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裁判官の経験をもつ、法曹歴40年のベテラン弁護士にあいにいってみた。

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更新日:2019年07月26日
裁判官の経験をもつ、法曹歴40年のベテラン弁護士にあいにいってみた。のアイキャッチ


今回は、東京・銀座の田村護弁護士事務所の高橋隆一先生に会いにいってきました。
事務所がある銀座6丁目は、最近オープンしたGINZA SIXや、東急プラザ銀座など注目のスポットが多い界隈だ。

田村護法律事務所 高橋隆一弁護士

田村護法律事務所 高橋隆一弁護士

高橋隆一弁護士は、裁判官の経験をもつ先生である。
多趣味でアクティブな、法曹歴40年の経験豊富なベテラン弁護士にインタビュー。

 

■田村護法律事務所に関して

---田村護法律事務所に関して教えてください。

元々、田村先生は企業法務とか倒産関係を扱う事務所に所属していた方で、弁護士歴が長いベテランの先生です。

その後銀座で独立し、企業法務だけではなく、むしろありとあらゆる事件を既知の依頼者や紹介者の案件を中心に引き受けています。

内容はバラエティーがあって、交通事故から、騒音差止め、相続・遺言とか、ほとんど日常的な多彩な事件を引き受けています。今は,江戸時代の町医者と同じ意味で町弁です。
私も弁護士として事務所に所属したのは初めてなので、当初は,田村先生の依頼者からの事件を共同で引き受けていました。
貸金請求事件とか、事務所に持込まれた多彩な事件、ある意味ではそれほど大きくない事件と言ってもいいかもしれませんが、それを依頼者のために誠実に処理しています。

田村護法律事務所 高橋隆一弁護士

 

■高橋隆一弁護士について

---弁護士、裁判官を目指した理由、キッカケは何ですか?

元々、私の趣味は昆虫採集とか、真空管ラジオやパソコン等の電子機器の組立てとか、そういう技術系・理科系が好きだったのです。
ただ,大学進学に際し,いわゆるつぶしが利くというだけの理由で法学部を選びました。
そのためか、学生時代は,あまり法律の勉強はしないで,聞いたことはないと思うのですけど、高山蛾,要するに高山植物を食草とする高山帯に棲息する蛾の採集に熱中していました。
……高山蝶というのは知っている人もいると思うんですけど、蝶と蛾は生物学的には同じで,人間がその一部の科(モンシロチョウ・アゲハチョウ等)を蝶と名付けているだけです。
非常にマイナーな趣味で学者も含めて専門にしている人はほとんどいないのです。

田村護法律事務所 高橋隆一弁護士
ダイセツヒトリ 大雪山特有

それを大学4年間、主に夏ですけど年間100日は山に入って2か月ぐらい帰ってこないとか、採集道具などを40キロくらい背負って南アルプス・白山とか、中央アルプスとか、東北の山、北海道の山とか、そういう高山帯に登っていたのですけども、大学4年になる直前の3年ぐらいの時に将来のことを考えて、サラリーマンになる気はせず,司法試験を受けようと決意しました。

その時は弁護士になるつもりでいたのです。かつては司法試験に受かると、司法修習を2年間しないといけなかったのです。
その修習の中では前期と後期があって、最初の4か月は司法研修所という所で研修した後、元々、山とかスキーが好きだったので札幌での1年半の実務修習を選んで、運よくそこに入れてもらうことができたのです。

そこで,検察修習・弁護修習とか裁判修習をする中で、実務先の裁判官から一番マイペースでできる仕事だから、君みたいな趣味を持っている人は裁判官になったらどうかと言われて、全く考えてもいなかったのですけども、「じゃあ、裁判官をやってみようか」ということで,裁判官は大変かもしれないけども、積極的ではない理由で希望したのです。

田村護法律事務所 高橋隆一弁護士

---振り返ってみて裁判官をやっていて良かったなと思うところは何ですか?

