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親の相続の際に遺留分を侵害されているケースの対処法のアイキャッチ

親の相続の際に遺留分を侵害されているケースの対処法

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2016年12月08日 公開
親の相続の際に遺留分を侵害されているケースの対処法のアイキャッチ

0 具体例

まず、理解しやすいように、被相続人(亡くなった方)が父親、相続人が4人で、母親、長男、次男、三男、という例で説明したいと思います。

1 遺留分とは

遺留分とは、一定の法定相続人に、法律上確保された最低限度の持分的利益のことです(民法1028条以下)。
もっとも、この遺留分は、当然に取得できるものではなく、法定の期間内に遺留分減殺請求として行使しなければ、取得できなくなってしまうものです。

例えば、上記の例の場合、母親の遺留分は1/4、兄弟3人の遺留分はそれぞれ1/12です。したがって、父親が相続財産の全てを長男に相続させる、という遺言書を残した場合であっても、遺留分減殺請求として、母親は、長男に対して相続財産の1/4、次男及び三男は、1/12ずつの権利を主張できます。
なお、兄弟が亡くなった場合に、兄弟間に遺留分はないか、と聞かれることがよくありますが、兄弟姉妹には、法律上、遺留分はないので、請求することはできません。したがって、兄が、自分の相続財産は全て妻に、という遺言書を残した場合には、弟は何も請求することはできない、ということです。

2 遺留分を侵害されているケース

(1)遺言書で特定の者に多く相続させているケース

まずは、上記の例のように、遺言書で、全ての相続遺産を一人に相続させるようなケースです。この場合は、配偶者、他の子供の遺留分は必ず、侵害されています。
問題は、不動産Aは長男へ、不動産Bは母親へ、預貯金は次男と三男へ1/2ずつ、というような遺言の場合です。

相続税の申告の際には、路線価などから不動産の価額を算出しますが、調停・裁判になった場合には、不動産の実勢価格(実際に売買されるであろう価格)をもとに、遺留分があるか、判断します。
したがって、不動産Aの実勢価格が1億円(路線価ではその6割くらいのこともある)、不動産Bの実勢価格が1000万円、預貯金が1000万円という場合、遺留分計算の相続全財産額は1億2000万円となります。すると、母親の遺留分は1/4の3000万円ですので、長男に対して足りない2000万円を、次男と三男の遺留分は1/12ずつの1000万円ずつですので、長男に対して足りない500万円ずつを、請求することができるのです。

(2)生前贈与による遺留分の侵害

次に、遺留分を侵害されていることを見落としがちなケースとして、生前贈与による、遺留分侵害があります。
父親が亡くなったときの父親名義の財産は、預貯金の2400万円しかなく、遺言書もないような場合、生前贈与がなければ、法定相続分で、母親は1200万円、兄弟3人は、それぞれ400万円ずつとなりそうです。
しかし、上記の金額で分配したのち、生前に、父親が長男に6000万円を贈与していたことが判明した場合、遺留分計算の相続全財産額は、8400万円となります。すると、母親の遺留分は1/4の2100万円、次男と三男の遺留分は1/12ずつの700万円ずつです。したがって、取得した預貯金で足りない分、母親は900万円、次男と三男は300万円ずつを、長男に対して請求することができます。

3 対処法の順序

① 相続人の確認

これは、被相続人の出生から亡くなるまでの戸籍等で確認することになります。その際に、婚姻関係のない相手との間に子供がいることが判明する場合があります。また、例えば、次男が亡くなっているが、次男に子供がいる場合には、代襲相続といって、その子供たちが遺留分を請求することができます。

② 相続財産の確認

不動産、預貯金、有価証券、現金、動産、債務など、被相続人の財産を全て書き出して、相続財産目録を作成します。
預貯金などについて、生前の贈与がないか調べるために、金融機関に何年分かの取引履歴の調査をお願いしたりするケースもあります。

③ 相続財産の評価

不動産については、いくつかの不動産会社に査定してもらったり、不動産鑑定士に依頼して査定を行うケースがあり、最終的に、相続人間で、価格の合意ができれば、それをもとに、話し合うことができます。不動産の評価について大きな差があって合意ができない場合は、調停・裁判で、裁判所の指定する中立な不動産鑑定士の鑑定による判断まで行くケースもあります。

④ 具体的な取得に関する話し合い

上記①ないし③を踏まえて、自分の遺留分額を把握し、侵害している相手から、どのように支払ってもらうか、話し合うことになります。
金銭だけではなく、不動産の一部を遺留分として取得するようなケースもあります。

4 遺留分には時効があります

遺留分減殺請求権は、遺留分権利者が、相続の開始及び減殺すべき贈与又は遺贈があったことを知ったときから、1年間行使しないときは、時効によって消滅してしまいます。また、相続開始のときから10年を経過してときも、やはり消滅してしまいます。(遺留分減殺請求権の期間の制限(民法1042条))

相続の開始「及び」減殺すべき贈与又は遺贈があったことを知ったときが、起算点で、その起算点から1年が時効期間です。亡くなったことを知っただけでは、当たりません。亡くなったのち、遺言書を示されて遺留分が侵害されていることがわかったときや、通帳の取引履歴を調べていて、生前の贈与(特別受益)がわかり、その額が遺留分を侵害しているようなときが、起算点です。

5 遺留分減殺請求の方法

遺留分減殺請求の方法については、法律上、特別な定めはありません。そのため、直接、口頭で請求しても、間違いではありません。

しかし、1年以内に請求しないと時効消滅してしまう、という関係上、口頭での請求では、相手方から自分は聞いていない、と争われてしまった場合には、証拠不十分ということで、権利自体消滅してしまうことになりかねません。
したがって、遺留分減殺請求については、いつ請求したかが明白になる、配達証明付の内容証明郵便で、請求するのが通常です。

請求書の内容については、インターネット上の情報や、市販の相続に関する本を参考にすれば、ほとんどのケースでは、自分でも作成できると思います。もっとも、遺言書の内容が複雑であったり、相続人がたくさんいて誰に請求すればよいか不明確な場合、その後の交渉も法律家に依頼する予定である場合などは、請求書の作成段階から、法律家に依頼してもよいかとは思います。

6 遺留分の放棄

亡くなったあと、遺留分を行使するつもりがなければ、相手方に遺留分を放棄します、と伝えれば、放棄することはできます。なお、遺留分を行使できるときから1年が経過すれば、放棄したのとほぼ同じことです。
これに対して、亡くなる前の遺留分放棄については、法律上、必ず、裁判所の許可が必要とされています。親から強要されて、子供が遺留分を放棄させられたりしないためです。
裁判所は、放棄が自由意思によるものか、事前に十分な贈与などを受けているか、などを調査して、許可するか否かを決めます。

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塩澤 彰也 (弁護士)塩澤法律事務所

平成12年4月に弁護士になり、四谷の法律事務所で6年間を過ごし、平成18年4月から杉並区の荻窪駅前で事務所を開設し、運営してきました。 当事務所は、相続特化型事務所として、勤務時間のほとんどを、相続案件に費やしております。 相続問題は、広く深い知...

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