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【弁護士監修】W不倫は複雑!離婚する前に知っておきたい「相続」と「離婚」の関係

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弁護士 本田 幸則 なごみ法律事務所

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更新日:2018年12月29日
W不倫は複雑!離婚する前に知っておきたい「相続」と「離婚」の関係のアイキャッチ

離婚したら、相手とは縁が切れるから、相続なんて関係ないと思っていませんか?

一般論としては、その通りですが、離婚しても相手親族の相続に巻き込まれてしまうことがあります。また、離婚は成立しているけれど、金銭的問題が解決していない場合にも相続と絡んで問題となります。

では、どのような場合に問題となるのか、具体的に見ていきましょう。

離婚成立後の金銭問題が解決する前に相手が死亡した場合

慰謝料を相続人に請求できるか?

慰謝料は、単なるお金の支払いの問題です。

ですから、元配偶者の慰謝料支払義務は相続人に相続され、相続人に対して慰謝料を請求することができます。

もっとも、子供がいる場合には、子供が元配偶の財産ともに慰謝料支払い義務を相続することになってしまうので、あまり現実的ではありません。

財産分与を相続人に請求できるか?

財産分与支払い義務も、単にお金の支払いの問題なので相続されます。

ですから、相続人に対し財産分与を請求することができます。

養育費を相続人に請求できるか?

養育費については、単なるお金の支払いという問題ではなく、その子供の親という身分に基づいて支払う義務を負うものです。

ですから、養育費の支払い義務は相続されることはなく、相続人にこれからの養育費を請求することは出来ません。

ただし、未払分については、単なるお金の支払いの問題となっているので相続人に請求できます。

相続に当事者として関わる場合

遺言がある場合

もっとも分かりやすい例外が遺言がある場合です。

遺言によって遺産を受け取る相手を元配偶者としておけば、遺言に不備がなければ、元配偶者が遺産を受け取ることになります。

このとき、全ての財産を譲ることを包括遺贈(ほうかついぞう)といいますが、包括遺贈を受け取る者(受遺者)は相続人と同じ権利義務を負うことなるため(民法990条)受け取りたくない場合や、借金が多くなければ受け取りたいという場合、家庭裁判所で相続放棄限定承認という手続をする必要があるので気をつけてください。

相手の両親と養子縁組している場合

その家の跡取りとなるため婿養子になった場合など、結婚相手の両親と養子縁組をしているケースがあります。

そうすると、たとえ離婚しても、元配偶者との関係は兄弟姉妹として続きます。

ですから、元配偶者の両親が亡くなった場合に子供という立場で相続人となったり、元配偶者が亡くなった場合に兄弟姉妹という立場で相続人となることがあります。

ですから、もし相手の両親と養子縁組している場合で、相手親族の相続問題に巻き込まれたくない場合には、離縁(養子縁組の解消)手続をすることを忘れないでください。

子供の親として関与する場合

原則

お子さんがいる方が離婚する場合、離婚して親権をとると相手との縁が切れると思っている方がいらっしゃいます。

しかし、たとえ離婚をしても親子の関係が切れることはありません。

ですから、たとえ離婚して親権があなたにあっても、子供は元配偶者の子供として相続人となるのが原則です。

再婚・養子縁組をしたら?

あなたが再婚しても子供は元配偶者の遺産を相続できるでしょうか?

この場合でも、お子さんが元配偶者の子供であるということに変わりはないため、元配偶者の子供として相続を受けることが出来ます。

では、再婚だけでなく、再婚相手と子供が養子縁組した場合はどうでしょうか?

この場合でも、子供は元配偶者の相続権は失われません。

なぜなら、養子縁組は、養親との間に親子関係が発生するだけで、元配偶者との間の親子関係はなくならないからです。

不倫相手の子供だったら?

不倫の結果、子供が出来てしまった場合は、少しややこしいことになります。

まず、子供を浮気相手の子と気づかずに出生届けを出し、元配偶者の子として育ててきた場合には、子供は法律上、元配偶者の子となるので、元配偶者の相続人となります。

では、元配偶者の子でないことが明らかなときはどうでしょうか?

婚姻中、または離婚後300日以内に生まれた子は、元配偶者の子と推定されますが、裁判所で嫡出否認の訴え、親子関係不存在確認の訴え、遺伝学的父親による認知請求が認められれば、元配偶者の子ではなくなります。

そうすると、法律上も子供は元配偶者の子供ではないということになるので、たとえ結婚している間に生まれた子でも相続人とはなりません。

W不倫の場合はもっと複雑に

単なる不倫の場合は、上記のとおりですが、W不倫の場合は、さらにややこしいことになります。

上記のように、子供が元配偶者の子ではないということは、不倫相手の子となります。そのため、不倫相手は父親として認知することができ、不倫相手との間で法律上の親子関係が発生します。

つまり、あなたの子供は、W不倫相手の配偶者や子供達と同様に第1順位の相続人となるのです。

こうなると、相続問題の解決は、感情も絡んで非常に困難となります。

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