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【弁護士監修】親が遺した代々守っていた土地・不動産の売却を長男が要求

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弁護士 古閑 孝 アドニス法律事務所

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更新日:2023年01月11日
親が遺した代々守っていた土地・不動産の売却を長男が要求のアイキャッチ

親が亡くなり相続が発生、自宅不動産を売却せずに遺したい

私は男ばかりの3人兄弟の三男です。

先月母が亡くなりました。母は亡父名義の自宅不動産に長男夫婦と同居していました。母の遺産と呼べるものは土地・建物だけで、遺言書こそありませんでしたが、生前から、「この代々続く土地だけは守って欲しい」と言っていました。

次男と私は母の意思を尊重したいと思っていますが、長男は売却を希望しています。土地の査定額は3800万円で、建物・家屋は老朽化しているため値打ちはありません。

実家が残せるのであれば、次男も私も相続を放棄していいと考えていましたが、長男は頑として譲らず、売却したくないのであれば自宅のリフォーム代として600万円を要求してきました。しかし、実の所、長男は昔からギャンブル好きで、借金があるのです。

仮に長男の要求をのみ、我々が600万円を負担し相続を放棄したとしても、いずれ長男が好き勝手に実家を売却することは目に見えています。そこで、法的な契約を交わし、実家を次の世代まで残すためにはどうしたらよいのでしょうか。

相続放棄するとどうなる?

まず、相続を放棄するのであれば、そもそも相続人ではなかったことになるので、ご相談者のあなた方には何の権限もありません。また同様に、600万円を出した上、土地家屋の名義を全て長男に変えてしまえば、以後長男が自分の資産をどのように処分しても、第三者が口を挟む権利はありません。

残念ながら、600万円を支払うことを条件に、長男の名義となった土地家屋の売却を将来にわたって阻止することの出来る契約など存在せず、あくまでも兄弟間の口約束に過ぎず、法的根拠は乏しいのです。例え書面を交わしたとしても、何も知らない第三者に売却してしまえば、何の手立てもありません。将来の約束ほど不明確なものはないと考えるべきです。

お母様の意思を尊重したいと考えているご相談者や次男の方のお気持ちは理解できますが、長男にもまた事情があり、皆の望んだとおりの結果に落ち着くことは難しいかも知れません。

土地の売却を防ぐには

現時点で確実に土地を維持するには、次男とご相談者が法定相続人として当然の権利を主張し、不動産を3兄弟の共有名義にすることです。そうなれば、長男の独断で売却する事は出来なくなります。

また長男に法定相続分相当の現金を渡し、不動産を次男と相談者で話し合ってどちらかの名義(共有も可)にすることも可能です。

長男の本心が何処にあるのかをまず知らなければ話し合いはまとまりません。先ずは相続人間で十分に話し合うことが一番です。

しかし、それでも決着しない場合、やはり専門家に相談することをお勧めします。少しでも早い段階から弁護士に依頼しておけば、裁判や調停になる前に、円満な解決のお手伝いをする事が可能かも知れません。

3人の兄弟が円満に話し合いをし、穏やかな関係でいられることがお母様のもう一つの意思だと思って話し合いをなさってみて下さい。

相続に強い弁護士

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古閑 孝 (弁護士)アドニス法律事務所

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