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【弁護士監修】葬儀費用など相続税申告時に控除出来るものは?

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弁護士 古閑 孝 アドニス法律事務所

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更新日:2021年03月10日
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父が他界しました。
相続税の申告の際に、葬儀費用等が控除出来るということを、葬儀社の担当者から教えてもらいました。その他、相続税の申告の際に控除できるものにはどのようなものがあるか教えて下さい。

相続税の申告の際に控除できる葬儀費用とは

相続が発生した場合には、葬儀費用も「債務控除」として相続財産から差し引くことができます。
もっとも、ひとくちに葬儀費用といっても、その内容はさまざまなものがあります。また、宗教やその地域の慣習によっても異なってきます。
このため、どのような費用が葬儀費用として控除できるかは、一概に決めることはできません。そこで、相続税務上の扱いで、一般的に葬儀費用に該当する費用として挙げられるものをご紹介します。

  • 葬儀、若しくは、それ以前に火葬や埋葬、納骨をするためにかかった費用(葬儀社への支払い等)
  • 葬儀の前後に支払われた一般的に欠かせないとされている費用(葬儀に関係のある通信費、飲食代、交通費、会葬のお礼など)
  • 葬儀でお寺などへお礼費用(読経料、お布施、心付け、戒名料など)
  • 死体の捜索や遺体や遺骨の運搬にかかった費用

これらを見てみると、まず葬儀費用として控除できるものは、葬儀の前後に要するものが多いようです。ただし、故人の立場や環境における一般常識的な金額を逸脱しているような場合は認められない場合もありますので、ご注意下さい。

葬儀費用の控除を申告するためには領収書が大切

これらの控除できる葬儀費用のうち、お布施や心付けのような、領収書が受領できないような類のものもあるでしょう。

相続税の申告の際には、「いつ、誰に、何のために、いくら支払ったのか?」「領収書で金額等を確認したかどうか?」を記載する欄があります。領収書は申告の際に、税務署へ提出する必要はありませんが、裏付け資料としても重要な書類となるため、大切に保管しておきましょう。費用の出納が明らかであれば控除は認められることが多いようです。

因みに、葬儀費用に含まれるが、領収書が発行されないような費用としては、他に戒名料、読経料、お車代などがあります。これらは、「いつ誰になんのためにいくら支払ったか」等を記載したメモを残しましょう。

葬儀費用に含まれないもの

債務控除として認められないものの例

  • 香典返しの費用
  • 墓地や墓石、仏具などの購入費
  • 初七日や四十九日の法要・法令に要する費用
  • 医学上や裁判上の特別な処置にかかった費用

などが挙げられます。

香典返しは、通常、葬儀に伴う支出ですから、控除が認められても良さそうに思われますが、これは収入とする香典には課税されない(所得税や贈与税などの税金は課せられない)ため、支出する費用も控除対象から除かれているわけです。

因みに、通夜や葬儀に参加した弔問客への返戻品として「会葬のお礼」がありますが、会葬のお礼は、葬儀費用に含まれるため、香典返しと混同しないようご注意下さい。

お墓や仏壇は、立派なものでも非課税となります。

これだけ地価が高騰してくると、マイホームどころか、一坪か二坪のお墓を持つことさえ一生の仕事となりつつあります。

墓地の永代使用料や、墓石の価格も高額になってきており、これらもある種立派な財産と考えられるのではないかと思われます。しかしながら、お墓に税金というのは、いかにも似合いませんし、感情的にみても課税は適当とはいえません。

そこで、墓地や墓石のほか、日常、礼拝の対象とされている仏壇・位牌・神棚などの祭具については、相続税を課税しないことにしています。
これは、「財産の価額」には関係なく非課税です。

もっとも、なかには金無垢の仏像を収集するのが趣味という人もあるようですが、これらのものを商品や骨董品として持っていたり、投資の目的にしたりしているような場合は非課税にはなりませんのでご注意下さい。

最後に

これら葬儀費用に含まれない費用を葬儀費用に紛れこませて申告をしてしまうよう例もあるようですが、上記でご説明したように、相続税の申告書には葬儀費用等の支払先や支払年月日を記載することになっていますし、税務調査がなされれば支払い内容の確認が行われますから、控除の是非はすぐに判明してしまいます。

したがって、控除出来る費用を正確に申告しておくことが得策のようです。

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古閑 孝 (弁護士)アドニス法律事務所

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