結局、裁判官になってみると確かに難しい事件もいっぱいあるし、しかも判決ということになると、責任もあるし,そんなにおろそかな勉強では済まないのでそれなりに大変だったのですけども、やはりマイペースできるという点が非常に良かったのです。

しかも、皆さんはあんまりご存知ないのですけども、裁判所には夏季休暇が20日あるのです。
これは丸々20日間休暇が取れるので、例えば学校の先生は夏季休暇といっても実際には仕事ばっかりやっているわけで、それは一般の会社でも同じだと思うのですよ。

ところが裁判官の場合は、もろに20日休暇が取れます。
ただし,かなりの裁判官はたまった判決をその休暇中に一生懸命書いているというのが実態なのですけども、僕の場合は少なくとも10日は趣味である高山蛾とか、登山、その後、日本の温泉を全部行ってみようというようなこともあって、10日間は丸々リフレッシュのため遊んでいたのです。

その10日間使って、例えば千葉から八戸まで車で行って、フェリーで苫小牧に渡って、10日間、全行程2000キロで、その中で温泉81か所、山を5か所ぐらい登って帰ってくるというようなことを夏休みの間はずっと続けてきました。

田村護法律事務所 高橋隆一弁護士
幌尻岳登山のための沢登り

---先生結構アクティブですね。

弁護士をしていると,客に合わせてなかなかそういうことはできないですし、まして検察官は期限のある事件に追われてそんなことはできないのです。

そういう意味では、裁判官は一番マイペースで趣味を持っている人にはいいのかなと、そういう面はありますし、自分本位の目的で裁判官を選択したということになると思います。

---趣味、最近ハマっていることはありますか?

うちの家内は陶芸が好きで陶芸教室にしばらく通っていて、自宅を建てたのが約20年近く前なのですが、その時に窯とろくろのある部屋を作ったのです(笑)。

それで本格的にと思ったのですが、家内が病気がちであんまり使わないのです。
それではもったいないから僕がやってみようということで、15年ぐらい前から始めて、それからはいわゆる焼き物、陶芸を主な趣味にしています。

---陶芸の醍醐味って何ですか?

結局、まず土をこねて、ろくろに据えて、それから食器や花瓶など、いろいろな作品を無心で作るので、そういう意味では癒されます。
それだけじゃなくて素焼きをした後に絵付けをしたり、いろんなことアート的な美的感覚・技術が必要とされます。

---先生、多趣味ですね(笑)。

それと、もう20年ぐらい前になるけれども、大阪の友人の弁護士が、日本百名山を踏破した後に、温泉千湯を達成したという話を聞いたのです。
元々、僕も山に行った後にいわゆる秘湯というのに入っていたので、「一緒に行かないか?」ということで、その人と一緒に日本中の温泉に行くようになって、5年ぐらい前に日本の温泉1000か所、千湯を達成したのです。これは北海道から九州まで1000か所の温泉を訪ねました。
これも夏休みとかに500キロ走って、1日に13か所入り、そういうのを裁判官時代に繰り返して、車で年間3万キロ以上走っていました。
温泉とか山とか、スキー,それと百名山もやっていたので。冬はふぶいたりしたら温泉巡りをしたり。ドライブも趣味で愛車はジムニーです。結局、日本中のほとんどの高速道路を走っていますし、北海道は沿岸部も含めて一周しているし、九州も行っているし、日本全国ほとんど行っていない場所はないです。

あと、日本山岳会にも入っているのですけども、その山岳会の連中と、東大スキー山岳部の超OB、それと東北大学山の会の超OB、年齢で言うと昭和一桁台で、一番上の人は昭和5年で今87歳です。
僕らも含めて日本山岳会の連中っていうのは、かつての山仲間というだけでほとんど60代から70代以上の人が大半で、若い人が少ないのです。

田村護法律事務所 高橋隆一弁護士

最近やっと、山ガールとか言って入ってくる人が増えてきただけで、その中間層が全くいないのです。
ですから、スキー合宿で毎年1月に志賀高原に行っているのですけども、その昭和一桁の人が朝8時半から16時半まで吹雪のなかでもガンガン滑っていて、とてもついていけないのです。
僕も古希になっちゃったのですけども、日本山岳会に行くと、まだ若造もいいところなのですよ。

 

■お仕事に関して

---裁判官と弁護士との仕事の違いとか、何か意識の違いってありますか?

