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【弁護士監修】もし借金を相続してしまったら…確認すべき3つのポイント

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弁護士 古閑 孝 アドニス法律事務所

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更新日:2018年12月29日
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親が亡くなってしばらくしてから借金が判明

親が亡くなって遺品の整理をしていたら、貸金業者との金銭消費貸借契約書が出てきた…。母親が亡くなってしばらく経ってから。突然貸金業者から催促の手紙が届いた…。

このように、相続が発生してからそれまで相続人がまったく知らなかった故人の借金が発覚するというご相談を頂くケースも少なくありません。

相続とは、故人の財産やその他の様々な権利や義務を、包括的に承継することです。相続することによって、預貯金や不動産などプラスの財産だけでなく、借金などのマイナスの財産も引き継ぐことになるのです。したがって、故人が残してしまった借金については、相続をした相続人が支払う義務を承継することになります。

ポイント1 借金は誰が幾ら支払うのか

もし、相続財産の中に借金が含まれていた場合、原則は法定相続分の割合に応じて返済することになります。

ケース1 法定相続分で遺産を分ける場合

遺産は現金が500万円と固定資産税の評価額が約1500万円の自宅不動産の他、相続開始後に600万円の借金が発覚したとします。

この場合、妻の法定相続分は2分の1、子の法定相続分は残りの2分の1を3人で均等に分割するので、それぞれ6分の1ずつとなり、借金については妻が300万円、長男・二男・長女が各100万円ずつの債務責任を負うことになります。

ケース2 法定相続分と異なる割合で遺産分割する場合

ところが、遺産分割協議で法定相続分と異なる割合で分割する旨を決めた場合は、それにしたがって返済すればいいのでしょうか。

例えば、先ほどの5人家族で、長男が現金も不動産も相続する代わりに、借金も全て引き受ける旨を決めたとします。勿論、長男がきちんと返済できれば何ら問題はありませんが、万が一、何らかの事情で長男が返済することができなくなってしまった場合、債権者は他の共同相続人に対し、借金の返済を求めてくるでしょう。

その際、その遺産分割協議書を以って、債権者に対抗することはできません。つまり、長男以外の相続人は、遺産分割協議の結果、長男が借金も含めて全てを相続しており、自分たちは1円も相続していないので、長男に請求してください、と債権者への返済を拒否することはできないのです。

遺産分割協議はあくまで共同相続人間での合意によって成立しますが、それはあくまで当事者間での取り決めであり、債権者にはなんら影響を及ぼさないのです。

ポイント2 相続放棄も検討する

上記でも述べたとおり、遺産分割協議によって共同相続人の一部の者が借金を相続する旨を定めても、返済が滞ってしまったりすれば、他の共同相続人が債権者から請求されてしまうことも考えられます。

したがって、遺産分割を行うに際して、プラスの財産もあるが、マイナスの財産もあり、借金の額が大きいような場合は、相続放棄の手続きを行うことも検討した方がいいでしょう。

相続放棄の申し立ては、故人の最終の住所地を管轄する家庭裁判所に申し立てを行い、それが裁判所で受理されることによって、相続が発生した時に遡って、相続人でなかったことになります。そもそも、相続人ではなくなるのですから、借金を返済する義務もなくな点で、上記の遺産分割協議と大きく異なります。

但し、相続放棄の手続きには期限があります。相続人は自己の相続が開始したことを知った時から3か月以内に、相続について、単純若しくは限定の承認又は放棄をしなければならない、とされており(民法第915条1項)、その期間を過ぎてしまうと、単純承認したものとみなされてしまい(民法第921条)、その後に改めて、限定承認や相続放棄の手続きをすることができなくなってしまいますので、注意が必要です。

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ポイント3 相続放棄をする前に、過払い金がないか確認

一概に借金と言っても、銀行・消費者金融・信販会社・個人など借り入れ先は様々です。そのうち、故人の借り入れ先が消費者金融や信販会社であり、尚且つ、長期間にわたって借り入れと返済を繰り返していたような場合には、払い過ぎた利息(所謂、「過払い金」)が戻ってくる可能性があります。

過払い金とは

かつて消費者金融や信販会社などの貸金業者は、年利29.2%近くの高い利息でお金を貸し付けてきました。これは貸金業法において、貸金業者は、当時「出資法」で定めていた年利29.2%以内の金利であれば、「利息制限法」の上限を超える利息を取ってもいいことになっていました。この「利息制限法」を超えて貸金業者が受け取ってもいいとされていた利息を、所謂「グレーゾーン金利」と呼んでいました。ところが、平成18年に貸金業法が改正され、それに伴い、出資法の上限金利も20%に引き下げられました。

そこで、過払い金があるかどうかについては、貸金業者から「グレーゾーン金利」で借入れしていた分を、利息制限法の金利に基づいて引き直し計算を行い、利息制限法を超えて支払っていた利息分を、借り入れしていた元金に充当していきます。元金に充当していって、さらに借金がゼロになってからも支払い続けていたお金があれば、それが「過払い金」となります。

したがって、仮に借金が残っていても、借り入れ状況によっては貸金業者から過払い金が返還される可能性もあり、プラスの財産に転じることも考えられます。一度専門家に相談の上、確認してみる方がいいでしょう。

以上のとおり、借金の相続については、相続人にとって負担になるものすから、その他の財産も含めて十分に検討した上で、相続することを選択するのか、もしくは放棄を選択するのかを決めることが賢明かと思われます。なにかご心配なことがあれば、お近くの弁護士などにご相談下さい。

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