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遺産相続の相談件数が10年で2倍に。遺産相続で大事な心構えを弁護士さんに聞いた

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更新日:2018年12月29日
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年々、相続によるトラブルは増加

家庭裁判所などで争われている「遺産分割審判」や「遺産分割調停」の件数は、年々増加傾向にあります。

下のグラフは、平成12~24年度の12年間で日本全国の家庭裁判所で発生している相続関連の相談件数を表しています。平成12年度から約10年間で、90,062→177,125件と約2倍増いう結果が出ています。また、相続発生時(死亡時)に裁判所への相談している割合が最大で14.8%まで達しています。これは、誰かが亡くなった時に、約15%の割合で裁判所へ相談していることになります。

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これは、あくまで裁判所への相談件数ですので、弁護士などへの相談件数を含めると非常にトラブルを抱えている方が多いのではないでしょうか?

遺産分割協議は相続人全員で

被相続人が遺言書を作成していなかった場合、遺産は相続人全員の共有状態となります。

そのため、遺産分割協議は相続人全員で行うことが必要とされます。

また、遺言書がある場合でも、相続人全員の同意があるときは、遺言と異なる内容の遺産分割協議が可能とされています。

このように、遺産分割協議には相続人全員が関与することが必要になります。

遺産分割協議はいつするべきか

遺産分割協議をいつ、あるいはいつまでにするべきかということについて、法律上特に制限はありません。ですから、例えば、高齢の夫婦の一方が亡くなった場合、ただちに分割協議をせず、将来に残された夫婦の他方が亡くなったときにその子供たちが分割協議をする、ということは決して珍しくありません。

ただし相続税の申告期間には期限がある

相続税の申告期間は、相続開始を知った日(通常は亡くなった日であることが多いでしょう)の翌日から10か月以内とされていますので、その期間内に遺産の調査を終わらせなければなりませんが、申告期限までに遺産分割が終わらなければ、法定相続分で相続したとして相続税を計算して納付し、後に遺産分割が成立すればその内容に応じて修正申告等をすることになっていますから、相続税の申告が必要なケースでも必ずしも申告期間内に遺産分割を終える必要はありません。

もっとも、遺産分割の時期に制限はないと言っても、長時間が経過すると資料の収集が困難になったり(例えば、通帳が見つからないとか一部の相続人が保管しており見せてくれないというような場合に金融機関の取引履歴を取得しようとしても、通常は10年程度しかさかのぼれません)、相続人が変動・増加する(分割未了の間に相続人である子が死亡し、子の子(孫世代)数人が相続人となるなど)可能性がある等の問題があります。

ですから、特別な事情がない限り、できるだけ早期に分割協議をした方がいいでしょう。

遺産分割協議で注意すべきこと

相続人全員で行う

先に説明した通り、相続人全員で行う必要があり、一人でも欠けると遺産分割協議は無効となります。もっとも、全員が集まって話し合いをし、遺産分割協議書を作成することまでは要求されておらず、電話等で合意内容を決めたうえで郵送等の方法により持ち回りで遺産分割協議書に署名押印して作成することが可能です。

遺産分割の対象となる財産の確定

何が遺産分割の対象となる財産かを確定する必要があります。

親が子の名義で口座を作って預貯金をするといったことは世間一般で行われているものであり、「相続人名義ではあるが実際には被相続人の財産である(遺産である)」といった財産や、逆に「被相続人の名義であるものの実際には相続人の財産である(遺産ではない)」といった財産もあります。

ですから、分割協議の前提として、何が分割の対象かを確定しなければなりません。

この点について相続人間で合意ができない場合には、遺産の範囲について民事訴訟などで確定させる必要があります。

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遺産の評価

現金や預貯金のように額面が明らかな財産と異なり、不動産はその価値がいくらなのか一義的に決まるものではありません。

そのため、相続人間で不動産をいくらと評価するかの合意が必要になります。売却して売却代金から必要経費等を控除した残額を法定相続分に従って分配する場合にはそれほどもめることはないかもしれませんが、特定の相続人が不動産を取得し、他の相続人はその代わりに金銭等を取得する場合には、不動産の評価で大きな対立となる(不動産を取得する側は低く評価し、金銭をもらう側は高く評価する)ことも珍しくありません。

遺産分割協議書の作成

相続人全員の合意が成立した場合には、遺産分割協議書を作成します。

遺産分割協議書を正しく作成すれば、不動産の名義変更や預貯金等の名義変更・解約等が可能になります。遺産分割協議書を作成する上で注意すべき点をいくつか紹介します。

  1. 相続人全員が署名、押印する。
  2. 押印は実印を用い、印鑑証明書を添付する。
  3. 氏名は略字等を使用せず戸籍どおりに、住所は印鑑証明書の記載のとおりに書く。
  4. 遺産に不動産が含まれる場合には、登記簿の記載のとおりに不動産を特定する(自宅等とは書かない)。
  5. 預貯金等も金融機関名、支店名、種別、口座番号、口座名義を記入して特定する。
  6. 代償分割(特定の相続人が不動産等の遺産を取得し、その代償として他の相続に金銭等を支払う)をする場合、その代償金額と支払期限を明らかにする。
  7. 複数枚にわたるときは、割り印をする。
  8. 明らかな誤記等を修正する便宜に捨て印を押しておく。
  9. 相続人の数だけ原本を作成し、各自1通ずつ保管する。

遺産分割協議が成立しないときは?

相続人間の話し合いにでは合意が成立しない場合には、裁判所の手続きを利用するほかありません。裁判所の手続きとしては、当事者間で話し合いをする調停と、裁判所が分割方法を指定する審判がありますが、遺産分割の場合は、通常、調停で調停委員に間に入ってもらって話し合いを行い、それでも合意ができない場合には審判に移行する、という流れになります。

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相続相談弁護士ガイド 編集部

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