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特別失踪ってどうゆうこと? 注意点と、その際の相続順位について

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更新日:2024年03月26日
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人間には生まれた瞬間から様々な権利能力が認められており、その権利は、一部の例外を除いて死亡以外では失われません。

しかし、それでは困る場合があります。
とある人が何年も行方不明でも、死んだという確証がなければ、その人の財産を勝手に処分することはできません。家族としてはもちろん生きていて欲しいところですが、実際には税金だ何だと処理に困ることは多いのです。

そこで、特定の条件を満たした場合には死亡したものとみなす、という法律が生まれました。これを失踪宣言といいます。

失踪宣言とは?

通常の場合、不在者が生死不明のまま7年間が経過した場合に、利害関係人が家庭裁判所に請求することで宣言されます。これを普通失踪と言います。

利害関係人というのは、行方不明になった人と法律上の利害関係がある人のことです。たいていの場合は家族ですが、債権者なども該当します。

かみ砕いて言うと、行方不明になってから7年以上たった場合、家族などが家庭裁判所に申し出れば、行方不明者は法的には死んだものとして扱うということです。

そうすることで、家族は財産や身分などの相続をすることができるようになります。

行方不明者は、7年間の期間が満了した時点で死亡したものとみなされます。

特別失踪は何が特別なのか?

特別失踪は、普通失踪に比べ、死亡した可能性が高い場合に適応されます。

  • 戦争がおきている地域へ赴いた。
  • 沈没した船や墜落した飛行機に乗っていた。
  • 地震や洪水といった天災に巻き込まれた。
  • 崖から墜落するなど事故にあった。
  • このような理由で行方不明になった場合は、その危難が去ってから1年間生死が明らかでなければ、その危難が去った時点で死亡した、とみなされます。

    たとえば戦争が原因だった場合、戦争が終わってから1年間生死不明であれば、家族などの申し立てにより、戦争が終わったときに死んだものとみなされます。

    注意点

    重要なのは、その期間が過ぎれば自動的に死亡扱いになるのではない、という点です。あくまでその期間が経過したのちに家庭裁判所へ申し立てることで成立します。

    もう一つ、死亡した時期も大事になることがあります。普通失踪の場合は行方不明になってからまる7年がたった時点なので、申請時期とほぼ同じになります。

    ですが、特別失踪の場合は「危難が去った時点」で死亡した扱いになります。戦争であれば終結した時点、事件や事故であれば起こったその日ですので、申請するときの1年前になります。

    なぜ死亡した時期が大事になるのかというと、相続の順番が変わってくるかもしれないからです。

    相続の順番とは?

    具体例をあげてみましょう。

    父、母、長男、次男という4人家族で父親が亡くなった場合、法定相続分によると遺産は母親が1/2、長男が1/4、次男が1/4となります。その後に長男が亡くなった場合、長男の遺産はすべて母親に相続されます。

     しかし、長男に特別失踪が適応され、その死亡が父親よりも前になった場合、遺産の分配が変わってきます。

     最初に長男が亡くなったので、その遺産は父と母が1/2ずつ相続します。次に父親が亡くなったため、父親の遺産を母が1/2、次男が1/2相続することになります。

     このように、亡くなった順番によって創造区で切る金額や権利が変わってくることがあるため、死亡した時期には注意が必要なのです。

    もし間違いだったら?

    何年も行方不明だった人物がひょっこり帰ってくる、たまにそんなテレビ番組があったりしますね。そんな時にすでに失踪宣言がされていたら、もう死んだものとして人権をはく奪されてしまう?

    そんなことはありません。失踪宣言は、本人または利害関係人が家庭裁判所に申し立てることで取り消すことができます。

    逆に言えば、申し立てない限りは法的には死んだ人間とみなされるということです。様々な権利が侵害されてしまうことになります。

    また、死亡の確認が取れたものの、特別失踪には該当しなかったというケースもあります。
    たとえば戦争の取材に行ったきり連絡の取れなくなった人が、実は連絡がなかっただけで生きていて、つい最近病死したと連絡があった、というような場合です。

    この場合でも、取り消しを申請しないと、死亡したのは戦争の終結した時点のままということになります。前述した相続の順番などに関わる場合もありますし、何よりも故人の命日ですので訂正しておきたいところですね。

    相続に関する困りごとは弁護士に相談を

    失踪宣言は、行方不明者の財産などを法的に管理するために必要な手続きです。そして、生きていることがわかればちゃんと取り消すこともできます。

    失踪宣言、ひいては特別失踪は、もしかしたら生きているかもしれない人を死んだことにしてしまうと考える方もいらっしゃるでしょう。

    ですが、残された人のため、あるいは大事な人がもしも生きて帰って来たその時のため、その人の財産をちゃんと管理しておいてあげる方法であるともいえると思います。

    今回のテーマに限らず、相続はさまざまな法的要素を伴います。少しでも不安なことがあれば、弁護士へ相談してみましょう。

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