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遺産相続が発生した際に、やることリスト(期限・解説付き)のアイキャッチ

遺産相続が発生した際に、やることリスト(期限・解説付き)

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2016年11月20日 公開
遺産相続が発生した際に、やることリスト(期限・解説付き)のアイキャッチ

遺産相続のスケジュール

遺産相続には、手続きに期限が決められているものや、順序が重要なものが数多くあります。特に大きな節目となるのは3カ月目10カ月目。そこまでに済ませることを逆算してやるべきことを把握しておきましょう。
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用語の説明

相続の種類(単純承認・相続放棄・限定承認)とは

単純承認:最も一般的な相続の形で、亡くなった方の財産も借金もすべて相続することになります。相続の開始を確認してから3カ月を経過するか、亡くなった方の財産を処分すると法的に単純承認をしたと確定されます。
相続放棄:亡くなった方の財産を何も相続しない選択です。相続放棄をすると最初から相続人でなかったことになります。3カ月以内に家庭裁判所に申し出る必要があり、亡くなった方の財産を処分(単純承認に確定)した場合などは相続放棄できません。
限定承認:プラスの財産額の範囲内で借金なども相続する、特殊な形の相続です。財産目録を作成すること、3カ月以内に家庭裁判所に申し出ること、相続人全員で共同して承認するなどの要件があります。
限定承認に多いケース

相続放棄も種類がある

遺産分割協議書とは

遺産分割協議書とは、相続人の全員で合意し、遺産分割が成立したときに遺産をどう分けるか(誰が何をもらうか)を記載した書面です。遺言がある場合でも作成することができます。相続人全員の署名・押印(実印)が必要になりますので、相続人の中に遠隔地に住んでいる方がいる場合はなかなか大変です。

また、遺産分割協議は相続人全員で遺産の分け方を決めるものなので、先に相続人が誰かを確定させる相続人調査、財産・借金を洗い出す財産調査を終え、相続の種類を決めておくことが必要になります。

最終的にはどの土地は誰、どの建物は誰、どの銀行口座は誰、自動車は誰……と、財産調査の結果判明した遺産の分け方を個別に、具体的に列挙していくことになります。どのローンなど、マイナスの遺産についての分け方も確認していきます。

配偶者に1/2など、割合は法律で決まっていますが、法定相続分を無視して遺産を分けても相続人全員で合意したのであればかまいません。分け方によって相続税が変わることもありますので、注意しておきましょう。

相続税シミュレーション
遺産分割協議書の書き方・雛形・サンプル集

公的書類とは

役所など官公署から取得する戸籍や住民票などの総称です。遺産相続の手続きで添付書類として求められる公的書類は、発行(取得)から3カ月を過ぎると受け取ってもらえないことがほとんどですので注意が必要です。

専門家に依頼する場合でも、印鑑証明書を取得するには印鑑カードが必要となります。遺産分割協議書とセットで提出を求められることが多いため、遺産分割協議の際には、相続人に印鑑証明書を複数枚取得しておくように伝えるのがよいでしょう。

戸籍には戸籍、除籍、改製原戸籍といった分類があります。

戸籍は現在の情報、除籍には死亡などの理由で削除された戸籍の情報、改製原戸籍は手書きから活字データに変更した際に書かれなかった古い情報のことですが、あまり気にする必要はありません。
相続の手続きで使う際には「出生から死亡まで」など、何を戸籍で証明するのかが手続きの相手方から指定されますので、そのまま市区町村役場の窓口担当者に伝えれば調べて教えてくれます。他の役所から取り寄せが必要な場合には説明もしてくれます(残念ながら、役所自身が代わりに取り寄せてくれることはありません)。

7日以内にやること

死亡届の提出

亡くなった場所が病院なら死亡診断書、病院以外(急な発作や事故のため)なら、警察を呼んで検死を行った結果を示す死体検案書と一緒に市区町村役所に死亡届を提出します。死亡届の用紙は役所や病院にあり、葬儀社などが死体火葬許可申請書と同時に手続きしてくれる場合も多くあります。

