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【弁護士監修】相続対策として養子縁組をする際に注意すべきこと

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弁護士 古閑 孝 アドニス法律事務所

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更新日:2018年12月29日
相続対策として養子縁組をする際に注意すべきことのアイキャッチ

「親の相続が発生して、手続きのために戸籍を確認していたら、自分は実子ではなく養子であることが分かった」

「相続税対策に孫を養子縁組しておくといい」

とか、相続に関するご相談の中で養子についてのご質問を受けることがよくあります。

そこで、今回は養子縁組について、確認しておきたいと思います。

養子縁組には2つのタイプがあります。

養子縁組とは、実の親子関係のない者同士(所謂、血の繋がっていない者)が、法律上、実際の親子(実子)と同じ状態になることを言います。

そして、養子縁組には、2つのタイプがあります。

①普通養子縁組

一般的に養子と呼ばれものは、この「普通養子縁組」を指すことが殆どではないかと思われます。この普通以下の一定の要件を満たす場合に、市区町村長への届け出によって成立します。

たとえば、両親が離婚して、母親の姓を称していた子が、母親の再婚によって、再婚相手の男性と養子縁組する、といった例です。

普通養子縁組が成立すると、養子は養親の戸籍に入籍し、養親の氏を称することになります。また養親の嫡出子としての身分を取得するとともに、養親の親族とも親族関係が生じることになります。

加えて、普通養子縁組の場合、養子は養親との親子関係が新たに発生するとともに、実親との親子関係も消滅せずにそのまま継続されることとなるのです。つまり、養子は、養親からも実親からも相続する権利を得る反面、養親及実親両方に対して相互に扶養の義務を負うことになることには注意が必要です。

②特別養子縁組

特別養子縁組とは、実親からの虐待や子を育てられないなど、なんらか事情がある場合、原則として6歳未満の子の福祉のために、特に必要があるとされるきは、子とその実親側との法律上の親族関係を消滅させ、実親子関係に準じる安定した養親子関係を家庭裁判所が成立させる縁組制度で、養親となる者が、養親となる者の住所地を管轄する家庭裁判所に特別養子縁組成立の申立をし、その許可を得なければなりません。

実親との親子関係が消滅するという点が、普通養子縁組と異なり非常に大きな影響を与える手続きであるため、家庭裁判所では、本当にこのような強い措置が必要か否かを厳格に判断することとなります。

したがって、特別養子縁組の場合、養子は養親との親子関係が新たに発生することによって、実親との親子関係が消滅します。つまり、養子は、養親からの相続する権利を得る反面、実親からの相続する権利を失うことになる点に注意が必要です

普通養子縁組をするための要件

①養親となる者の年齢(民法第792条)

成年に達した者は、養子をすることができます。

ただし、ここでいう成年には、満20歳に達している者は勿論のこと、満20歳に達していない者でも婚姻をしている者(これを「成年擬制」といいます。民法第753条)も含まれます。

②尊属又は年長者を養子とすることの禁止(民法第793条)

自分からみて年上の者や、尊属に該当する者(「尊属」とは自分よりも先の世代に属する直系および傍系の血族のことを言います。たとえば父母・祖父母などを直系尊属、おじ・おばなどを傍系尊属といいます。)を養子にすることはできません。

したがって、たとえば養親に弟(叔父)や妹(叔母)がいて、自分より年下であったとしても、その叔父や叔母を自分の養子にすることはできないのです。

一方で、自分の弟や妹を養子にすることは可能であるため、弟や妹を第一順位の法定相続人として、遺産を遺すことが可能になるのです。

③後見人が被後見人を養子とする縁組(民法第794条)

後見制度によって保護される未成年被後見人や成年被後見人を、その後見人が養子とする場合には、養子となる者の住所地を管轄する家庭裁判所の許可を得なければなりません。

また、後見人の任務が終了していても、その財産管理の計算が終わっていない間も同様です。

④配偶者のある者が未成年者を養子とする縁組(民法第795条)

夫婦が未成年者を養子とする場合には、その夫婦の両方が養親とならなければならず、夫婦の一方のみが単独で養親となることはできません。

ただし、配偶者の嫡出子である子を養子とする場合は、単独で養親となることができます。たとえば、妻が前の婚姻で生んだ嫡出子を夫が養子とするような場合には、妻は自分の嫡出子を養子とすることはできないため、夫が単独で養親になることができるのです。

