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認知症患者は年々増加!認知症の場合は遺言書は有効なのか?

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2016年10月06日 公開
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認知症患者は増加傾向にあります

認知症の最大の危険因子は加齢だと言われています。そのため、65~69歳での有病率は1.5%ですが、以後5歳ごと倍に増加し、85歳では27%に達します。

日本の65歳以上の高齢者における有病率は8~10%程度と推定されていますが、2015年時点で250万人前後、2020年には約300万人に達するとされています。

厚生労働省が発表している1995年から2020年の予測を含めた認知症患者数の推移は下のグラフのようになっています。

認知症患者数の推移

出典:厚生労働省 http://www.mhlw.go.jp/kokoro/speciality/detail_recog.html

認知症の方が亡くなった場合、相続発生時の遺言書で揉めることがしばしば見受けられます。

そこで、遺言書に詳しい優和綜合法律事務所 内藤弁護士に教えて頂きました。

遺言の重要性

遺言は、遺言者がその資産を誰にどの程度残していくかを決める意思表示で、ご本人にとって重要な意思表示であり、遺族にとっても重大な関心事になります。

そのため、遺言書の作成は、民法で細かく規定されています。

遺族の仲がよろしくないときは、遺言を自分に有利に書いてもらおうと思って、意思能力が衰え、気が弱くなったのを見計らって、遺言書を作成させ、その内容を誘導するケースも散見されます。

そのため、死後にある相続人に有利に書かれているのを知った他の相続人は激怒し、遺言書自体が「本人の自由意思で書かれたものではない」として遺言書を無効と主張することになります。

そうして、果たして自由な意思に基いて書かれたものか、そうでないかについて、裁判や調停などの遺産相続の争いが始まります。

遺言能力とは意思能力

遺言をするためには、遺言者が遺言の内容を具体的に決定し、その法律効果を弁識するのに必要な能力が必要とされます。意思能力と同じ意味だと考えてもらえれば大丈夫です。遺言者の状況を総合的にみて、遺言の時点で意思能力があればよいとされています。

認知症と遺言能力の関係

認知症といっても、意思能力のレベルはさまざまで、認知症であっても、遺言時に意思能力があった場合は、遺言は有効になります。

そうすると、遺言時の意思能力の有無を判断することが必要になります。

裁判などでの判例では、遺言者の認知症の程度や症状の変化、遺言書を作成した動機やその経緯、作成時の遺言者の状態、遺言内容などを総合的に判断しています。

意思能力の判断材料

要介護認定の申請をすると、認定調査員が認定訪問をします。調査員の調査は、記憶や理解度、日常生活の自立度まで調査します。

また、申請を受けた区や市町村は、主治医に対し意見書を求めます。意見書においても、記憶や理解能力・自立度がチェックされます。

これら調査票と意見書に基づき、介護認定審査会が要介護あるいは要支援の判断をすることになります。

要介護のレベルがあがれば、同様の手続きが繰り返されるから、遺言書の作成時期と最も近い、調査票と意見書が、意思能力の判断材料になるのです。

もし入院していたとすれば、医師のカルテや看護日誌が、医師能力の判断材料となる。MRIなどの検査資料も判断材料となります。

成年被後見人

すでに意思能力が、恒常的に失われていて、成年後見人が付されている場合においても、事理を弁識する能力を一時的に回復した場合には、医師2人以上の立ち会いがあれば、遺言をすることが認められています。

民法第973条第2項に、以下のように記載があります。

遺言に立ち会った医師は、遺言者が遺言をする時において精神上の障害により事理を弁識する能力を欠く状態になかった旨を遺言書に付記して、これに署名し、印を押さなければならない。ただし、秘密証書による遺言にあっては、その封紙にその旨の記載をし、署名し、印を押さなければならない。

自筆証書遺言より、公正証書遺言のほうが安全?

では常に「自筆証書遺言より公正証書遺言のほうが安全」なのでしょうか?被相続人が認知症の場合では、そうとは限りません。

公証人が病院に赴き、遺言書を作成することがよくありますが、公証人が作成に関与していても、意思能力のなかった状況であることが、裁判官の心証を揺るがす程度に証明できれば、遺言書は無効となります。

公正証書だからといって、必ず有効になるわけではありません。

ここ数年、公正証書遺言が争われ、無効とされた事案がいくつも出ています。そのことから、今後は、公証人も慎重になると思うが、イレギュラーがなくなることはないでしょう。

こういった状況は、現行の法律の中では、同じ問題が繰り返されるものと思われます。

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