死体火葬許可証は埋葬許可申請書とともに火葬場に提出し、火葬場で埋葬許可証をもらって墓地に提出し埋葬します。各所で書類をもらって次の場所に持っていく流れになります。
なお、死亡診断書や死体検案書は他の手続きでも必要になりますので、複数枚コピーを取っておいたほうがよいでしょう。

今後の手続の確認(死亡届の提出時に一緒に)

市区町村役所では、他にも
・世帯主や戸籍筆頭者の変更
・国民健康保険証や介護保険被保険者証の返却
・年金受給の停止手続き
・身体障害者手帳や運転免許証の返却
などの手続きが必要になる場合もあります。どのような手続きが必要になるか役所の窓口で確認するとよいでしょう。

亡くなった方に関する公的書類への記載は届け出た瞬間に書けるものではないため、必要な手続きと、手続きがいつまでに完了するのかを必ずセットで確認してください。例えば、届出書はすぐにできて記載は少し待てば完了するのであれば、その日のうちに取得して帰る方が二度手間にならずに済みます。

勤務先・取引先への連絡

亡くなった方が会社勤めをされていた場合は、葬式に先立ち勤務先に連絡しましょう。会社は死亡の翌日から5日以内に健康保険の手続きをする必要もあります。
亡くなった方が自営業だった場合は、仕事が中断した影響で取引先に二次被害が発生することもあるため、主要な取引先を帳簿等で確認して連絡してください。

速やかにやること

遺言書を確認する

遺言書があるかは速やかに確認しましょう。
遺言書が見つかった時の対処法

遺言書は普通方式と緊急時に作る特別方式に分類されます。普通方式には

自筆証書遺言=手書きで作り、自宅に保管するか知人や信頼していた人に預ける

公正証書遺言=亡くなる方の言葉をもとに公証役場が作成し保管する

・秘密証書遺言=遺言者本人が作成して封をし、公証人にその存在を証明してもらう

以上の3種類があります。

自筆の証書遺言が見つからなかったときは、最寄りの公証役場に問い合わせて公正証書遺言の有無を問い合わせます。

遺言書は大きく2種類。書き方・有効な項目・費用などは?

自筆証書遺言は勝手に開封してはいけません。必ず家庭裁判所で検認を受けてください。遺言書の内容は相続の種類の確定にも関わりますので、死亡から3カ月以内の早い時期に終えましょう。

銀行口座を凍結する

銀行口座の名義人が亡くなると口座は凍結され、公共料金やローンの引き落としもできなくなります。凍結された口座は原則として遺産分割協議をするため、次の口座名義人が確定するまで一切お金を動かせなくなります。

銀行が口座を凍結するのは名義人の死亡を知ったときなので、銀行に亡くなったことを知らせずにお金を出した方がよいなど言われることもあります。しかし、亡くなった方の名義の口座からお金を下ろすと「財産の処分」として単純承認が法的に確定する恐れもあり、注意が必要です。

引き落とし先に連絡する

亡くなった方の口座から引き落としをしていた各所に連絡し、引き落としできずに電気が止められることがないようにしましょう。記帳すれば引き落とし先が分かりますし、引き落とし確認の書面も月ごとに送られてきているはずですので、確認しましょう。

10日または14日以内にやること

亡くなった方の年金支給を止める

亡くなった方が会社勤めをされていて、もらっていた年金が厚生年金の場合は10日以内に年金事務所または年金相談センターに、自営業などで年金が国民年金の場合は14日以内に市区町村役所に死亡届を提出する必要があります。

未支給年金および遺族年金(基礎・厚生)・寡婦年金・死亡一時金の請求手続き

年金は後払いなので亡くなった月の支給分は未払い扱いになっています。これを請求するのが未支給年金の請求手続きです。書類は死亡届とセットになっています。
遺族年金等は亡くなった方の仕事や家族構成等によって請求できる内容が異なりますので、下図を参考に窓口にも確認してください。
また、これらは請求の手続きをしないとお金をもらうことができないのでご注意ください。

