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【弁護士監修】祖母や祖父から孫へ不動産を相続させたい時の注意点

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弁護士 古閑 孝 アドニス法律事務所

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更新日:2019年04月03日
祖母や祖父から孫へ不動産を相続させたい時の注意点のアイキャッチ

こんなご相談が寄せられました。

私の母が孫である私の長女に2400万円相当のマンションを遺贈するという内容の遺言書を作成した事を最近知りました。

母の法定相続人は私と2人の兄の計3名ですが、余計な相続税がかかるのなら私は相続放棄をしてもいいと考えています。

2400万円のマンションの遺贈を受けた場合、娘はどの位の相続税を払わなければいけないのでしょうか。また、その他にもかかる費用があるのか教えて下さい。

孫への不動産の相続(遺贈)

孫に不動産を相続させる遺贈とは?

ご相談者が相続放棄をした場合、最初から相続人ではなかったということになりますので、相続人たる地位が下の世代に下がっていくものではありません。不躾ではありますが、仮にご相談者がお母様より先に亡くなった場合は、代襲相続によってご相談者の子や孫が相続人となります。

今回の場合、ご相談者と同順位の相続人であるご兄弟が2人いらっしゃいますので、そのご兄弟2人の法定相続分が増えることになり、ご相談者のお子様が相続人になることはありません。

このため、長女へのマンションを相続させるには、法定相続人ではない方への遺贈としてマンションを相続することになります。

相続税額について

つまり、孫であるご相談者の長女(「遺贈を受け取る方」=「受遺者」といいます)は、相続人ではない第三者へ遺贈されたマンションの受遺者として相続税を支払う立場となります。

相続税は、故人の財産総額から基礎控除額を差し引き算出されます。その後遺産の割合に按分されますので、正確な金額は、詳細をお伺いしてみないとお答え出来ません。

また、受遺者の被相続人の一親等の血族(子、代襲相続の孫、親)及び配偶者以外ですので、取得した財産に対して算出された相続税額に2割を加算した額が納付すべき相続税額となります。

最近、孫に相続させるために養子縁組をする方も増えておりますが、孫さんを養子にすると法定相続人となりますが、この2割加算は加算されますのでご注意下さい。

相続税額の2割加算の対象になる人

例えば、以下の方は相続税額の2割加算の対象になります。

(1)  被相続人から相続又は遺贈により財産を取得した人で、被相続人の配偶者、父母、子ではない人(例示:被相続人の兄弟姉妹や、おい、めいとして相続人となった人)

(2)  被相続人の養子として相続人となった人で、その被相続人の孫でもある人のうち、代襲相続人にはなっていない人

https://www.nta.go.jp/taxanswer/sozoku/4157.htm

遺贈とは

遺贈には「特定遺贈」と「包括遺贈」の2種類があります。

「包括遺贈」とは、相続財産の目的物を特定せずに、遺産の全部又はその一定の割合を指定して行う遺贈のことで、例えば「遺産の全部」とか、「遺産の2分の1」というように遺産の割合をもって行う遺贈のことです。

これに対し「特定遺贈」とは、「○○の不動産」とか「○○銀行の預貯金」というように、相続財産のうち、目的物を特定して行う遺贈のことです。

「包括遺贈」を受ける受遺者は法定相続人と同じだけの権利と義務を有する事から、不動産所得税については非課税となっています。しかし、故人の遺言で一部の財産のみを譲り受ける「特定遺贈」の受遺者については、不動産所得税が課せられます。

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その他掛かる費用は?

次にかかる費用として、不動産所得税が挙げられます。本来、不動産所得税は不動産を取得した時に課せられる税金であり、当然取得者の意思に基づくものです。しかし、世の中には本人の意思に関わらず、相続によって強制的に取得することになった不動産も存在し、これについては不動産所得税が課せられず非課税扱いとなっています。

不動産取得税は、固定資産税評価基準に対し、土地及び住宅用の家屋については3%、店舗や事務所など住宅用でない建物については4%となります(平成30年3月31日までに取得した場合の税率。他にも特例が適用される場合もあります)。

そして、最後に不動産の名義を変更する際にかかる登録免許税も忘れてはなりません。これもまた、遺贈と法定相続人とでは割合が異なり、固定資産税評価標準の2%となっています。

上記の割合に当てはめて計算なさって見て下さい。今後発生するであろう相続が、お母様の希望されるとおりに進まれる事を願っています。

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古閑 孝 (弁護士)アドニス法律事務所

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