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故人の相続財産から勝手に法要・葬式費用など使っても問題にならない?

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2016年10月06日 公開
故人の相続財産から勝手に法要・葬式費用など使っても問題にならない?のアイキャッチ

故人のお金で勝手に法要しても大丈夫か

私は一人っ子でしたが、両親は離婚をしてしまい、父とは疎遠になっていました。

父は再婚をしましたが、後妻とうまくいかず、すぐに別居状態になってしまい、結果的には、父は孤独死だったそうです。

市役所の職員の方が、別居中の後妻に連絡をして下さったようですが連絡がつかなかったようで、父の遺体は市が処理をしてくれました。

父には少しの預貯金があったので、そのお金でささやかな法要をしたいと思っているのですが、父のお金で法要をする事は可能なのでしょうか。

こういったケースでは、注意しなければならないものなどをお話したいと思います。

独断で遺産を動かすのは問題

さて、上記のケースでの法定相続人は、唯一の実子である相談者と後妻の2人となります。

民法では、「相続は、死亡によって開始する。」と定められています。

被相続人(故人)の遺産は、死亡した瞬間から法定相続人が引き継ぐことになります。

相談者が被相続人の遺産(この場合は預貯金)を使おうと考えているようですが、共同相続人がいる場合、遺産分割協議が成立していなかったり、他の相続人の了解が得られてないような状況下では、いくら故人のために使おうと思っているお金であっても、一人の相続人が勝手に遺産を使ってしまうのは問題です。

法定相続人が一人であれば、しかるべき手続を経て遺産を動かすのは問題ないのですが、共同相続人が存在するのであれば、一人の法定相続人の独断で行動するのは控えなければなりません。

預貯金を勝手に使った後に問題となるケース例

例えば、全ての遺産が明らかになる前に、預貯金を勝手に使ったとします。その後、被相続人にはブラスの資産以上に負債があったことが判明しました。

そこで、負債については相続したくない、という考えが起きると思いますが、既に預貯金に手を付けている状態なので、単純承認され相続放棄できない状況となります。

従って、負債も含めて相続しなければならないのです。

次に掲げる場合には、相続人は、「単純承認」をしたものとみなす(民法第921条参照)

  1. 相続人が相続財産の全部又は一部を処分したとき。ただし、保存行為及び第602条 に定める期間を超えない賃貸をすることは、この限りでない。
  2. 相続人が第915条第1項の期間内に限定承認又は相続の放棄をしなかったとき。
  3. 相続人が、限定承認又は相続放棄をした後であっても、相続財産の全部若しくは一部を隠匿し、私にこれを消費し、又は悪意でこれを相続財産の目録中に記載しなかったとき。ただし、その相続人が相続の放棄をしたことによって相続人となった者が相続の承認をした後は、この限りでない。

また、他に、勝手に使い込んだことに対し、他の法定相続人から不当利得返還請求を提起される恐れもあります。

例として挙げた事例は一部ではありますが、独断の判断で相続財産を動かすことには、様々なリスクが伴うのです。

法定相続人を調べる方法

次に、上記のケースの相談者は、もう一人の法定相続人と連絡がつかないようでした。

このように、他の法定相続人と連絡がつかなかったり、行方がわからない場合はどうすればいいのでしょうか。

まず、法定相続人を調べる方法から確認しておきたいと思います。

被相続人の出生から死亡するまでの全ての戸籍謄本(除籍謄本や改正原戸籍)を取得

この作業は主に第一順位の法定相続人を探すためです。

また、以降の相続の手続きに際して、関係機関に提出することの多い書類となりますので、これは予め取得しておく方が賢明であると思います、

なぜ被相続人の出生から死亡まで全てが記載されている戸籍謄本が必要かというと、過去の結婚歴や養子縁組をしていた事実などを、家族に隠していたりするケースもあるからです。

