地権が設定されている場合の評価額の計算式

自用地としての評価額-自用地としての評価額×借地権割合

●定期借地権等が設定されている場合の評価額の計算式

自用地としての評価額-(下記➀・➁のいずれか大きい方の額)

➀定期借地権等の価額

➁自用地としての評価額×定期借地件等の残存期間に応じた割合※

※定期借地権等の残存期間に応じた割合

残存期間が5年以下 5%
残存期間が5年超、10年以下 10%
残存期間が10年超、15年以下 15%
残存期間が15年超 20%

●一般定期借地権の目的となっている宅地の場合の評価額の求め方

自用地としての評価額-定期借地権に相当する価額 ※1

●※1定期借地権に相当する価額の計算式

自用地としての評価額-(1-底地割合 ※2)×逓減率 ※3(ていげんりつ)

※2底地割合

借地権割合 路線価図 C D E F G
評価倍率表 70% 60% 50% 40% 30%
底地割合 55% 60% 65% 70% 75%

●※3逓減率の計算式

逓減率計算式

土地は人に貸すと評価額が下がり、原則貸宅地の評価額は、自用地価額から借地権価額を控除して求めます。

まず、貸し宅地とは、借地権を設定するなどして、その土地を他人に貸し出し、他人が利用する権利を持っている土地を指します。

地主にとっては、自用地と比べて、様々な制限が生じる為その評価額は低くなります。

宅地の上に設定される権利には、➀借地権、②定期借地権等、➂地上権、➃区分地上権、➄区分地上権に準ずる地役権の5種類があります。

実際に設定されることが多い、借地権と定期借地権等が設定された賃宅地についてみていき、借地権が設定されている場合は、自用地としての評価額から借地権の価額(自用地評価額×借地権割合)控除して求めます。

借地権の取引のない、地域については、借地権割合を20%として計算します。

定期借地権等が設定されている場合は、原則的に自用地としての評価額から定期借地権等の価額を控除して評価額を求めます。

ただし、定期借地の件等の価額が、残存期間に応じて計算された価額よりも小さい場合は大きい方の価額を自用地評価額から控除します。

一般定期借地権とは、公正証書等の書面により借地権とは、公正証書等の書面により借地期間を50年以上とし、借地権が設定されている土地の借地権部分を控除した権利を指します。

一般定期借地権が設定されている場合の評価方法は、課税上問題がおきない限り、自用地としての評価額から底地割合を元に算出された定期借地権に相当する価額を控除します。

底地とは、借地権が設定されている土地の借地権部分を控除した権利と指し、底地割合は路線価図で設定される、借地権割合の地域区分に従って計算されます。

貸家権付地の評価方法

例)借地権:A氏居住 建物:B氏所有 宅地:B氏所有

●貸家建付地の評価計算式

(自用地としての評価額)-(自用地としての評価額×借地権割合×借家権割合×賃貸割合)

貸家権付地とは、自己が所有する土地に貸家を建て他人に貸し出している宅地の事を指します。

貸宅地と異なる点は、土地と建物の所有者が同一であるという事です。

こちらも、賃借人は存在する事で地主の権利が制限されるため、自由に比べ評価額が低くなります。

評価方法は、自用地の評価額から借家権割合、借家権割合、賃貸割合をそれぞれ考慮し算出します。

生命保険・死亡保険金の評価方法

死亡保険金には、非課税枠があり、非課税枠を超える場合、超える部分が課税対象となる。

相続人が保険金を受け取る場合のみ、非課税枠の利用が可能です。

➀亡くなった方が保険料負担者で被保険者の場合、➁亡くなった方が保険料負担者であり、被保険者でない場合に分けて考えます。

➀の場合、受取人である相続人は死亡保険金を受け取ることになり、その死亡保険はみなし相続財産として、相続税の課税対象になります。

ただし、相続人が受け取る死亡保険金には、(500万円×法定相続人の数)の非課税枠限度額が設けられており、すべての相続人が受け取った保険金の合計額がこの非課税限度額を超える場合、その超える部分が相続税の課税対象となります。

