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内縁の妻(または夫)でも相続することは可能?

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更新日:2020年04月27日
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近年では、愛の表現方法も様々な形で表されるようになりました。特に最近の若い男女は、婚姻関係と同等の状態にあっても、婚姻届けを出さないケースも増えてきています。

つまり、結婚はしていないが、結婚している状態と同意義、内縁関係というものです。

法律で禁止されているわけでもありませんし、別れるとなれば、婚姻状態の事実に基づき、慰謝料なども取れると聞きます。結婚しているのと同じような扱いであれば何も問題ないように感じるかもしれませんが、あるシーンでは、大変不自由することになってしまいます。

それは、相続するという場面です。

男女のもめ事で別れる別れないという場合には、ほぼ同等に扱われますが、相続では、不利になることばかりです。というのも相続に関する法律では、法律上の続柄や属性を重要視します。

なので、いくら事実上夫婦で夫と妻だろうが、法律上は赤の他人であれば、意味がないのです。しかし、当の本人たちは、世間一般の夫婦と同じように相続をしたり、されたりできると考えているケースが非常に多いです。

いざ片方が亡くなり、相続という場面になって、どれだけ内縁の妻、夫が相続シーンでは無力かと言うことを悟ることになります。今回は、不遇な結果を生んでしまう相続と内縁関係について出来る限りまとめてみました。

皆さんもそうしたいざという時のために、相続シーンにおける内縁の妻、夫という立場について知識を深めていっていただければと思います。

相続における実際の夫婦と内縁の夫婦の違い

実際に婚姻届けを提出した夫婦と内縁関係の夫婦では、どのような違いがあるのでしょうか。

実際の夫婦は優遇される制度が多い

はっきり言って、すべてにおいて違うと言わざる負えません。

法律上の配偶者は自動的に相続人になりますし、配偶者がいるということは税制面でも大きく優遇されます。基本的に世の中の福祉制度というのは、家族が優遇される制度が多いことも事実です。

逆に、内縁の妻・夫である利点と言うのは、法律上の夫婦関係に縛られにくいという点でしょうか。つまり、フットワークが効いて身軽と言うことです。

相続人になれる可能性

両者の相続における相違点を挙げるときりがありませんが、相続人になれるか、なれないかというのが大きな違いだと覚えておいて下さい。

ただし、被相続人=亡くなった方が身寄りもなく、別途、遺言書で相続に言及がない場合は、特別縁故者と見なされる場合があります。

特別縁故者というのは、被相続人を亡くなるまで手厚く世話をした方などが相続人として認められることです。

裁判所に別途申請は必要ですが、法定相続人が一人もいないというケースでは、内縁の夫婦であっても相続人になれる可能性があります。

ですが、実際に家族や親戚と交流のあるなしは別として、法定相続人が一人もいないというケースは多くありません。実際の配偶者と比べると確実性が劣るのは確かです。

内縁の妻、夫ができる行動や権利

他にも内縁の妻、夫が行使できる唯一の権利が疑似的貸借権です。

疑似的貸借権とは

内縁関係ということは、同じ住まいに住んでいると推測できます。疑似的貸借権は仮に相続人がおり、住まいを売り払う必要があるとしてもすぐに出て行かなくてもいいですよ、というものです。

疑似的と言っているのは、実際に貸借権が譲渡されるわけではないからです。疑似的貸借権という名目も存在しません。あくまで、直ちに居住を変えるというのは酷なので、猶予を設けるという程度のものと捉えて下さい。

遺言書も有効な手段

また、他に相続人がおり、どうしても内縁の妻、夫に遺産を相続させたいのであれば、遺言書を一筆書くということもおすすめです。

こちらも法定相続人との兼ね合いによって相続額に限界はありますが、遺贈する際には確かな効力を発揮します。

相続で後悔したくないのであれば

圧倒的に婚姻関係が有利

内縁の妻、夫の方が今まで紹介してきた事柄で後悔したくないというのであれば、婚姻届けを出すしかありません。

正直、相続ではどうやっても内縁の夫婦と法律上婚姻関係にある夫婦では、後者に圧倒的に軍配が上がります

そもそも、相続における配偶者というのは、必ず相続人となる確固たる優位性を持つ立場です。言ってしまえば、婚姻届けと言う紙切れ一枚で手に入ってしまうシンプルさとは裏腹に、強力な法的属性なのです。

内縁という形を取っている以上、様々な理由があるとは思いますが、出来れば法律上も夫婦になることをおすすめします。

しかし、死後に行う遺贈、つまり、遺産相続で資産を継がせるということにこだわらないのであれば、他に方法がないということもありません。

時間的に余裕があれば有効な生前贈与

内縁関係にあっても、資産を受け渡す、残したいと思うのであれば、生前贈与がおすすめです。相手に予め計画的に資産を贈与しておけば、いざと言う時も安心なのではないでしょうか。

ただし、贈与には贈与税という税金がかかりますので、基礎控除額の範囲内で、計画的に分割していくのが良いと思います。

贈与税の基礎控除額は110万円で、1月1日~12月31日にこの額以内に収めれば、税金も発生することなく移譲することが可能です。

例えば、10年間内縁の夫婦として共に歩み、夫から妻へ2000万円の資産のうち、毎年100万円を生前贈与したとしましょう。

その結果、10年後には、それぞれおおよそ1000万円の資産を持つ事が出来ます。

ですが、片方が亡くなった際に持っている1000万円を受け取るには遺言書を残すなど、何らかの手段を取らなければ受け取ることは難しいでしょう。

あくまで内縁の関係にこだわる場合に取れる方法と認識してください。

相続に強い弁護士

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相続相談弁護士ガイド 編集部

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