【弁護士監修】【偉人の遺言と遺産から学ぼう】一休さんとその母の遺言

森鷗外の遺言と夏目漱石の遺産、白洲次郎さんの遺言とつかこうへいさんの最後の言葉に続き、第3弾は、あの有名な「一休さん」のモデルになったと言われている「一休宗純」とその母の遺言についてです。

前回に続き、優和綜合法律事務所 内藤 政信 弁護士に教えて頂きました。

1. 一休宗純

紙本淡彩一休和尚像
出典：wikipedia

１３９４～１４８１(８８歳没)

あの有名な「一休さん」のモデルになった人物とされており、室町時代の禅僧。

後小松天皇の落胤(婚姻関係ではない妻の子、非嫡出子)だと伝えられているが真相は不明。

一休の名称は、２４歳の時に、ごぜの平家物語を聞いて、感じ入り、

と詠んだ。「漏」とは、煩悩の意。

これを聞いた、修行寺の和尚が「一休」の号を授けたと言われています。

一休は、一貫して権威に反発し、弱者の側に立って行動した異端者であり奇行人であった。そのため、多くの逸話が伝わっています。もちろん、禅においても、何度か大悟しています。

また、当時、浄土真宗の蓮如と親交があり、こんな歌を残しています。

さらに、「釈迦といういたずらものが世に出でて　多くの人をまよわすかな」他、含蓄に富んだ多数の歌も残っています。

他に、一休の影響を受けた人物は、村田珠光、金春禅竹、山崎宗鑑、曽我蛇足、宗祇、宗長、また堺の豪商など、その後、日本文化の礎となった人物が多数います。

2. 一休宗純の遺言

一休が死にそうだと、話を聞きつけて、村田珠光以下多くの弟子たちが集まってきた。

「師匠、大丈夫ですか」

大丈夫なはずはなかった。

「もっと、近く」

一休は、力ない声で、弟子たちをそばに寄せた。弟子たちは、御遺言を言うのだと思い、

「なにか、言い残すことはございますか」

と臨終のきわにたずねた。

一休は、一言、

「死にとうない」

これが、一休宗純の遺言と言われています。

また、弟子の修行僧らに対しては、

「この先、どうしても手に負えない大事が起きたら、この手紙を開けるようにと、１通の封書をわたした」

数年後、大事が起きたので、弟子たちは、封書を開けた。

「大丈夫、なんとかなる」

この話は、作り話だと思われることも多いが、一休の話とするところが、一休が、高僧でありながら、人間味あふれる人物であったことを示しており、まんざら嘘とも思えないから不思議です。

3. 母の遺言

一休は、応仁の乱や天災、飢饉、餓死、末法の世の時代を、高僧として生き延びることも可能であったが、彼は、逆境の人生を選択しています。真理の道を取ったというべきでしょうか。

その一休を支えた重要人物の一人が、一休の母です。

一休が３０歳頃のようだが、その遺言がすごい。

死に往く際に、これほどの言葉を遺した母の愛が深いことがこの文章からわかります。

お母さんが背中を押してくれたからこその「一休さん」なのかもしれません。