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地積規模の大きな宅地の評価(従来の広大地評価)

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更新日:2018年12月29日
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国税庁から2017年6月22日に、広大地の改正案が公表されましたので、早速内容をまとめてみたいと思います。

【従来の広大地評価の問題点】

広大地評価について、従来は下記のような問題点がありました。
〇広大地補正は面積のみに応じて減額する方法であり、土地の形状等が考慮されないことから、同じ面積であれば整形地でも不整形地でも評価額が同額になっていました。
〇広大地の適用要件が曖昧で、判断が困難でした。

特に専門家を悩ませているのは、広大地の適用要件の曖昧さでしょう。
税理士では不動産に関する専門的知識も少ないことから、広大地の適用要件を判断することが出来ずに広大地評価を適用していなかったり、税額への影響も多額であることから問題になりやすい論点であるといえます。
だからこそ、相続税還付専門の税理士は活躍できたともいえますが。

しかし、平成29年度税制改正により、平成30年1月1日以後の相続等から新たな適用要件及び評価方法になります。
以下で説明します。

【地積規模の大きな宅地の評価を新設】

国税庁は6月22日、「財産評価基本通達」の一部改正(案)を公表し、意見公募手続きを開始しました。
同改正案によれば、現行の「広大地の評価」は廃止され、新たに「地積規模の大きな宅地の評価」が新設されています。

まずは要件をまとめると下記の通りです。(分かりやすくするために要約します)
〇地積規模の大きな宅地(三大都市圏は500㎡以上、それ以外は1,000㎡以上の宅地)
〇普通商業・併用住宅地区及び普通住宅地区に所在すること
ただし、下記のいずれかに該当するものは除きます。
〇市街化調整区域
〇工業専用地域に所在する宅地
〇容積率が400%以上(一定の地域は300%以上)

また、気になる評価方法は、大きくない宅地と同じように奥行価格補正や不整形地補正などを適用して計算した後に、地積規模の大きさを反映されるための規模格差補正率を乗じて計算することになります。

規模格差補正率の詳細はここでは割愛しますが、地積に応じて表の数値を当てはめて計算をするため、従来の広大地補正と同様に誰が計算しても同じ数値になりそうです。

【実務への影響】

適用要件が明確になりますので、判断に迷うケースや訴訟等で争うケースは少なくなると思われます。
評価額については、面積だけではなく、土地の形状等を考慮することになりましたので、より合理的な評価方法になったと思います。

一般的には納税者、税理士にとってはプラスの改正だと思います。

しかし、整形地である広大地については、評価減の幅が減ってしまうなど、評価が上がってしまうデメリットがあります。
また、広大地関係の仕事をしている士業(相続税還付専門の税理士や不動産鑑定士など)にとっても活躍する機会が減ってしまうでしょう。

【相続税還付への影響】

平成30年1月1日以後に発生した相続については、広大地での還付請求はなくなると思いますが、平成29年12月31日までに発生した相続については、申告後も亡くなってから5年10カ月以内であれば、還付請求をすることができますので、平成35年くらいまでは従来の広大地評価で還付請求する機会がありそうです。

この記事の著者

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佐藤和基 (税理士)佐藤和基税理士事務所

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