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【弁護士監修】「遺産分割協議書」の書き方がわからない

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弁護士 古閑 孝 アドニス法律事務所

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更新日:2020年07月27日
「遺産分割協議書」の書き方がわからないのアイキャッチ

Q:「遺産分割協議書」はどのように書けばいいですか?

A:相続財産のうち何を、どの相続人に、どのくらいずつ分けるかを正確に、特定できるように書く必要があります。例えば不動産については、登記簿のとおりに書きましょう。

必ず記載して欲しいポイント

これまで遺産分割協議をする上での注意点を説明してきましたが、協議の内容は「遺産分割協議書」という文書にまとめる必要があります。

遺産分割協議は要するに相続財産のうち何を、どの相続人に、どのくらいずつ分けるかを決めることですから、遺産分割協議書でもそれがはっきりとわかるように書くことが大切です。

遺産分割協議書は、遺言と違って法律などで「このように書きなさい」という書式はありません。ただ、文書の性質上、誰が読んでも同じ受け止め方になるよう、いくつかの注意事項があります。

表題の書き方

まず表題は「遺産分割協議書」と記します。

合意内容・財産と債務の相続人を記載

次に被相続人(死亡した人)の氏名と死亡した日を明確に書き、相続人全員が遺産分割協議をして合意した旨を示します。

そして、誰がどの財産をどれだけ取得し、債務は誰が引き継ぐかなどを書きます。

不動産の書き方には注意が必要

ここで注意したいのが財産の記述の仕方です。特に不動産の書き方が重要です。不動産については登記簿の通りに書きましょう。つまり、土地については所在、地番などを、家屋については所在と家屋番号などを書きます。

住所を書いてはいけません。不動産は「知番」や「家屋番号」によって管理されているため、住所から地番や家屋番号を特定できないことが少なくないからです。

誰がその不動産を承継するのかを正確に書く必要があるので、不動産を特定できない恐れがある住所では紛争の原因になります。また、遺産分割協議書は相続登記に必要なため、不動産が特定できないような書き方だと登記できないからです。

他の財産についても、その相続人が取得するものを過不足なく記す必要があります。例えば、預貯金については銀行名、支店名、預金の種類、口座番号、取得する金額までしっかりと書きましょう。不正確だと金融機関で名義変更や換金ができません。

作成年月日・相続人の住所・氏名を記載

最後の部分には、遺産分割協議書を作成した年月日と相続人の住所、氏名を書きます。住所は住民票の通りに書きます。氏名の後に押印しますが、印鑑は必ず市区町村に登録した印鑑(実印)でなければなりません。相続人本人が確かに合意した旨を示す必要があるからです。

後日、別の財産が判明した際の一文を記載

なお、遺産分割協議の時点では判明しておらず、後々財産が見つかる可能性もあります。遺産分割協議書ではそれも想定して、「財産が後日発見された場合は特定の相続人に帰属するものとする」とか「別途協議する」という一文を入れておきます。こうしないと財産や債務のすべてについて協議したことにならないからです。

専門家に頼ったほうがよい場合も

他にも気をつけるべきことはあります。例えば、遺産分割協議書が何枚にも及ぶ場合には割印を忘れないこと。また、相続人が未成年の場合で、親権者も相続人の1人の場合には、未成年の相続人の利益のために特別代理人を家庭裁判所に選任してもらわなければなりません。その場合は特別代理人の記名や押印も必要です。なお、遺産分割協議書は相続人がそれぞれ手続きするために必要ですから、相続人の人数分を作成する必要があるでしょう。

このように、遺産分割協議書は正確性が求められる遺言(公正証書遺言)と同じ程度の正確さと細やかさが求められます。自力で作成できなくはありませんが、財産額が多かったり、財産構成が複雑だったり、相続人の数が多かったりする場合は作成が大変です。不安な場合は弁護士、司法書士といった専門家に相談したり、依頼したりすることが必要かもしれません。

相続に強い弁護士

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古閑 孝 (弁護士)アドニス法律事務所

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