遺族年金の受給対象者と年金の種類_1
□遺族年金の受給対象者と年金の種類の例
遺族年金の受給対象者と年金の種類_2

健康保険証の返還、被扶養者だった場合の健康保険加入

亡くなった方の健康保険証は返却する必要があります。返還先は、国民健康保険なら市区町村役所、協会けんぽなど国民健康保険以外なら都道府県の健康保険協会などの健康保険証に書かれている団体です。

健康保険証を返すことももちろん大切ですが、返却と同時に行う手続きはさらに重要です。遺族が亡くなった方の健康保険の被扶養者になっていた場合、健康保険に未加入の状態になってしまっています。市区町村役所で国民健康保険への加入手続きを早めにしておきましょう。

また、健康保険ごとに名称は違いますが埋葬料や葬祭費といった葬儀費用のためのお金が5万円程度もらえます。喪主名義の振込口座が必要な場合や葬儀社の領収書など喪主が分かる資料を添付資料として求められる場合がありますので、健康保険証の返還の際に確認しておきましょう。

おおよそ1カ月以内にやりはじめること

相続人の調査

相続人が誰であるかは、遺族が戸籍を調べて確定することになります。市区町村役所で亡くなった方の「出生から死亡まで」に関係する戸籍を取得し、簡単な家系図を描きながら相続人が誰かを確認していくことになります。住所と本籍地と異なっていて遠方の役所から戸籍を取り寄せる場合や、亡くなった方以外の戸籍も取り寄せないと相続人が確定しない場合もよくあり、手間のかかる作業です。

相続人が確定しないと遺産を分ける人数が分からないので相続の種類の確定にも影響します。遺産分割協議書も作成できないのでさまざまな手続きが滞ります。3カ月以内に終わっていないと手遅れですが、ギリギリにならないよう早めの着手を意識しましょう。

遺産の調査

亡くなった方の遺産には何がどのくらいあるかは調べてみないと分かりません。預金や不動産などのプラスの財産だけでなくローンや借金を多く抱えている場合もあります。それらのプラスの財産、マイナスの負債などを洗い出してまとめるのが遺産の調査で、財産調査と表現するのが一般的です。
相続の種類を確定するのに不可欠ですので、相続人調査完了前に終えましょう。

財産調査で確認するものの例としては金融機関の残高証明書、市区町村役所の固定資産課税台帳(名寄帳)、法務局の不動産登記簿、車検証、ローンの支払い控え、督促状などがあります。

相続財産の調査って何するの?
相続財産の調査の仕方をお教えします

3カ月以内にやること

相続の種類の確定

遺言書の有無(あった場合はその内容)、遺産の調査、相続人の調査結果をもとに「単純承認」「相続放棄」「限定承認」のいずれにするかを判断します。遺産を何も相続しない「相続放棄」、プラスの財産の限度で借金なども相続する「限定承認」は家庭裁判所への申し出を、相続が始まったことを知ってから3カ月以内にしなければなりません。3カ月を過ぎても家庭裁判所への申し出がなされなかった場合は、「単純承認」で確定します。単純承認の場合は家庭裁判所への申し出は必要ありません。

「限定承認」は、相続人全員(相続放棄した者を除く)で合意しなければならないため、全員の合意が得られなかったり、亡くなった方の財産を処分して単純承認が法的に確定してしまった者がいたりすると、全相続人が限定承認できなくなります。

限定承認の際、相続人の中に未成年者や認知症患者、成年被後見人などがいる場合、親や成年後見人などの法定代理人が代わりに判断することになります。法定代理人自身も相続人である場合、代理人として認めてもらえず、家庭裁判所が選任する特別代理人により判断してもらう必要がある場合もあります。

