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【弁護士監修】【カンタン解説】遺産分割のやり方・期限・方法とは?

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弁護士 古閑 孝 アドニス法律事務所

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更新日:2018年12月29日
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実父が亡くなりました。遺言書もないのですが、どのように遺産分割協議を進めればよいでしょうか。

「遺産の分割」とは

相続とは、故人の財産が相続人に承継されることです。その時期は「相続開始のとき、つまり故人が死亡したとき」とされています。

つまり、ある人が死亡すると、その人の財産は死亡すると同時に何の手続も無しに相続人に移転することです。

相続とはそういうことですが、これは、相続財産全体を、相続人が相続分という民法で定められた割合で、互いに持ち合わせているにすぎません。一種の共有財産なのです。そこで、相続開始後に個々の財産をそれぞれの相続人の所有物として確定する手続きが必要になってきます。これを「遺産(の)分割」といいます。

分割はいつまでに行わなければならないか

遺産の分割に期限はありません

民法には、遺産分割をいつまでに行わなければならない、という期限の定めがありません。「いつでも、その協議で遺産の分割をすることができる」と定めているだけです。

このため、「相続が発生してから10年も経つが未だに分割をしていない」とか、「自分の土地は30年も前に死んだおじいさん名義になっている」といったケースも出てくるのです。

たとえば、相続財産が不動産である場合、売却をしたり、その不動産に抵当権を設定しようとしない限り、単にそのままそこ住み続けたりするだけであれば、遺産分割協議を行ったり、相続を原因とした所有権移転登記を行って名義変更をしなくても、大きな問題は生じないかもしれません。

相続税の申告期限までには分割内容を決めておく

しかしながら、基礎控除額を超過して相続税の課税対象になるほど相続財産がある場合は、そのような気楽なことは言っていられません。相続税の申告は、故人が死亡したことを知った日の翌日から10か月以内に行うことになっています。

たとえば、故人の配偶者が遺産分割や遺贈により実際に取得した正味の遺産額が、1億6000万円、もしくは法定相続分相当額のどちらか多い金額までは配偶者に相続税はかからない、という配偶者に対する税額軽減するという制度(配偶者の税額の軽減)がありますが、この特例についても、相続税の申告期限までに遺産分割が決まらないと原則、受けることが出来ません。

したがって、通常の場合は、相続税の申告期限までに遺産分割を行うことにしていますし、何かしらの特例を利用しようとするのであれば、そのように努力をされた方がいいのかも知れません。

遺産分割の方法

遺産分割を行う場合は、その前提として、相続財産を正確に把握し、その価格も算定しなければならないことは当然で、その分割方法は3つになります。

方法1 現物分割

「○○町○○所在の土地は配偶者が相続する」「○○建設の株式一万株は長女が相続する」というように、相続人一人ひとりの取得財産を具体的に決める方法です。これを「現物分割」といいますが、一般に行われている遺産分割は、ほとんどがこの方法です。最も基本となる配分のやり方といえるでしょう。

方法2 換価分割

遺産は、一筆の土地と一戸の家屋だけ、相続人は5人で、一円単位まで法定相続分どおりに分けたい、という場合はどうすればいいでしょう。

一つの方法としては、土地家屋を法定相続分に応じた全員の共有とすることが考えられます。しかしながら、中には共有なんて嫌だ、という人もいるかもしれません。そのような場合に、ということでとられるのが「換価分割」と言われる方法です。

この方法は、相続財産の全部を処分し、金銭に替えます。お金であれば一円単位まで細分できますから、それを分け合えばお互いに満足する、というわけです。

ただし、土地や建物を売却し現金を取得することで、それを取得した相続人は譲渡所得税とその分の住民税が課税されることになるため、注意が必要です。

方法3 代償分割

相続財産の大部分が農地などの事業用財産で占められている場合、後継者以外の者が相続しても意味はありません。そうなれば、必然的に、その後継者に全部を相続させる、となることもあるのではないでしょうか。

しかしながら、それでは他の相続人の取得する財産がなくなってしまいます。うっかりすると「遺留分の侵害だ」と言われかねません。

そこで、特定の相続人が全財産を相続する代わりに、他の相続人には各相続分に見合う金銭など、他の財産を与える方法があり、それを「代償分割」と呼んでいます。

代償分割で注意しなければならないのは、代償弁済する人の支払い能力です。一時に全額を支払わなければならない訳ではありませんが、たとえ分割をするにしても、どの程度の支払いができるかを慎重に見極めなければなりません。

分割協議が成立した後に支払いができないとなると、かえってトラブルになります。

遺産の配分は法定相続分どおりでなくてよい。

わが国は法治国家であるため、法に反する行為をすれば当然に罰せられます。そのためか、遺言書が無ければ「相続財産は法定相続分どおり配分しなければいけない」と思っている人もいるかも知れませんがそうではありません。

相続人全員の合意があれば、遺産の配分は自由に決めることができます。

法定相続分というのは遺産をいくら承継できるかという権利の範囲であり、遺産配分の基準なのですが、どの様に配分し、分割を行うかは、相続人の自由です。相続人全員が納得すれば、どのように分割しても構わないのです。

相続人間で遺産分割協議を行い、協議がまとまれば遺産分割協議書を作成するのが一般的です。しかしながら、当事者間で考え方に相違があれば、話がいつまで経ってもまとまらないということはよくある話です。

そのような場合には、裁判所にて遺産分割調停を行うこともできますし、弁護士に話し合いの代理をお願いしてみることもできます。

いずれにしても、話し合いが長引いても決して良い結果は生まれないでしょうから、もし、遺産分割協議をしていく中でお困りのことがあれば、是非専門家にご相談ください。

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