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【弁護士監修】息子・娘など親族に会社の後継ぎにする(事業承継)時に注意すべきポイント3つ

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弁護士 古閑 孝 アドニス法律事務所

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更新日:2024年02月08日
息子・娘など親族に会社の後継ぎにする(事業承継)時に注意すべきポイント3つのアイキャッチ

息子や娘に会社の跡継ぎになってもらいたい、そう考える人も多くいるのではないでしょうか
今回はそのような場合の事業承継の際に注意しておくべき内容などをまとめています。

1. 会社の後継ぎ問題

巷では何かと親族同士の争い、お家騒動がニュースになることがあります。直接的な会社の支配権争いであったり、親族経営に端を発する歪みであったりと、センセーショナルなるで刺激的です。

その争いの焦点の多くは、事業承継というところにあります。企業に属し、サラリーマンとして働いている方には馴染みが無い言葉かもしれません。

事業承継とは

事業承継とは、会社の経営を担うトップが後継者に引き継ぐことを指します。例えば、社長である父が息子に社長の座を譲るというのは事業承継にあたります。単純に世代交代と捉えても良いでしょう。

事業承継は、行う経営者はもちろんのこと、その企業下で働いている従業員にも多大な影響を与えます。自分たちの総大将、トップが変われば当然、会社も大きく様変わりします。大して経営手腕もなく、知識もない人物が社長になり、傾いてしまっては冗談ではありませんね。

そこで今回は主に事業承継をされるであろうご子息、ご息女へ事業承継する際に注意すべきポイント3つをまとめてみました。

事業承継を検討している経営者の方は、会社を劣化させることのない様に参考にしていただければと思います。自分達の社長が変わるという従業員の方であれば、良い事業承継なのかという判断材料として頭に入れていただければ幸いです。

2. どうして息子、娘を会社の跡継ぎにするのか

そもそもどんな理由があって息子や娘を会社の跡継ぎにするのでしょうか。息子が優秀で会社をさらに大きくさせてくれるには違いない、娘ならば経営手腕が確かだから、でしょうか。

親子間の事業承継で最も多い理由は、子がかわいいという点に尽きるのではないかと思います。その気持ちは分かりますし、親の行動原理としては当然ですね。

どんな理知的な経営者であろうと親としての感情までも理路整然と制御出来るわけではありません。チャラチャラと遊んでいる子であっても、社長になればしっかりしてくれるはずだ、などと良い方に思いこんでしまうことも少なくないのです。

良くあるパターンとしては、一代で会社を築き上げた社長が子供に経営権を渡したとたんにあっと言う間に倒産してしまったというケースもあります。心情としては、子供に自分の事業を継承して欲しい、血族で受け継いでいきたいと考えるでしょう。

しかし、そこにしっかりとした事業承継する根拠や理由がなければ安易に息子、娘に会社を委ねるべきではないのです。

子に社長の座をと考えている方は、今一度心を鬼にして見つめ直してみてください。社員であれば何となく社長の子供の情報というのは、見聞きするかと思います。

あまりにも問題のある人物であれば、早々に会社を見限ることも必要になるかもしれません。

3. 事業承継だってタダではない

そもそも事業承継するということは、経営権の譲渡、つまり、自社の株式を受け継ぐということになります。場合によっては、名誉職、会長職に退き、株式を息子、娘に引き継ぐ場合もあるかもしれません。

この株式を受け渡すという際に税金が発生します。事業承継は0円で行えるものではないのです。

事業承継の方法によって発生する税金、税額は異なり、主に売買、生前贈与、相続によって継承することになります。

親子を例に出して3つの方法で見てみましょう。

売買による継承

まずは、売買による継承です。これは現経営者である父から自社株を息子が購入し、経営権を取得、事業承継することになります。売買の方法が他の二点と異なる点は父が税金を払うことになるという点です。

つまり、取得価額と売買価額によって発生した売却益を株を売った父が支払うということです。買収的な事業承継になります。

生前贈与を利用した事業承継

次に生前贈与を利用した事業承継です。生前贈与を利用するので、父から子に株式を渡す形になります。そのため、受け取った株式の価額に贈与税が発生し、税金を子が納めるということです。

贈与税の判断、産出方法には2種類あります。

暦年課税制度

1つ目は、1年間毎に贈与価額の合計に税金を掛ける暦年課税制度です。贈与、受取者の制限が無く、金額によって税率が異なります。

相続時精算課税制

2つ目は、相続時精算課税制という方法があります。こちらは非課税が超えた額に対して掛かる税率が一定であり、受取人は20歳以上の推定相続人、贈与者は65歳以上の親という制限があるのが特徴です。

相続により株式を受け継ぐ事業承継

最後に相続により株式を受け継ぐ事業承継です。生前贈与と似ている部分はありますが、こちらは被相続人=経営者である父が亡くなった後に受け継ぐ形となります。

そのため、他の遺産と合わせて相続税を支払うことになり、相続人によって株が分散してしまう可能性もあります。

4. 事業承継は相続対策が必須

こうした見ていただくとわかると思うのですが、事業承継をする際は生前贈与、相続が非常に重要です。よりスマートに旨味を残して受け渡すためにもしっかりと相続対策を行っておくにこしたことはありません。

せっかくの事業承継も金額の面で内容を悪くし、目減りさせてしまいたくはありませんね。事業承継を有効的に行うためには、余裕を持って行うことと税金対策をしっかり意識しましょう。

贈与税・相続税の納税猶予を利用しましょう

計画を持って事業承継を実行し、贈与税・相続税の納税猶予などを利用した対策を行えばバッチリです。納税猶予というのは、ある条件を満たした場合に一定期間は納税を待ってくれるというものです。

株式の額は基本的に大きな額であることが多いので必然的に税金も高くなります。事業承継間もない頃は何かと地に足が付かず、安定していないこともあります。そこで納税を猶予してもらえれば、経営権を譲渡した後に落ち着くまで時間を稼ぐ事が出来るので有効的です。

贈与税、相続税によって条件は異なりますが、唯一重複している条件があります。それは、 納税猶予後5年以内は雇用の80%を維持しなければならないということです。

つまり、事業承継された時点で100人の従業員がいた場合は、5年後までに80人以上雇用を維持しておかなければなりません。大企業であれば別ですが、中小企業にとっては雇用が縮小出来ないというのは経営手腕が問われる部分でもあります。

この相続対策、納税猶予を受けるという点においても、親から子へ安易に事業承継をしてはいけないという理由があるのです。

これから事業承継を考えている親御さんも、子供へ事業承継されるという企業の従業員の方も、ぜひとも以上の点に留意していただければと思います。

その後に会社が活きるも殺すも事業承継次第です。感情的な面ではなく、メリットの面から事業承継が行われているかをしっかりと確認する様にしましょう。

まとめ:事業承継に関する困りごとは弁護士へ相談を

事業承継には、さまざまな法的な複雑さが伴います。そこで頼りになるのが「弁護士」の存在です。

法律のプロである弁護士なら、個々の状況に合わせて相談に乗ってくれるだけでなく、事業承継で起きやすいトラブルを未然に防いでくれます。

相続に詳しい弁護士に事前に相談しておくのがおすすめです。

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古閑 孝 (弁護士)アドニス法律事務所

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