相続の種類の確定までの流れ

相続の種類確定後すぐにやること

遺産分割協議、遺産分割協議書の作成

遺産分割協議とは

相続することが確定した遺族らの間で、具体的な遺産の分け方を決める話し合いをした結果をまとめた重要書類が「遺産分割協議書」です。相続放棄した人は初めから相続人でなかったことになるので遺産分割協議には参加できません。

遠隔地に相続人が散らばっている場合は合意を取りまとめるのも大変ですが、一堂に会して合意する必要はなく、最終的に相続人全員が内容に納得して署名・押印(実印)することが重要です。人数分の協議書全てに署名・押印して次の人にまとめて送る方法で遺産分割協議書を作成しても問題ありません。その際は、名義変更手続きがセットで要求されることの多い印鑑証明書を、各相続人に数枚取得・同封してもらうとよいでしょう。

なお、1名ずつ署名・押印された書面を人数分集める「遺産分割協議証明書」というやり方でよいと言われることもありますが、遺産分割協議は最もトラブルになりやすい法方です。しっかりと協議したうえで、相続人全員が1枚の協議書に全相続人の署名・押印(実印)したものを持つほうが確実です。

遺言があった場合は亡くなった方の遺志を尊重するため、通常、遺産分割協議は行いません。ただし、相続人全員で遺言による分配を変更したい場合には、協議して遺産分割協議書を作成すると、相続人間の遺産の分け方は遺産分割協議書に従って行われます。遺族の他に遺言執行者が指定されていた場合には、執行者に遺産分割協議をしたい旨を事前に相談しておきます。

不動産に限らず、銀行口座や自動車などほとんどの名義変更手続きをする際には遺産分割協議書の提出を要求されますが、原本は必ず手元に残し、コピーを提出してください。

遺産の名義変更

銀行口座の名義変更

凍結されていた銀行口座は、名義変更することでお金の出し入れができるようになります。遺産分割協議書が決めた通りに口座名義人を変更します。その際の必要書類は金融機関により異なりますが、遺産分割協議書の他、亡くなった元口座名義人の戸籍(除籍)、相続人全員の印鑑証明書と戸籍を求められる場合が多いようです。

クレジットカードやデビットカードは、口座の名義変更と別に手続きが必要なことが多く、口座の名義変更時に確認して、必要であれば併せて手続きをしておきましょう。

自動車の名義変更

亡くなった人が車の所有者だった場合、遺産は基本的に相続人全員の財産とみなされます。そこから特定の相続人に名義変更する場合は、状況により手続きの内容が異なります。大きな違いが出るのは、ローン支払い中か否か、車庫証明を事前に取っておく必要があるかの2点です。

ローン支払い中の自動車の場合、所有者はディーラーやローン会社、使用者が亡くなった方として車検証に記載されています。使用者を変更するには、ローン会社などに連絡すれば必要書類を送ってくれますので、住民票、印鑑をそろえて名義変更を行いましょう。この際、ローンの引き落とし口座の変更をするほか、変更後の引き落とし口座の名義人が相続した新しい使用者と同一でなくてはならないなど、ローン会社から注文がある場合もあります。

ローンはなく、亡くなった方の名前が所有者として車検証に記載されている場合、所有者を変更します。所有者を変更するには、遺産分割協議書と亡くなった方の戸籍、車検証、車庫証明などをそろえて陸運局で手続きします。自動車の車種や年式によっては、陸運局で自動車税を支払う必要があります。車検証は車検切れのままでは手続きできず、車庫証明は発行から40日以内のものでなければなりません。ナンバーが変わる場合には、車ごと陸運局に持ち込む必要があります。
しかし、自動車が軽自動車であるか、新旧所有者(自動車を相続した人と亡くなった方)の住所が同一である場合、車庫証明の必要はありません。
車庫証明の取得は自宅から2キロ以内の場所に駐車場を確保して、駐車場の所有者に承諾書を書いてもらい、警察署で申請をします。自己所有の土地であれば、承諾書の代わりに自認書を作成し申請しましょう。交付には1週間程度かかります。