裁判官時代にも感じていたのですけども、要するに裁判官というのは当事者が作った土俵の上で行司役みたいにどちらが正しいかということを判断するということなのです。

一方、弁護士はというと、企業は別として,日本人っていうのは元々法律を意識して暮らしているわけではないので,法律を知らずに契約や法律的な行為をしてしまう人が多いわけで、そういう人の話を聞きながら、法律的にどういう形で事件を構成し,裁判上認められる請求ができるかということを考えないといけないという意味では、一番大変な仕事だと思うのです。

また,裁判官というのは、ある意味どうしてもお役所的なところがあるのです。
結局、今よく言われていることですけども、正義や信念を貫くのではなく、自分の判決を覆されたくはないので、判決を書くときに高裁がどうみるかとか、前例とか判例に縛られちゃうという面はどうしてもあるのです。

田村護法律事務所 高橋隆一弁護士

---先生がお仕事の中で大切にしていること、重きに置いていることは何ですか?

今は弁護士として、やはり依頼者の立場に立ってどういう解決をしたらいいかということを考えて、その依頼者の立場に立って最後まで誠実に付き合うということを大事にしています。

---先生は裁判官、弁護士の経験から例えば相続に関して、先生のご見解を教えてください。

まず、裁判官として相続に関与するのは、遺産分割事件です。

その事件に関与したのはかなり昔のことですけども、なかなか遺産分割事件っていうのは進まないのです。
それで当事者の主張を待って、ズルズルやっているうちにどんどん時間が経っていって、結局は、裁判官の立場からすると法定相続ですから、無理を言う当事者を説得できなければ,もう法律通りに判断するしかないのです。

そういう意味では、裁判官から見ると、遺産分割とか相続問題の最後はそれほど難しい事件ではないのです。
裁判官を辞めた後、公証人になったのですけど、公証人は遺言事件を年間200件ぐらい処理しているのです。
それで10年間公証人を続けたので、事件で言うともう2000件ぐらいの経験はあります。

その10年間の公証人としての経験の中で、かつての遺言というのはお金持ち、つまり資産家が公証役場に来て遺言書を作るというのが通例だったんです。
ところが私が公証人になった頃には、すでに資産家が遺言を作るという件数は少なくなっていて、多額の資産を持っていない人も含めて結構バラエティーのある事件が多くなっていました。

田村護法律事務所 高橋隆一弁護士

それから、これはごく最近と言ってもいいかもしれませんけども、遺産で揉めるのはむしろ額の少ない人です。
つまり、親がせいぜい300万から1000万ぐらいしか持っていない,あるいは自宅の不動産しかないのに、それを巡って兄弟、要するに子どもたちが争うというケースも多くなってきているのです。

そういう意味では、資産の少ない人のほうが、むしろきちんとした遺言書を作っておかないと残された人が大変なことになるということも考えておいた方が良いと思います。

結局、公正証書遺言が一番いいのですけど、遺言書があるとないとでは大違いで、しっかりした遺言書があれば、いくら兄弟が争ってもその遺言書とおりで解決するのですけども、それがないと、わずか500万ぐらいの価値の家を巡って兄弟3人、4人が取り合うという、とんでもないことになりますからね。

---資産を多く持っている人だけではなく、誰にでも当てはまることであるということですよね。

そうです。それと最近は、ボチボチ信託遺言というのが出てきているのです。

これは、例えば子どものうちの1人が障害者だったりした場合に、その人のために受託者をつくってその者に遺産を託すというパターンなのです。

それ以外にも、信託遺言で、娘に財産をあげたいけど娘はお金があれば浪費する人なので(笑)、信頼できる人に財産を委託して、自分が亡くなったら月10万とか20ずつだけ下ろせるようにするとか、そういう遺言もあります。

