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「納税者が死亡時にしなければならない「準確定申告」とは?」

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2016年10月06日 公開
「納税者が死亡時にしなければならない「準確定申告」とは?」のアイキャッチ

事業を営んでいた父が亡くなった。
 そういえば父は毎年確定申告をしていたけど、亡くなった後って確定申告しなくてもいいの…?全くわからない!
 
 そんな方のために、「準確定申告」のお話をしたいと思います。

準確定申告とは

 準確定申告とは、被相続人(亡くなった方)の所得税についての申告のことを言います。
 通常は、前年の1月1日~12月31日までの期間に発生した所得について所得税額を計算し、確定申告を行う必要があります。被相続人も同じく前年の1月1日~亡くなった日までの期間に発生した所得が所得税課税の対象ですが、確定申告をすることはできません。そのため、相続人が被相続人に代わって確定申告をします。この場合の確定申告が、準確定申告というわけです。

 準確定申告は、相続人(財産を継承する人)又は包括受遺者(※)が行わなければいけません。包括受遺者は、法人だった場合でも申告者となります。
 相続人が複数いる場合は、連名で確定申告書を提出しなければなりません。
もし、連名で提出する事が難しければ、他の相続人の名前を付記して相続人がそれぞれ提出する事も可能です。ただし、その場合は申告した内容について相続人全員に通知する必要があります。

※包括受遺者…遺贈を受けた者の事。遺贈とは、被相続人が遺言による一方的な意思に基づいて行う財産処理のことを言います。包括遺贈は、遺言により財産の処分対象を特定せず、割合で遺贈することを言い、その包括遺贈を受けたものを包括受遺者と言います。

 準確定申告を行わなければならない人は、次の条件に該当する方です。

  • 個人事業主や自営業者
  • 不動産所得があった方
  • 不動産(土地や建物)を売却した方
  • 給与所得・退職金以外の所得が20万円を超えている方
  • 2か所以上から給与をもらっている方
  • 給与の年間収入が2,000万円以上の方
  • 生命保険や損害保険などの、一時金や満期金を受け取った方
  • 公的年金等による所得が400万円を超えている方
  • 公的年金による雑所得以外の所得金額が、20万円を超えている方

 また、次の条件に該当する方は、準確定申告をすれば税金が戻ってくる可能性があります。

  • 高額の医療費を支払っていた方
  • 各種控除を受ける方(後述)
  • 給与・年金による収入のみで源泉徴収が行われている方

準確定申告には申告期限がある

 準確定申告には申告期限があります。
 まず、準確定申告は「相続人が相続の開始があった事を知った日の翌日から4ヶ月以内」に行わなければなりません。
 「相続の開始があった事を知った日」というのは被相続人が亡くなったことを知った日の事です。例えば10月1日に被相続人を病院で看取ったとしたら、10月2日から4ヶ月以内、何らかの理由で10月5日に亡くなったことを知ったとしたら10月6日から4ヶ月以内
が申告期限という事になります。
 納税も同じ期間内に行わなければなりませんのでご注意ください。

 そして、もし被相続人が1月1日から3月15日までの間に亡くなって、前年の確定申告がなされていなかった場合は、前年の確定申告と今年の確定申告の2年分を申告する必要があります。(確定申告は毎年2月1日から3月15日までの期間です。)

準確定申告の所得控除

 確定申告をすると所得控除が受けられますが、準確定申告でも所得控除が受けられるものがあります。
 その対象は以下の3つです。

①医療費控除

 亡くなった日までに被相続人が支払った医療費が対象です。
医療費控除は、1月1日から12月31日までの間に、自分や家族の為に支払った医療費の合計が10万円(所得金額が200万円未満の場合は、所得金額の5%)を超える場合に、所得税が控除されるものです。
もし、生計を共にしている相続人が被相続人の医療費を支払っていた場合は、その相続人が医療費控除の対象となります。