二輪車の場合、原付(125ccまで)の名義変更は市役所や区役所で簡単に手続きできますが、軽二輪(126~250cc)以上の場合は陸運局で手続きします。

株式の名義変更

株式の名義変更は上場株式か非上場株式なのかで異なります。

上場株式の場合は、亡くなった方がかつて証券口座を持っていた証券会社や信託銀行に連絡して、遺産分割協議書や戸籍などの公的書類を提出します。株式を相続した人が証券口座を持っていない場合は新たに開設する必要があります。

非上場株式の場合は、会社に連絡して株主名簿の書き換えを依頼します。非上場会社ではきちんと株主名簿が管理されていないことも多いので、株主名簿の書き換え完了の確認書などをもらえるよう伝えておくとよいでしょう。

ゴルフ会員権の名義変更

ゴルフ会員権は、ゴルフをする人が相続した場合でも会員資格の審査と名義変更手続きが必要になる場合が多く、一般的には費用も高額です。ゴルフをしない人が相続して、亡くなった方の名義のまま売却することもあるようです。名義変更はゴルフ場によって手続きや費用が異なるため、まずは問い合わせましょう。

その他の名義変更

この他、亡くなった方の財産の内容や契約していたサービスによっては、名義変更が必要になる場合があります。

許認可事業の相続手続

亡くなった方が個人事業や家族経営の会社を経営していた場合には、業種によって営業許可や認可の相続手続きが必要になることがあります。亡くなった方が持っていた名義や資格を遺族が持っていないと事業が継続できない場合には、従業員やその家族にも大きな迷惑をかけてしまいます。

喫茶店をはじめとする飲食関係、土木・建築関係の事業、たばこ・酒類販売、宿泊施設の営業など、営業するには許認可が必要な事業は、身近にもたくさんあります。なかには、相続による承継ができないものや、手続きの期間が厳格に決められていて手遅れになってしまうものも多くあります。
亡くなった方の事業の手伝いをしている遺族はいなかったけれど、事業自体は存続させたいといった場合には、特に注意しましょう。また、事業における許認可関係の手続きは行政書士の業務です。相続手続きに行政書士が関与していない場合には見過ごされてしまい後継者がいるのに廃業を余儀なくされるケースもあります。

営業許認可が必要な事業は非常に種類が多く、許可を担当している役所や必要な手続き・期限、相続できるものとできないものは事業によって異なります。亡くなった方が営んでいた事業を遺族や従業員が続けていく場合には、なるべく早いタイミングで行政書士に相談するか、相続手続きを担当している弁護士や税理士などに依頼して行政書士による判断を入れてもらいましょう。

4ヶ月以内にやること

被相続人(亡くなった方)の確定申告「準確定申告」

「準確定申告」は、亡くなった方が個人事業主や年金生活者などで確定申告をしていた場合にのみ必要です。会社勤めなどで会社等が年末調整をしていた場合は不要です。

「準」とは、事業主本人ではなく相続人が代わって申告するという意味で、申告の内容や作成手順は通常の確定申告とほぼ同様です。ただし、相続人が複数いる場合は相続人全員で「付表」と呼ばれる別紙を記載して添付する「連署」で申告しなければなりません。相続人全員で準確定申告ができない場合には、別々に申告することになりますが、その際は付表だけではなく確定申告書も同じものを作成してセットで申告する必要があります。

確定申告は毎年1月1日~12月31日を事業年度として翌年3月15日までに申告することになっています。亡くなったのが年明けから3月15日までの間でまだ前年分の確定申告が済んでいなかった場合でも、亡くなって4カ月以内に前年12月31日までの分と1月1日から亡くなるまでの分を一緒に申告することができます。

準確定申告の期限

なお、確定申告の結果で還付金が発生する場合には4カ月を過ぎても問題ありません。しかし、計算してみないと納税か還付かが分からないこと、確定申告が相続人の相続税を計算する際に必要なこと、納税の必要がある場合に4カ月を過ぎると延滞税が加算される恐れがあることなどから、準確定申告は4カ月以内に終わらせるように予定するのがよいでしょう。
準確定申告の確定申告書と付表の書き方・雛形・サンプル集