だから本来、信託的遺言というのは身体障害者とか精神障害者とか、そういう人に親が福祉として財産を残してあげて、少しずつ受益者のためにお金を渡したり、財産を管理・処分したりするというパターンですけれども、今言ったように子どもが浪費者であって、相続したらたちどころに財産がなくなってしまうであろうという場合も結構使えるのです。

田村護法律事務所 高橋隆一弁護士

---その遺言信託は、現在結構浸透してきていますか?

いや、まだ浸透はしていないと思います。
そういう発想がそもそもないのだろうと思います。
浪費癖がある人とか、そういう場合には結構適しているかもしれません。

---高橋先生が他の弁護士に負けないところはありますか?

元々、小学校の頃から理科系の趣味があったので、そういう事件に関して、要するに技術的・科学的な話には付いていけるという所があります。

それと公証人をしていて、意外と弁護士先生も公証実務については知らない方が多いのです。
ですから、例えば死因贈与とかとかいろんなパターンがあるのですけども、それの書き方とかも含めて公証人をやっていてよかったと思うことはあります。

どちらかというと、公証人というのは法務省法務局所属ということになるので、検察官のほうがやや多いのです。
公証人は,公証人法で70歳になったら辞めてくれというかたちになっていて、事実上70歳が定年です。
裁判官の定年は65歳ですけど、検察官は63歳です。そうすると50代のうちに検事正になってしまうと、むしろ、それより上にいくよりは、早くう公証人になるという方が多いのです。

---公証人、裁判官をへて、そこから弁護士をやろうと思った理由は何なんですか?

元々、70歳になったらもう趣味の世界で生きようかと思っていたのですけども、裁判官をしている時代に趣味を思う存分堪能してしまって、その後半の頃にやはり法律も面白いなと思った時期があるのです。

それから、公証人になってから、公証人のうちの1人が病気をして、1人で公証役場の事件を引き受けていた多忙な時期があったのです。
そこで一生懸命やっているとかえって仕事のほうが楽しいなという所もあって、むしろ年を取ったら仕事を第一にして趣味は本当に趣味としてやっていたほうが人生は充実するなという思いもあったのですよ。

生涯現役とかいう言葉があって、この前105歳で亡くなられた日野原先生みたいな、いつまででもお医者さんをやっていたような人いますよね?
それと同じで、自分が現役としての人の役に立てる限り,仕事をやれるうちは生涯現役で頑張ってみようと思っています。

 

■最後に

---先生は今年で法曹歴は40年ということで、振り返ってみていかがでしたか?

結局、僕の小さい頃からの趣味や下町育ち(浅草)という生い立ちから言うと、法律家というのはむしろ自分からは遠い世界だったのですよ。

もしこの世界に飛び込まなかったら、法律を知らずに一生涯を過ごしてしまったと思うのです。

ところが法律家になってみると、いろんな様々な事件があって、それなりにやりがいのある事件もあるし、まして弁護士が一番当事者に密接で、自分が関与しなかったらどうなっていただろうというような事件もありますしね。
だからといって、弁護士ですからタダで事件を受けるわけにはいかないのですけども。

田村護法律事務所 高橋隆一弁護士

---最後に、相談に来られる方に一言メッセージをお願いします。

相続だけではなくて、どんな事件でもいいですから、率直に気軽に相談していただければ、依頼者の立場に立ってできるだけ妥当な結論が出るように考えたいと思っています。

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高橋 隆一 (東京弁護士会所属 / 田村護法律事務所)

裁判官・公証人として多様な事件を扱ってきた経験を活かし、最適な法律のアドバイスができます。 当事者の立場にたち、良い解決に向かうようにサポートして参ります。お気軽にご相談ください。

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