過去に婚姻歴があり、その時に子供がいれば法定相続人になりますし、養子縁組をしている場合、その養子も法定相続人になるからです。

また、本籍を転籍すると過去の婚姻歴は新しい戸籍には記載されないので、法定相続人を確定するためには、現在の戸籍だけでは全く足りないのです。

逆に出生から死亡までの全ての戸籍を取寄せれば、被相続人の全ての第一順位の法定相続人はもちろんのこと、第二順位の法定相続人も判明します。

被相続人に子や孫(直系卑属)、または父母や祖父母(直系尊属)がいない場合

第一順位の法定相続人である直系卑属、及び第二順位の法定相続人である直系尊属がいない場合には、第三順位の相続人である兄弟姉妹に相続権が移ります。

その第三順位の法定相続人を確認するためには、被相続人の両親の戸籍を出生から死亡まで辿って調べなければなりません。そのため、被相続人の両親の出生から死亡までの戸籍謄本を取得しなければなりません。

なぜならば、異父母兄弟や養子がいるかもしれないので、この確認をするためには戸籍を確認していかなければならず、この作業は必須となります。

法定相続人の中に既に亡くなっている人がいる場合

被相続人よりも前に死亡している法定相続人がいる場合、その法定相続人の相続分はその子に代襲相続されます。その人の出生から死亡までの戸籍謄本を取得します。その代襲相続人を探すための作業なのです。

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さて、上記で確認した方法で法定相続人は判明したものの、その相続人の所在や連絡先などがわからなかったりして、連絡ができない場合はどのように対応すればいいのでしょうか。

その場合は、「不在者財産管理人制度」という制度を利用することができます。

法定相続人の行方が分からない例としては、なんらかの事情で子が家出をしてしまった後に親が亡くなってしまったような場合が挙げられます。

電話番号が分からなければ、住所から確認を進めることとなりますが、住民票を調べても転居届出がされていなければ、その後の住所を追うこともできませんし、同様に、海外に移住するなどして日本国籍を脱したケース等も挙げられます。

相続が発生し、相続人全員で遺産分割協議を行わなければならないのに、相続人のうちの一人が行方不明だったりすると、遺産分割協議を進めることができなくなってしまいます。

このようなケースに備えて「不在者財産管理人制度」というものがあるのです。

不在者財産管理人とは

不在者財産管理人は、従来の住所又は居所を去り容易に戻る見込みのない不在者に財産管理人がいない場合に、家庭裁判所が、他の相続人などの利害関係人の申立てによって、不在者自身や、不在者の財産について利害関係を有する第三者の利益を保護するために、選任することができるようにしています。

このようにして選任された不在者財産管理人は、不在者の権利を確保するため、財産を管理、保存することはもちろんですが、家庭裁判所の権限外行為許可を得て、不在者に代わって遺産分割行為を行うこともできます。

このようにして、遺産分割協議を不在者の財産管理人の選任を通じて実現することが考えられます。

なお、選任された不在者管理人は、その後も不在者が戻るか、不在者が死亡あるいは失踪宣告がなされるまでの間、不在者の財産を管理することとなります。

法定相続人が全くいないケース

余談ですが、法定相続人が全くいないケースはどうなるのでしょうか。

「全くいない」というのは、単純に相続人が誰もいないケースもありますし、法定相続人はいたが、被相続人に借金等があったりその可能性があることを懸念して、法定相続人が順次、相続放棄の手続きをしてしまい、結局相続人がいなくなったようなケースもあります。

このような場合の対処方法として、家庭裁判所に「相続財産管理人」の選任を求める手続があります。

相続財産管理人とは

相続財産管理人とは、文字通り、亡くなった方の財産を管理する者ですが、具体的には、相続人の相続財産(負債も含みます)を調査して、管理の必要に応じて不動産の売却をしたり、亡くなった方が債務を負っていた場合には、その債務の弁済をして清算を行います。清算後に残った財産があれば国庫に帰属させます。

だいぶ話が多岐に亘りましたが、今回の相談ケースで何よりも重要なのは、法定相続人が複数いる場合は、ちゃんと法定相続人を確定し、連絡をとり、相続財産を確定させ、残された遺産をどう配分するかをしっかり話しをした上で処理をすることが必要になります。

勝手な判断で行動するのは、後で大きなトラブルになりますので、そのような状況になる前に専門家にしっかりと確認をし、適切な処理をすることを是非お勧めします。

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