●➀の場合の各相続人に課税される金額の計算式

各人に掛かる計算式

●非課税限度額の計算式

500万円×法定相続人の数

➁の場合は死亡保険金が発生しませんが、(生命保険規約に関する権利)を相続する事になります。

この権利に対する評価は、相続開始時期に契約を解約した場合に支払われる解約返戻金の額によって評価します。

なお、解約返戻金の他に前納保険料や剰余金の分配などがある際は、これらの金額も合算します。

●➁の場合の各相続人に課税される金額の計算式

(生命保険契約に関する権利)の評価額=解約返戻金の額

個人年金などの定期金の評価方法

定期金とは、ある期間定期的に受け取るお金のことを指し、生命保険会社の個人年金などを指します。

生命保険会社の個人年金などがそれに該当し、亡くなった方が、個人年金加入していた場合は、相続人には(定期金に関する権利)が発生し、相続税の課税対象となります。

評価の方法としては、まず、(定期金に関する権利)を、●定期金の給付事由が発生しているものと、●定期金の給付事由が発生していないものに分けます。

➀については、(a)解約返戻金の金額、(b)定期金に代えて一時金の金額の給付を受けることができる場合には、一時金の金額、(c)給付を受けるべき金額の一年あたりの平均額を元に一定の方法で計算した金額のうち、最も多い金額により評価します。

➁については、原則解約返戻金の金額により評価します。

●定期金の支払い事由が発生している場合

※(a)(b)(c)のうち最も大きい金額

A:有期定期金の場合

(a)解約返戻金の金額

(b)一時金の金額(定期金に代えて一時金の給付を受ける事が出来る場合)

(c)1年あたりの平均額×残存期間に応ずる予定利率による複利年金

B:無期定期金の場合

(a)解約返戻金の金額

(b)一時金の金額(定期金に代えて一時金の給付を受ける事が出来る場合)

(c)1年あたりの平均額÷予定利率

C:終身定期金の場合

(a)解約返戻金の金額

(b)一時金の金額(定期金に代えて一時金の給付を受ける事が出来る場合)

(c)1年あたりの平均額×平均余命に応ずる予定利率による複利年金現価率

●定期金の支払事由が発生していない場合

解約返戻金の金額により評価します。

上場株式の評価方法

上場株式は4つの株価を比較し評価を算出し、株式の種類を3つに区分し相続税を求めます。

比較方法に関しては以下の通りで、亡くなった日からその➀~➃のなかで最も低い価格で評価をします。

➀課税時期の最終価格

➁課税時期の月の毎日の最終価格の平均額

➂課税時期の月の前月の毎日の最終価格の平均額

➃課税時期の月の前々月の毎日の最終価格の平均額

配当金を受ける権利

上場株式になると配当金が受け取れる場合があります、相続税の計算上、「配当期待権」として相続財産に計上しなければならないケースがあります。

配当期待権とは、配当金交付の基準日の翌日から配当金交付の効力が発生する日までの間における配当金を受ける事が出来る権利の事です。

通常は決算日が配当金交付の基準日となるので、その時点での株式所有者には配当期待権があります。

亡くなった日の前に決算日を迎えた場合に関しては、亡くなった方が配当金を受け取る権利を有するわけですが、その後、亡くなってしまい相続開始後に支払われた配当金については、配当期待権として相続財産に計上します。

また、課税時期が(配当落・権利落)の日から配当金交付(株式の割当て、株式の無償交付)の基準値までの間にある時は、配当落などの日の前日以前の最終価格のうち、課税時期に最も近い日の最終価格をもって課税時期の最終価格とします。

公開途上などの株式に関しては、その株式が公開された場合は、公開価格(証券取引所の入札によって決定される入札後の公募の価格)により評価します。

取引相場の無い株式(非上場株)の評価方法

同族が株主の場合は会社の規模により評価方法が異なり、同族株主でない場合は配当還元方式で評価する。

取引相場のない株式の評価は、相続や贈与などで株式を取得した株主が、発行会社の経営支配力をもつ同族株主かどうかによって評価方法が異なります。

相続人が株主の場合は(原則的評価方式)と、同族株主以外の場合は(特例的評価方式)で評価をします。

原則的評価方式

分解すると3つの方式があり、会社の規模により、採用するものが異なり、原則大会社は➀、小会社は➁、中会社は➂で評価します。

➀類似業種比準方式(大会社)

類似する業種の上場会社の株価を基準に、1株あたりの配当金額、利益金額、帳簿上の純資産価額の3つの要素を比準して評価する方法になり、評価会社の業績が良いほど評価額が高くなります。

➁純資産価額方式(小会社)

1株あたりの純資産価額で評価する方法になり、算出方法は、相続税の評価方法で会社の資産を評価しなおし、その総資産から負債や法人税を控除した金額を発行済み株式数で割り、1株あたりの純資産価額を求めます、保有資産の時価が高いほど、評価額が高くなります。

➂併用方式(中会社)