10カ月以内にやること

相続税の申告

亡くなった方が残した財産が一定額を超える場合には、10カ月以内に申告をしなければなりません。財産調査で判明したプラスの財産から、借金・ローンなどの負債を差し引きした相続財産の額が相続税の基礎控除額「3000万円+(相続人の人数×600万円)」よりも多い場合には、多い分のみ相続税の申告が必要です。

例えば、差し引きした相続財産の額が3億円で、相続人が配偶者と子3人の計4人の場合は、
3億円-[3000万円+(4人×600万円)]=3億円-5400万円=2億4600万円
が相続税(課税対象額)の対象となります。

相続税はどの相続人がいくら遺産を受け取ったかによって税額が変わり、遺産分割協議で受け取った遺産の内容や、亡くなった方との関係によって計算が異なります。相続人が配偶者であれば大幅な相続税軽減の特例があるほか、遺族が生活するための家や農地が遺産である場合にも、相続税が軽減されます。

相続税の納付

相続税は申告だけでなく納付までが「亡くなったことを知ってから10カ月以内」を期限とします。相続税額が多額であったにもかかわらず、受け取った遺産が現物ばかりの場合は気を付けなければなりません。

お金の代わりに現物で納税する「物納」という制度もありますが、家やお店、株式などを物納で失ってしまうのでは何のために遺産分割したのか分かりません。お店や株式など事業を継続するため必要な相続税の納付猶予を受ける制度などもありますので、早めに相続税の計算を済ませ、必要な対応が取れるよう準備しておきましょう。

相続税シミュレーション

1年以内にやること

遺留分に関する請求

遺留分とは

遺留分」とは、亡くなった方の配偶者や子など特定の相続人に対して、一定割合の財産の分配を保障する法律上の制度です。

遺留分の確保は請求で行う

例えば、遺言書で「全財産をA寺に寄付する」と書かれていた場合であっても、法律上は「(遺留分を除く)全財産」を指します。そのため、遺留分権利者である相続人は、遺留分を含めて遺産を受け取ったA寺に対して遺留分を返還するよう請求することができます。

遺留分の請求方法

遺留分の請求は遺留分減殺請求(いりゅうぶんげんさいせいきゅう)といい、相続から1年以内に行わなければなりません。ただし、遺産分割協議で全相続人の合意がなされた場合には、協議書を作成した後に「やっぱり遺留分が欲しい」と言っても認められません。

遺留分の請求は、内容証明郵便で内容と日付を記録する方法が多く用いられています。現物のみの財産を相続した相手に遺留分減殺請求をする場合、相続財産の額に対する遺留分割合のお金で清算することになり、現物の所有権の一部などは受け取れません。

3年以内にやること

生命保険金の請求

生命保険金の請求は3年(民営化前の簡易保険は5年)以内に請求しなければ保険金が受け取れません。

生命保険金はお金を払っていた契約者と保険金を受け取る受取人がそれぞれ誰なのかで、税金の計算(相続・所得・贈与)が異なります。多くの保険会社では、法律上の請求期限を3年としていますが相続税の申告に間に合うよう10カ月以内に請求するのがよいでしょう。

相続税軽減に関する申告

相続税申告期限時点で遺産分割協議がまとまっていない場合、3年以内(かつ分割協議成立後4カ月以内)であれば相続税の軽減措置を受けることができます。

軽減措置には、配偶者の相続税軽減、小規模住宅地の課税価格の特例、農地等の相続税猶予などがあります。本来は遺産分割協議書を前提に、10カ月以内の相続税申告時に反映されるべき内容であり、通常は相続税申告時までに終わらせる必要があります。

