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【弁護士監修】葬儀費用は相続財産から払ってもいいのか?

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弁護士 古閑 孝 アドニス法律事務所

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更新日:2020年09月15日
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葬儀費用の相続について

母が急逝し、兄が喪主となり、葬儀を取り仕切ってくれました。

葬儀費用は頂いたお香典で全て賄ったと思っていましたが、先日兄が、お香典では葬儀代が賄いきれなかったから、不足分については、母の遺していた預貯金から捻出したと言われました。

そもそも葬儀代は誰が負担するものなのでしょうか。

先日、当事務所にこのようなご相談を頂きました。

葬儀について予め話ができる環境であれば様々な取り決めができるのですが、なかなかそういうわけにも行かないことが殆どだと思います。

さて、今回は、葬儀費用についていくつか確認しておきたいと思います。

葬儀費用は誰が負担するものなのか?

確かに、葬儀費用を負担する人がはっきりと定められているのか、あまり聞いたことがないですよね。

それを踏まえて以下を確認しておきたいと思います。

葬儀費用の範囲

葬儀費用とは、

a.死者の追悼儀式に要する費用(お通夜や告別式)

b.埋葬等の行為に要する費用(死体の検案・死亡届・死体の運搬・火葬などに要する費用)

この2つを指すとされています。

葬儀費用を負担する人は?

次に、「葬儀費用を負担する人が法律で定められているか」についてですが、実は、特に定められていないのです。

何故定められていないのか、その理由は正直わからないのです。

恐らく、葬儀というのは、宗教上やそれぞれの地域で昔から承継されてきた慣習などによって、その形式が様々に存在するからだと推測されます。

負担をする方法として挙げるとするならば、

  • 喪主が負担をする方法
  • 共同相続人で負担をする方法
  • 相続財産から捻出する方法

などが考えられます。

一般的には、喪主が負担するべきであるという考えが主流であり、喪主が一時に自己の費用で立替えて支払うことが多いと見受けられます。

ちなみに、葬儀費用の負担について、参考となる裁判例があります。(平成24年9月29日付名古屋高等裁判所 判決)

【参考裁判例 名古屋高等裁判所平成24年3月29日判決】

「葬儀費用とは、死者の追悼儀式に要する費用及び埋葬等の行為に要する費用(死体の検案に要する費用、死亡届に要する費用、死体の運搬に要す る費用及び火葬に要する費用等)と解されるが、亡くなった者が予め自らの葬儀に関する契約を締結するなどしておらず、かつ、亡くなった者の相続人や関係者の間で葬儀費用の負担についての合意がない場合においては、追悼儀式に要する費用については同儀式を主宰した者、すなわち、自己の責任と計算において、同儀式を準備し、手配等して挙行した者が負担し、埋葬等の行為に要する費用については亡くなった者の祭祀承継者が負担するものと解するのが相当である。」 「亡くなった者が予め自らの葬儀に関する契約を締結するなどしておらず、かつ、亡くなった者の相続人や関係者の間で葬儀費用の負担についての合意がない場合においては、追悼儀式を行うか否か、同儀式を行うにしても、同儀式の規模をどの程度にし、どれだけの費用をかけるかについては、もっぱら同儀式の主宰者がその責任において決定し、実施するものであるから、同儀式を主宰する者が同費用を負担するのが相当であり、他方、遺骸又は遺骨の所有権は、民法897条に従って慣習上、死者の祭祀を主宰すべき者に帰属するものと解される(最高裁平成元年7月18日第三小法廷判決・家裁月報41巻10号128頁参照)ので、その管理、処分に要する費用も祭祀を主宰すべき者が負担すべきものと解するのが相当であるからである。」

足りなかった費用を相続財産で賄うことはOK?

さて、冒頭の相談でありましたように、喪主が香典で賄いきれなかった分を被相続人の預金口座から賄ったとありましたが、果たしてそれは行っていいことなのかどうか、気になるところですね。

葬儀費用は、通常は被相続人の死亡(相続開始)の後に発生するものであるため、相続財産とは別と考え、相続財産から支払うことができるというわけではないと考えられます。

しかし、相続人同士の話し合いで、遺産から葬儀費用を捻出することに合意できていれば、何ら問題はありません。

何の合意もなく、独断で捻出した場合は当然、他の相続人が遺産分割でもめることになってしまいます。

以上のことから、葬儀費用の負担や捻出について、きっちりとした定めがない分、相続人間で争いが生じることも少なくありません。

そのような争いを避けるために、予め対策を講じる必要があるのかも知れませんね。

葬儀費用については、税金の関係もありますので(今回税についての説明は割愛させて頂きました)このような事案で悩まれていた場合、また事前の対策が必要な場合など、是非お近くの弁護士などにご相談下さい。

相続に強い弁護士

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古閑 孝 (弁護士)アドニス法律事務所

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