遺産相続専門の弁護士検索・法律相談ポータルサイト

遺産相続の相談件数 6097

遺産相続に強い弁護士 207

【弁護士監修】【トラブル回避術】養子縁組を組んでいた養父が亡くなるとどうなる?

この記事を監修しています
古閑 孝の画像

弁護士 古閑 孝 アドニス法律事務所

14139 Views
更新日:2024年02月12日
【トラブル回避術】養子縁組を組んでいた養父が亡くなるとどうなる?のアイキャッチ

もし養父が、亡くなったら・・・

相談者は、妻のご両親と養子縁組をしており、その父親(養父)が亡くなった場合の、相続についてのご質問を頂きました。

家族構成は、養父・養母・妻(長女)・相談者(長男)他兄弟はいません。

相談(1) 養母がお金にうるさく相続が発生したときに揉めそうである。もし、現時点で養父が亡くなった場合、相続はどのようになるのでしょうか。

相談(2) 実父より、相談者に対し「養子に出した人間だから、俺が死んでもお前には相続する権利はない」と言われましたが、本当でしょうか。

養子縁組の相続

まず、養子縁組について、ご説明をしましょう。養子縁組とは、親子関係のない者同士を法律上親子関係があるものとすることです。養子縁組には「特別養子縁組」と「普通養子縁組」があります。

「特別養子縁組」

実親及びその血族との親族関係を終了させ、養方の嫡出子として扱うこととなります。実親との親子関係は法律上消滅し、他人としての扱いを受けることとなります。

養子になった者は実方親族との間で、相互に扶養義務や相続人になることはありません。また、代襲相続することもありません。

特別養子縁組の成立には、原則的に実父母の同意が必要であり、家庭裁判所での審判を受け成立します。

また、離縁(縁組の解消)については、養子の利益のため特に必要があると認められるときは、家庭裁判所が、養子、実父母又は検察官の請求により、特別養子縁組の当事者を離縁させることができることとなっています。(民法817条の10)

〈特別養子になる者の要件〉

① 縁組の請求時に6歳未満(例外的に8歳未満でも特別養子になれる場合あり)

② 実父母による監護が著しく困難または不適当であること、その他特別な事情があり、子の利益のために必要な時にかぎり認められます。

〈養親になるための要件〉

① 配偶者がいなければならず、しかも夫婦で養親とならなければなりません。

② 25歳以上であること。ただし夫婦の一方が25歳以上の場合、他方は、20歳以上であればよいことになっています。

「普通養子縁組」

一般的な養子縁組、養子先の親と養子の間に新たな親子関係が生じます。

養子が、実親との親子関係を存続したまま、養親との親子関係をつくるという二重の親子関係となる縁組であり、実親との親子関係が消滅することはありません。つまり、養子は実親と養親2組の親の子供となり、相続人となりますので、相続に関しては両方から相続することができます。

また、養子である子供が先に亡くなり、親が法定相続人となる場合、養親・実親ともに法定相続人になります。その法定相続分の割合は実親・養親に差はありません。

なお、離縁については、特別養子縁組とは異なり、その縁組の当事者が協議で離縁することができる、となっています。(民法811条)

ご相談内容について回答

相談(1)の回答 養母がお金にうるさく相続が発生したときに揉めそうである。もし、現時点で養父が亡くなった場合、相続はどのようになるのでしょうか。

養父が現時点で亡くなった場合の相続についてのご相談でしたが、遺言書の有無にもよりますが、相談者は、法定相続人であり、養母が1/2、相談者の妻1/4、相談者1/4が法定相続分割合になります。

養父が認知症等を患っていることもないのであれば、遺言書を作成してもらうのも対策の一つにはなると思います。

相談(2)の回答 実父より、相談者に対し「養子に出した人間だから、俺が死んでもお前には相続する権利はない」と言われましたが、本当でしょうか。

養子は実親からの相続を受けることができないのか、とのご相談でしたが、結論から申し上げると、権利がなくなることはありません。普通養子縁組であれば、養子になったとは言え、実親との間には依然として相続関係が存在しますので、実親が亡くなった時には、相談者は法定相続人になります。逆に、養子になった相談者が実親より先に亡くなり、且つ子もいなかった場合は、実親も法定相続人となるのです。

同じような状況に置かれている方もいらっしゃると思いますが、相続に不安をお持ちの方は、弁護士にご相談することをお勧め致します。

遺産相続での困りごとは弁護士へ相談を

遺産相続は、さまざまな法的な複雑さが伴います。そこで頼りになるのが「弁護士」の存在です。

法律のプロである弁護士なら、個々の状況に合わせて相談に乗ってくれるだけでなく、相続で起きやすいトラブルを未然に防いでくれます。

弁護士を選ぶ際は、トラブルの内容に精通しているかどうかや、相談のしやすさ、説明の分かりやすさを意識しておくのが重要です。

弁護士費用が不安な方は"弁護士保険"の加入がオススメ

弁護士に相談する前に、弁護士費用が不安な方はベンナビ弁護士保険の利用を視野に入れてみましょう。

あらかじめトラブル発生する前に弁護士保険に加入しておくことで、いざという時の高額な弁護士費用を補償してくれます。

弁護士保険なら月々2,250円〜加入できるベンナビ弁護士保険がオススメです。

この記事の監修者

古閑 孝の画像

古閑 孝 (弁護士)アドニス法律事務所

相続は、どなたにも身近で起きる出来事です、しかし、感情で揉めてしまったり話し合いで解決出来ないことも少なくありません。 相続時には色々なトラブル・悩みが発生するものです、私の40年間という弁護士経験のを元に事例や状況に沿って対処法を電話でも解説可能...

この記事を見た人が見ている記事

「相続」ってそもそもなんですか?弁護士がわかり易く解説の画像

2018年12月29日 4453 views

古閑 孝 (弁護士)アドニス法律事務所

祖母に離婚歴があり、前夫との間に子供がいたことが発覚。その異父兄弟も相続人?の画像

2021年03月10日 13044 views

古閑 孝 (弁護士)アドニス法律事務所

祖母や祖父から孫へ不動産を相続させたい時の注意点の画像

2019年04月03日 14256 views

古閑 孝 (弁護士)アドニス法律事務所

再婚の際に義母が私の連れ子との養子縁組を拒否しているの画像

2023年02月15日 6986 views

古閑 孝 (弁護士)アドニス法律事務所

問い合わせの多い遺産分割に強い弁護士

遺産分割に強い弁護士相談

問い合わせの多い遺産分割に強い弁護士

ベンナビ弁護士保険