配偶者の相続税軽減とは→

小規模住宅地の課税価格の特例とは→

注意点

遺産相続の期限が迫っている場合

相続放棄・限定承認の選択期限が迫っている場合

財産調査や相続人調査が終わらない、連絡がつかない相続人がいるなどの理由で、どうしても3カ月以内に相続の種類の選択が困難な場合もあるでしょう。その場合は、3カ月経過する前に家庭裁判所に申し出て期間延長を求めることもできます(申し出が必ず通るとは限りません)。

相続税の申告期限が迫っている場合

遺産分割協議がまとまっていなくても、相続税の申告期限は待ってくれません。その場合にはいったん、法定相続割合を相続した前提で相続税を申告・納税し、遺産分割協議後に正しい内容に更正する手続きを行うことになります。併せて、申告期限後3年以内の分割見込書を提出しておき、相続税の軽減措置を受けられるようにしましょう。

遺留分の請求期限が迫っている場合

遺留分の請求には決まった様式がないので、1年以内の日付が残る方法(内容証明郵便など)で請求した証拠を残しましょう。

遺産相続の期限が過ぎてしまった場合

相続放棄・限定承認の選択期限が過ぎてしまった場合

3カ月を過ぎた後になって多額の借金が判明した場合などは、やむを得ない事情があれば家庭裁判所が相続放棄を認めてくれる場合もあります。ただし、相続の種類が確定すると、その後撤回することはできないと考えておくべきでしょう。

相続税の申告期限が過ぎてしまった場合

相続税の申告期限を過ぎると延滞税が加算されることがあります。これを回避する方法はありません。

遺留分の請求期限が過ぎてしまった場合

遺留分の請求期限が過ぎてしまうと請求権は失われます。

相続登記に期限はない

相続した不動産の登記には期限はありません。

しかし、名義を書き換えておかないと不動産の所有権が誰にあるのかが明らかでないため、売却その他の処分ができず、所有権がない他の相続人にも権利があるように振る舞われる恐れもあります。名義変更前に次の相続が発生すると名義の書き換えにかかる費用も大幅に上がりますし、何より、故人の名義になったままであるのはあまり気持ちの良いものでもないでしょう。

不動産の名義変更は銀行口座の名義変更と必要書類などもほぼ同じで、手続きも難しくありませんので、一連の名義変更が必要な手続きとともに済ませるのがよいでしょう。

その他の注意点

手続きは早め早めに進めましょう

遺産相続に関する手続きは、早く終わるに越したことはありません。相続人調査や財産調査、遺産分割協議などは時間がかかることもありますので、常に早め早めに進めていきましょう。

公的書類はなるべくコピー

戸籍や住民票などの公的書類は、原本を提出する必要がある場合とコピー可とする場合があります。公的機関が原本を要求してきた場合でも、原本とコピーを窓口担当者に見せて同じであることを確認してもらうことで、コピーの提出で可とされる場合もあります。

添付書類に足りないものがあった場合

手続き先で提出する書類などに不備があった場合、そのまま帰る必要はありません。申請書等をそのまま提出して、不備の書類のみを後で送るかFAXすればよい場合もあります。

万能な専門家はいない

遺産相続は複雑に関連しており、特定の専門家だけで対応するのは極めて困難です。一方、相続に強い弁護士は、行政書士・司法書士・税理士などとの連携ができているという意味で相続に強いといえます。専門家に相談する際には他士業との連携についても必ず聞いておきましょう。

まとめ

亡くなった方や相続人の状況によっては、全ての手続きをする必要がないケースも含めて、遺産相続が発生した際にやるべきことをリストアップしました。遺産相続は人生で何度もある出来事ではないでしょう。やることの期限や順序を踏まえて、スムーズに相続するための参考にしていただければ幸いです。

遺産相続を弁護士に相談・依頼するメリットとは?
遺産相続を弁護士に相談・依頼するメリットとは?
「遺産相続の問題はなぜ弁護士に相談すべき」なのか
そして、「弁護士に相談・依頼する5つのメリット」「相続問題を弁護士に依頼する適切なタイミングとは」

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