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今、話題の「死後離婚」したら、遺産相続はどうなる

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2017年09月04日 公開
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1. いわゆる「死後離婚」とは何か。

 「離婚」はあくまで夫婦双方が健在の場合における婚姻関係解消の問題ですから、配偶者の一方の「死後」の離婚などは、法律的にはあり得ません。

 いわゆる「死後離婚」というのは、生存配偶者が義理の父母や義理の兄弟との「縁」を切ること、あるいは、より現実的な問題としては、夫の死亡後は夫と一緒の墓には入りたくない、という妻側の思いから、「死後離婚」といった言い方がされるのかもしれません。

 生存配偶者が義理の父母や義理の兄弟との「縁」を切る、との意味であれば、その手続は、民法第728条2項「姻族関係終了の意思表示」ということになります。
 この姻族関係終了の意思表示は、生存配偶者の本籍地の市町村役場窓口に届出をすることになります。姻族関係終了の届出数は、平成22年度の1911件から平成27年度で2783件と、約1.5倍に増加しているとの統計もあります。

2. 姻族関係終了の届出をすることのメリットは何でしょう。

 そもそも「姻族」と言うのは、簡単に言えば自身から見た「配偶者」の親、兄弟等を指します。
結婚をすると、相手方配偶者の親や兄弟と親戚付き合いをするわけですが、民法は義理の父母、義理の兄弟など三親等内の「姻族」を「親族」としています(民法第725条3号、ちなみに、血のつながった自身の父母、兄弟は「血族」といいます。「親族」というのは、この自身の血のつながった6親等内の血族のほか、3親等内の「姻族」を含むものであり、「親族」は「血族」と「姻族」を含んだ上位概念になります。民法725条)。

 民法は、第730条において、道義的義務としてではありますが、「直系血族及び同居の親族は、互いに扶け合わなければならない。」と定めています。
この規定自体は、道徳規定であり、この規定から直ちに何らかの扶助を強制されることはありませが、場合によっては家庭裁判所の審判により、姻族関係のある生存配偶者は、義理の父母の扶養義務を負わされることも想定され得るところです(民法第877条2項)。

 「姻族関係終了の意思表示」とは、このような配偶者死亡後における死亡配偶者の姻族との関係を解消する手続なのです。

 ちなみに、協議離婚であれ裁判離婚であれ、両当事者が生前に通常の離婚をした場合は、民法第728条1項で当然に姻族関係は終了する旨定められていますので、姻族関係終了の届出は不要です。

3. 姻族関係終了の届出が相続関係に影響を及ぼすことの有無について

  
 姻族関係終了の届出は、被相続人である先に死亡した配偶者(例えば夫)との関係に基づく生存配偶者の財産の相続関係には何ら影響を及ぼしません。

 生存配偶者の相続分は、民法900条の規定に基づき、①子供がいる場合は、配偶者と子供が各2分の1(但し、子供が複数の場合は子供の持分である2分の1を子供はその人数で平等に分配)、②子供はなく、死亡配偶者の父母(「直系尊属」という。)が健在ならば、生存配偶者は3分の2、直系尊属は3分の1)、③子供がなく且つ直系尊属も存在せず死亡配偶者の兄弟姉妹だけが居る場合は、生存配偶者は4分の3、兄弟姉妹は4分の1(但し、兄弟が複数の場合も兄弟の持分である4分の1を兄弟の人数で平等に分配)することになります。

 いわゆる死後「離婚」という言い方がなされるのは、先にも指摘したように夫の死亡後は、夫と一緒の墓には入りたくない、という妻側の思いが「離婚」という言葉に込められているのかもしれません。

 しかしながら、そうであるとすれば、その希望自体は姻族関係終了の問題ではなく、単に自分の死後の葬儀方法、埋葬場所の指定にかかわる問題です。従って、遺言書にその旨を明記すれば、あえて姻族関係終了届を提出しないでも墓を別々にすることは可能なのです。

4. 祭祀の承継に関する問題

 姻族関係終了に当たり、若干問題となるのは、生存配偶者が死亡配偶者の実家の墳墓の所有権や祭祀具等を承継していた場合に、姻族関係終了後のおけるこれら所有権の帰属先を定める必要があることです。
 祭祀財産は、通常、義理の兄弟姉妹が引き継ぐべきものですから、義理の兄弟姉妹と相談すべきでしょう。

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櫻井 義夫 (弁護士)銀座町法律事務所

当事務所は、20年以上のキャリアを有する弁護士3名の共同事務所です。いずれの弁護士も、相続に限らず、離婚等の家事事件、破産・再生事件、労働事件等に豊富な経験を有しています。「どうしたらよいだろう?」と悩むことがありましたら、お気軽にご相談ください。

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