また、配偶者がその意思を表示できない場合も、一方が単独で養親となることができます。これは、たとえば配偶者が病気や行方不明等の理由で養子縁組の手続きができない場合などが該当し、この場合は、その一方が単独で養親となることができるのです。

⑤配偶者のある者の縁組(民法第796条)

婚姻している者が養親となる、または養子になる場合には、配偶者の同意を得なければなりません。

ただし、配偶者と共に養親になる場合、または養子となる場合には配偶者の同意を得る必要はなく、また配偶者がその意思を表示できない場合も同意を得る必要はありません。

なお、同意した配偶者が、同意したことを理由に必ず養子縁組しなければならない訳ではありません。

⑥15歳未満の者を養子とする縁組

養子となる者が15歳未満の場合、その者の親権者や未成年後見人などの法定代理人が、その養子となる者に代わって養子縁組の承諾をすることとなります(民法第797条1項)。したがって、満15歳に達した者は、法定代理人の同意がなくても、自分の意思で養子縁組することができます。

また、親権者や未成年後見人などの法定代理人の他に養子となる者の父母で監護者となるべき者が他に定められている場合には、その法定代理人は、その監護者の同意を得なければ、養子縁組の承諾をすることはできません(民法第797条2項)。

⑦未成年者を養子とする縁組(民法第798条)

未成年者を養子とする場合には、養親となる者は、養子となる者の住所地を管轄する家庭裁判所に養子縁組許可の申立をし、その許可を得なければなりません。

ただし、自己又は配偶者の直系卑属(「卑属」とは自分より後の世代に属する直系および傍系の血族のことを言います。たとえば、子・孫などを直系卑属、おい・めいなどを傍系卑属と言います。)を養子とする場合には、家庭裁判所の許可は不要です。

⑧養子縁組の届け出が必要(民法第799条)

養子縁組は、その届け出が市区町村役場に受理されて成立します。

特別養子縁組をするための要件

①養親の夫婦共同縁組(民法第817条の3)

養親となる者は、配偶者のある者でなければならず、また配偶者と共に養子縁組をしなければなりません。つまり、夫婦の一方は、他の一方が養親とならないときは、養親となることができないのです。

ただし、配偶者の嫡出子である子を養子とする場合は、単独で養親となることができます。

② 養親となる者の年齢(民法第817条の4)

養親となる者は25歳に達していなければなりません。ただし、養親となる夫婦の一方が25歳に達している場合は、他の一方は20歳に達していれば養親となることができます。

③養子となる者の年齢(民法第817条の5)

養親となる者が家庭裁判所に申立をするときに、養子となる者の年齢は6歳未満でなければなりません。

ただし、その養子となる者が8歳未満であって、6歳に達する前から養親に育てられている場合には、家庭裁判所に申立をすることができます。

④父母の同意(民法第817条の6)

特別養子縁組の成立のためには、養子となる者の実父母の同意がなければならない。ただし、実父母が病気や行方不明等の理由で意思表示ができなかったり、父母による虐待や悪意の遺棄、その他養子となる者の利益を著しく害する理由があったりするような場合は、同意は不要です。

⑤ 子の利益のための特別の必要性(民法第817条の7)

実父母による養子となる者の監護が著しく困難又は不適当であること、その他特別の事情があって、養子となる者の利益のために特に特別養子縁組が必要であると認められなければなりません。

⑥監護の状況(民法第817条の8)

家庭裁判所は、特別養子縁組を成立させるためには、養親となる者が養子となる者を6か月以上の期間の監護した状況を考慮しなければならない。

これは、新しく養親となる者が、その子の親として相応しいかどうかが、特別養子縁組制度の趣旨に大きく関係するため、当然の要件となるのです。特別養子請求の申立書にも、「養親となる者による養子となる者の監護状況」を記載する欄が設けられているのは、そのためです。

そして、この監護状況は6か月以上の期間にわたる様子が考慮対象とされるため、家庭裁判所への申立以前から相当期間監護しているのでない場合は、請求申立をしてすぐに審判がされるわけではないということになります。

⑦報告的届け出(戸籍法第68条の2)

特別養子縁組は、家庭裁判所の審判により成立するため、審判確定日から10日以内に報告的届け出を市区町村長へすることとなります。

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古閑 孝 (弁護士)アドニス法律事務所

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