上記①と➁を併用して評価する方法で大会社、中会社について➁の方法、子会社について➂の方法によることも可能です。

特例的評価方式

相続人らのグループが一定の同族株主に該当しない場合、会社の規模に限らず、特例的評価方式である「配当還元方式」で評価します。

配当還元方式とはその株式を所有する事により受け取る一年間の配当金額を一定の金額を一定の利率(10%)で還元して株式の評価を求める方法です。

同族株主とは、株主の1人及び同族関係者の有する、議決権の合計数が、議決権の合計数が、議決権総数の30%以上、(過半数の議決権を有するグループがある場合は50%超)である、場合の株主を指します。

類似業種比準方式

類似業種の株価、1株あたりの配当金額、利益金額、純資産価額などと比較し、株式の評価額を算出する。

●類似業種比準方式計算式

類似業種比準方式計算式

A:類似業種の株価

B:類似業種の1株当たりの配当金額

C:類似業種の1株当たりの年利益金額

D:類似業種の1株当たりの純資産価額

b:評価会社の直前期末以前2年間における1株当たりの年配当金額

c:評価会社の直前期末以前1年(又は2年)間における1株当たりの年利益金額

d:評価会社の直前期末における1株当たりの純資産価額

純資産価額方式

相続税評価額で評価した資産の額から、負債の額、法人税相当額などを控除し、発行済株式で割り、1株あたりの純資産価額を算出する、課税時期において会社を清算した場合の評価額となる。

●純資産価額の計算式

純資産価額の計算式

併用方式 

類似業種比準方式、純資産価額方式の評価に、会社の規模に応じたウエイトをそれぞれにかけて、株式の評価額を算出する。

●併用方式の計算式

1株の評価額=類似業種比準価額×L+1株の純資産価額×(1‐L)

※中会社の場合、Lは帳簿上の総資産価額、取引金額、従業員数に応じて、0.90・0.75・0.60のいずれかの割合となる、小会社の場合は0.50

配当還元方式 

1年間の配当金額を一定の利率(10%)で還元して、株式の評価額を算出する。

●配当還元方式の計算式

配当還元方式の計算式

大会社・中会社・小会社区別

規模区分 区分の内容 帳簿上の総資産額および従業員数 直前期末以前1年間の取引金額
大会社 従業員数が100人以上、または右のいずれかに該当する会社 卸売業 20億円以上(従業員数が50人以下の会社を除く) 80億円以上
小売・サービス業 10億円以上(従業員数が50人以下の会社を除く) 20億円以上
上記以外
中会社 従業員数が100人未満、右のいずれかに該当する会社(大会社に該当する場合を除く) 卸売業 7,000万円以上(従業員数が5人以下の会社を除く) 2億円以上80億円未満
小売・サービス業 4,000万円以上(従業員数が5人以下の会社を除く) 6,000万円以上20億円未満
上記以外 5,000万円以上(従業員数が5人以下の会社を除く) 8,000万円以上20億円未満
小会社 従業員数100人未満で、右のいずれかにがいとうする会社 卸売業 7,000万円未満(従業員数が5人以下の会社を除く) 2億円未満
小売・サービス業 4,000万円未満(従業員数が5人以下の会社を除く) 6,000万円未満
上記以外 5,000万円未満(従業員数が5人以下の会社を除く) 8,000万円未満

公社債の評価方法

公社債とは、国や地方公共団体、企業などが資金を調達するために発行する有価証券です。

あらかじめ決められた期日までに、元本と利息を返済する事を約束した、債権としての性質を持ちます。

公社債の発行体は、おもに国や地方自治体、民間企業などです、公社債は利払方法により、利付公社債(利付債)と割引発行の公社債(割引債)の2つに分けられ、相続時の評価方法が異なり、公社債は券面額100円辺りの単位で評価されます。

