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相続税に大きく影響する!生命保険加入前に知っておくべき知識5つ

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更新日:2020年04月13日
相続税に大きく影響する!生命保険加入前に知っておくべき知識5つのアイキャッチ

生命保険に加入することは、遺言と同じく、被相続人(財産を与える人)の死亡後の相続人(財産を受け取る人)の相続争いを避ける手法として、また相続税の節税対策としても重宝されている手段です。

ですが、生命保険金の契約によっては、贈与税や所得税が発生してしまうこともあるので、そのあたりもふれながら生命保険加入前に知っておくべき知識について紹介させていただきます。

現金よりも生命保険が良い理由

現金でいいじゃないか。わざわざ手続するのは面倒だ。父親が入院している病院のベッドの上でつぶやきます。父親には妻(配偶者)と息子が一人います。父親は先祖代々から受け継いできた資産をたくさん保有していました。

現金で相続すると、その全額に相続税が課税されます。ですが、生命保険金で受け取ると非課税部分が発生するので節税になります。

【生命保険の非課税金額】

500万円 × 法定相続人数

もし、父親を被相続人、保険金受取人を妻と息子とした場合、最大1000万円が保険金から非課税額として控除できるので節税となります。

息子が放棄した場合は?非課税金額の適用が受けれないのは誰?

息子が相続財産の相続の放棄をしたとします。

生命保険金は被保険者の死亡後の遺族の生活の保障であることから、相続の放棄をした人も受け取ることから、息子は生命保険金は受け取ることができます。

生命保険金を受け取った息子には、みなし相続財産として相続税が課税されます。ここまでは、相続の放棄をしていない妻とも同じです。ですがここからは違います。

相続を放棄した息子は、生命保険金の非課税の額を、受け取った生命保険金から控除ができないことになります。ですが、上記の生命保険金の非課税の計算の要素としての人数にはINすることになります。

結果、生命保険金に関して、非課税の適用が受けることができ、実際に相続財産である生命保険金が減り、節税できるのは妻だけだということになります。

生命保険金の受取人となる場合は、相続財産を放棄しないほうがいいのかもしれません。

相続放棄しても生命保険はもらえるって本当!?

相続放棄をした場合、相続財産はもらえません。

ですが生命保険金は相続の放棄をしたとしても受け取ることができます。生命保険金を節...

子供の数を増やせば非課税額が増える?

莫大な資産家の場合、少しでも相続税を節税しようしたとします。被相続人の子供の数を増やせばその分、相続人が増えるので生命保険金の非課税の金額も増えるのではないか?ならば、養子縁組として息子の子供、つまり父親にとっての孫も養子とすればどうか?

養子縁組(普通養子縁組)の場合、課税逃れを避けるために、生命保険金の非課税の計算において、INできる人数に制限があります。

・被相続人に子供がいる場合…養子として生命保険金の非課税の人数とできるのは1人

・被相続人に子供がいない場合…養子として生命保険金の非課税の人数とできるのは2

例の場合の父親は息子が一人いますので、養子をつくり生命保険金の非課税の適用をうけるためには、1人だけが限度となります。

他にも生命保険金が預金で相続するよりも合理的な理由があります。

・生命保険金・・・被相続人の死亡後5日ほどで生命保険金の受取人が請求すれば、口座に振り込まれる

・預金・・・被相続人の死亡とともに、預金が凍結します。遺産分割協議書、相続人の印鑑証明書、戸籍謄本などがそろうまで預金は凍結したまま。葬儀費用など急な出費に対応できない

このようなことから、生命保険金を利用されることをおすすめします。

相続税の節税対策のつもりの生命保険金に贈与税がかかる?

現預金の相続税対策のために、生命保険に切り替えて節税を試みたものの、その生命保険金に贈与税が課税されてしまうことがあります。

生命保険金ができるまでにはこのような人々が関与しています。

・契約者・・・生命保険金の契約者です。生命保険料の支払人とは別枠で設定されています。

・生命保険料支払者・・・生命保険金は生命保険料を積み立てることで進んでいきます。生命保険料を支払った人のことです。

・被保険者・・・この人が死亡したのなら、生命保険金が受取人に発生します。

・保険金受取人・・・生命保険金の受取人のことです。

父親が被保険者で、保険金受取人が息子だったとします。

生命保険金を受け取った相続人に相続税が課税されるのは、父親(被相続人)が生前に保険料として支払っていた部分についてのみです。

保険料は、父親と母親が半分ずつ、毎月の保険料を支払っていました。この場合、生命保険金のすべてに相続税が息子に課税されるわけではありません。

生命保険金の額 × 父親が支払った保険料の額が父親と母親が支払った保険料の総額に占める割合

この額だけに息子に相続税が課税されます。

ですが、息子が受け取った生命保険金の総額のうち、半分は母親が支払ってきた保険料から成立しています。

この場合、息子は父親(被相続人)の死亡によって、生命保険金を受け取ったけれど、半分は母親からの贈与で受け取ったと考えます。ですから息子には父親(被相続人)からの財産による相続税と、母親(贈与者)からの財産による贈与税の2つが課税されることになります。

息子が20歳未満の場合は、贈与税だと110万以上の贈与であれば贈与税が発生します。生命保険金が多額となる場合は、生命保険料の負担者は、被相続人がすべて負担とし、相続税としたほうが節税になります。

相続税の節税のつもりが所得税が課税される?

先ほどの例で、生命保険金の受取が息子でなく、妻だったとします。

この場合、妻は自分が支払ってきた保険料があるということになります。被保険者(夫)と半分ずつ毎月の保険料を支払ってきていたからです。

夫(被相続人である保険金の被保険者)が死亡したとき妻が全額を受け取る生命保険金は、その半分については妻自身が支払ってきた保険料からのものと考えます。

このとき、妻には生命保険金の総額のうち、半分の額については、妻には所得税が課税されます。相続税の節税のつもりで預貯金を生命保険にきりかえたのに、所得税が課税されては本末転倒です。

まとめ

いかがでしたか?相続税の節税には生命保険という手段があり、非課税の適用を受ければ相続税の節税になることがわかりました。ですが、場合によっては贈与税や所得税が課税されてしまうこともありますので、迷ったときはぜひとも相続税に詳しいファイナンシャルプランナーや税理士にご相談ください。

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