②保険料

 生命保険料、社会保険料、地震保険料など、亡くなった日までに相続人が支払った保険料の額が対象となります。

③配偶者控除・扶養控除

 これらの控除が適用されるかどうか(配偶者や親族が生計を共にしていたかどうか、またその親族等の1年間の合計所得金額の見積りなど)は、亡くなった日の現況により判断されます。

青色申告特別控除をしなければいけない場合

確定申告をしないといけない場合
 被相続人が不動産賃貸事業などを営んでいた場合、相続日が発生した日以降の家賃収入などは、相続人の収入となりますので、相続人は翌年に確定申告する必要があります。

確定申告には、白色申告と青色申告があります。
そのうち青色申告は、白色申告と比べて詳細に帳簿をつける必要がありますが、その分青色申告特別控除などの特典を受けることができます。
青色申告特別控除は、
・不動産所得や事業所得などを生ずる事業を営んでいる青色申告者は、原則として最高65万円までの控除
・それ以外の青色申告者は、不動産所得、事業所得及び山林所得を通じて最高10万円までの控除
が受けられるというものです。

話を元に戻して、相続人が青色申告の承認を受ければ、相続人の不動産所得は最高10万円の控除が受けられることになります。
さらに、相続した不動産賃貸事業が事業的規模(5棟又は貸室10室)で、
青色申告の手続きをきちんとした場合は、最高65万円の控除が受けられます。

また、これらの控除に関しては日割り計算になります。
 ・1月1日から相続開始日までの収入→準確定申告(被相続人に帰属する)
 ・相続開始日から12月31日までの収入→確定申告(相続人に帰属する)

準確定申告書の管轄税務署は?

では、準確定申告はどこに提出すれば良いのでしょうか?

提出先は被相続人の住所の管轄税務署

 準確定申告は、被相続人の住所の管轄税務署にて行います。被相続人の住所の管轄税務署ではないので注意です。(納税の相談については全国どこの税務署でも可能です。)
 直接行くのが難しい場合は、郵送で書類を提出する事も可能です。(この場合、郵便の消印の日が申告受付日となります。)
 e-Taxによる申告はできません。

 管轄の税務署がわからない場合は、国税庁のホーム―ページ内で、郵便番号を入力することで、管轄の税務署と連絡先を確認することができます。

郵送で提出するときの注意点

 書類を郵送する場合は、控えを返送してもらうために必要な分の切手を貼りつけた返信用封筒を同封します。控えは相続税の申告の際に必要になります。

準確定申告に必要な手続き

 では、最後に準確定申告に必要な書類についてみていきましょう。

・準確定申告書
(確定申告書に「準」と書き足して代用する)
・死亡した者の平成○○年分の所得税及び復興特別所得税の確定申告書付表
(各相続人の住所、氏名、電話番号、生年月日、被相続人との続柄、相続分、相続財産の価格、各相続人の納付又は還付税額等を記載したもの)
・被相続人の給与や年金の源泉徴収票
・(医療費控除を申請する場合)被相続人の医療費の領収書
・(各種保険料の控除を申請する場合)生命保険・社会保険等の控除証明書
・その他通常の確定申告と同様の添付書類
などがあります。

 また、必要なものは以下のようなものがあります。

・印鑑(実印ではなく認印で良い)
・マイナンバー
(相続人全員と包括受遺者のもの。提出の際には、記載したマイナンバーに対する本人確認書類の提示又は写しの添付が必要となる)
・(不動産所得がある場合、青色申告者であれば)青色申告決算書

準確定申告の確定申告書と付表の書き方・雛形・サンプル集
準確定申告の確定申告書と付表の書き方
ここでは、準確定申告の確定申告書と付表の書き方
雛形・サンプル集をダウンロード出来る様にしております…

まとめ

 確定申告は、普通に申請してもなかなか簡単ではありません。
 ましてや相続となると、なおさらわからないことも多く難しいと思われます。実際に書類に不備があったりして何度も修正しなければならなくなったという事もありますので、プロの税理士さんに相談されるなどして進めたほうが良いかもしれません。
 

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