➀利付公社債

通常、発行時に決められた金利(利息)が満期まで定期的に支払わられ、満期時に券面金額が返還されるものを指します。

利付公社債は、銘柄を以下の3つに分け、それぞれ異なる評価方法で求めます。

●(a)上場銘柄:東京証券取引所などの金融商品所に上場されている銘柄の計算式

利付公社債_上場されている銘柄_計算式

●(b)売買参考統計値公表銘柄:日本証券業界において売買参考統計値が公表されている銘柄(上場銘柄を除く)の計算式

利付公社債_参考統計値公表銘柄_計算式

●(c)その他の銘柄

利付公社債_その他銘柄_計算式

➁割引発行の公社債

あらかじめ額面金額から利子相当額を差し引いた価格で発行され、満期時に額面金額で返還される者を指します。

評価方法は利付公社債と同様に、上場銘柄・売買参考統計値公表銘柄・その他の銘柄の3つの中で、それぞれ異なる評価方法で求めます。

●(a)上場銘柄:東京証券取引所などの金融商品所に上場されている銘柄の計算式

割引発行_公社債_計算式

●(b)売買参考統計値公表銘柄:日本証券業界において売買参考統計値が公表されている銘柄(上場銘柄を除く)の計算式

割引発行の公社債 売買参考統計値公表銘柄_計算式

●(c)その他の銘柄

割引発行の公社債_その他_計算式

転換社債(転換社債型新株予約権付社債)の評価方法

あらかじめ決められた価額で株式に転換する権利がついた社債を指します。

転換社債の評価は、上場銘柄・売買参考統計値公表銘柄は、上場されている利付社債と同様の評価方法で求めます。

その他の銘柄については、発行会社の株価が転換価格を超えない(株価<転換価格)場合と超える(株価>転換株価)場合とで、評価方法が異なります。

(a)上場銘柄:東京証券取引所などの金融商品所に上場されている銘柄

(b)売買参考統計値公表銘柄:日本証券業界において売買参考統計値が公表されている銘柄(上場銘柄を除く)

●上場銘柄・売買参考統計値公表銘柄の計算式

割引発行_公社債_計算式

(c)その他の銘柄

●(株価<転換価格)場合の計算方法

(株価<転換価格)場合の計算方法

●(株価>転換株価)場合の計算方法

(株価>転換株価)場合の計算方法

ゴルフ会員権・美術品・骨董品の評価方法

ゴルフ会員権の評価は、市場での取引相場のある会員権、取引相場の無い会員権かにより、評価の方法が異なります。

ゴルフ場の株式について所有を必要とせず、譲渡も出来ず、返還される預託金等も無く、ゴルフ場施設を利用して単にプレーできるだけのゴルフ会員権については、相続財産として評価はしません。

➀取引相場のある会員権

課税時期の取引価格の70%で評価し、取引価格に含まれない預託金等がある場合は、それらを合算し評価します。

預託金の評価方法は、返還される時期により異なります。

➁取引相場の無い会員権

会員権の種類を3つに分けそれぞれ異なる評価方法で求めます。

(a)株式を所有しなければ会員になれない場合の物は課税時期における株式の評価額により評価します。

(b)株式・預託金の両方をしなければ会員になれない場合、課税時期の株式の評価額と返還時の預託金の金額を合算し評価します。

(c)株式の所有は無く、預託金で会員になれる場合は、返還時の預託金の金額によって評価します。

美術品・骨董品などは、原則、売買実例価格や美術品鑑定人等の精通者意見の価格などを参考にし、原則時価で評価します。

鑑定費用がいくらかかったとしても、相続財産から控除する事は出来ないので、注意が必要です。

相続した美術品・骨董品が高額なものと分かった場合、国・公共団体などが運営をする美術館に寄付という方法もあり、相続財産を公益法人に寄付した場合は相続税の対象としないという制度などもあります。

預貯金の評価方法

課税時期における預入高と、課税時期に解約した場合に支払を受ける事ができた既経過利息の額から源泉所得税の額を差し引いた金額との合計額によって評価します。

ただ、定期預金・定期郵便貯金・定額貯金以外の預貯金(普通預金等)については、課税時期における、既経過利息の額が少額である場合は、預入高で評価します。

●預貯金の計算方法

課税時期の預入高+(既経過利息-源泉所得額)

貸付金の評価方法

貸付金債権等(貸付金、売掛金、未収入金、預貯金以外の預け金、仮払金などの価額)

元本の価額と利息の価額との合計額によって評価します。

なお、貸付債権等の元本の価額とは、その返済されるべき金額を指し、貸付金債権等の利息の価額とは、その返済されるべき金額を指し貸付金債権等の利息の価額とは、課税時期における既経過利息として支払いを受けるべき金額を指します。

ただし、課税時期において、その貸付金債権等が回収不能、または回収が著しく困難である場合には、その元本の価額は相続財産として評価されません。

回収不可能、または著しく困難な場合とは、債務者が会社更生手続きや民事再生手続き、会社整理など倒産状態である場合や、破産の宣言をしている場合などを指します。

●貸付金の計算方法

元本の額+既経過利息

家財、自動車など動産の評価

土地や建物を「不動産」と指しますが、不動産以外の物、例えば家財・自動車・宝石・貴金属などを動産と指します。

一般的な動産の評価は、原則、売買実例価額、精通者意見価格等が明らかでない動産については、その動産と同様、同規格の新品の課税時期における小売価額から、その動産の製造時から課税時期までの間に減少した価値の額(減価償却)を差し引き、評価額を計算します。

同種、同規格の新品の小売価額-製造時から課税時期までの期間の減価償却費の額

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編集部 (弁護士)編集部

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